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桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
みーちゃん/2011年に最も笑った本、というのがこのクワコーが登場するもの。准教授はどちらかと言うとトホホなおじさんですが、学生たちがいいです。特にオッシーこと押川千恵には爆笑でした。ま、我が家の長女はそうでもなさそうでしたが・・・
素敵な装画です。色合い、線の柔らかさ、まさにスタイリッシュ。担当は加藤木麻莉( asterisk-agency )、で装幀は、鶴 丈二。もしかして二人とも私にとっては初お目見えかもしれません。ただ、このカバー画だと、だれだってこのお話が『モーダルな事象』の続編だとは思いません。ここは思い切って本格ミステリマスターズの一冊である『モーダル』も、この加藤・鶴二人のコンビで装幀しなおした方がいいかも、なんて思います。ところで、奥泉光の代表作ってなんだ、っていわれると私は無条件に『鳥類学者のファンタジア』をあげたい。ミステリともSFともつかない、でも「練馬のアルゲリッチ」というのが私にはとても楽しいお…  全文読む 評価する

ママの友達 ママの友達
みーちゃん/凄く重要ではないことかもしれませんが、でも伏線がみごとに生きて、ああ、上手いなって思いました。これなら、もう一冊手を伸ばしてもいいかな、新津きよみ・・・
相性が悪い作家がいます。あるいは、なかなか〈これは!〉という作品にぶつからない作家が。私にとっての新津きよみがそういう存在で、もし彼女が折原一の奥様でなかったら、とっくに見限っていただろうって思います。それほどに折原作品は読む、新作が出ればとりあえず手を出す。そのたびに新津きよみのことを思うわけです。で、本当に久しぶりに、っていうか二冊か三冊目なんですが、読むことにしました。理由の一つにカバー写真があります。これで外したらダメじゃん、っていうくらい美しい写真。Christopher Gruver、ネット検索するときちんと出てくる花の写真を得意にする人。このカバーににた作品もありますが、もっと幾…  全文読む 評価する

アンダー・ザ・ドーム アンダー・ザ・ドーム
みーちゃん/ビッグ・ジム・レニー、こういう男って今でも日本の地方にかにいくと、いるんでしょうねえ。昔の憲兵、特高、いやそれより悪いかもしれない。ようするに私利私欲しかないんだから。たしかに、地方にはいます、こういうオヤジ・・・
いかにも藤田新策らしい絵ですが、ちょっと疑問が。まず、ドームの中は外部よりも透過性の関係で薄暗くなるはずなので、内部が外より明るく描かれているのは間違いで、暗くしてもよかったのではないでしょうか。それとドームですが、円形というよりはもっと高さがある縦楕円のようなイメージの方が正しいのではないでしょうか。ドームの厚み、もっと分厚い気がします。 そしてドーム周辺には鳥や生き物の死骸があってもいいのでは?あまり藤田の絵に疑問を思ったことはないのですが、今回は偶々いろいろ気になる点がありました。でも、総体的に好きな装幀です。特にこの造本は好き。正直、この頁数になるとハードカバーでないほうがいいかな、っ…  全文読む 評価する

アジャストメント アジャストメント
みーちゃん/最初から最後までおんなじことばかり書いていたわけですが、それでもディックは面白い。少なくとも、今の時点でやっと人々の現実認識が、ディックの世界に追いついた、っていう感じ・・・
このカバーのセンスは好きです。まず、コテコテしていないのがいい。唯一つ、懐中時計の絵を中央に置いただけ。それも細密描写でも抽象でもない、どちらかというとおう生頼義範がモノトーンでザラっとしたタッチで描いたような、大胆でそれでいてデッサンが絶妙なものを。でも、このカバーのポイントは地の色。グレーにちょっと緑を混ぜたような、なんとも温かみのある色が抜群。カバーデザインは土井宏明(ポジトロン)。で、P・K・ディック、私にとっては神様のような存在。ま、海外SFを殆ど読まない私が崇め奉っても大したことはないんでしょうが、『ハイぺリオン』のダン・シモンズ、『マン・プラス』以降のフレデリック・ポールと並ぶ重…  全文読む 評価する

片思いレシピ 片思いレシピ
みーちゃん/作家の女性に対する幻想が、そのまま小説になっているようで、正直不快です。特に女たらしの探偵なんて、男の願望そのままじゃないかって。何だかなあ、ミステリに行く前に躓いちゃう・・・
好きじゃありませんね、坂本ヒメミの装画。人物描いたら下手なアニメレベル以下、っていうカバー画です。この絵に、多分、加奈子と翔児らしい人物像さえなければ、ま、味のある絵かな、とも思うのですが、この二人の絵が全体の足を引っ張っていいます。ま、絵の上手い下手なんていうのは本質的な問題ではない、雰囲気が出ているんだからいいじゃないか、っていう人にはいいんでしょうけど。装幀全体で見れば、色が明るくて優しい雰囲気があって、造本はしっかりしていてと、平均点以上にはなるんですが、どうも雰囲気狙いっていうのがいやかな。それとタイトル、ここだけ見ると梶尾慎治だな、って。『思い出エマノン』じゃん、なんて思うんです。…  全文読む 評価する

豆腐小僧その他 豆腐小僧その他
みーちゃん/表紙絵の可愛らしさに騙されちゃあいけません、実に奥のふか~い、お話が笑いをともなうように説かれています。豆腐小僧から豆腐をとったら・・・な、な、なんと恐ろしい考え・・・
どうでもいいっちゃあ、いいんですがどうしても気になるんで書きます。単行本『豆腐小僧双六道中おやすみ 本朝妖怪盛衰録』のカバーは石黒亜矢子の装画だったのに対し、文庫のカバーのほうは、カバーデザイン/館山一大(角川書店装丁室)(C)2011「豆腐小僧」製作委員会口絵造形製作/荒井良と書いてあります。(C)2011「豆腐小僧」製作委員会、とあるので絵は、アニメのほうからとったのでしょうが、もしかして館山一大が作成したCGなんでしょうか。ちなみに、口絵造形製作/荒井良とあるのは、そのまま表紙を開くと目に飛び込んでくる達磨のこと、カバー画のことではありません。そして奥付には、装幀者として杉浦康平の名前。…  全文読む 評価する

藤沢周平全集 藤沢周平全集
みーちゃん/読み返して良かったと思いました。若い時に読んだときは、話の暗いところにばかりに目が行って、折角の作品の半分も楽しんでいなかったかもしれません。人間がここにはいる、そう納得させるお話ばかりです。もう一度読むことができるかしら・・・
結果的に、ほぼ全巻読み直してしまう結果となった藤沢周平全集ですが、実は、最後まで読むかどうか迷ったのがこの一冊でした。実は私、この巻に収められている『暗殺の年輪』の単行本を昔、読んでいるんです。で、その時の印象があまりに悪かった。いえ、小説の作りの上手い下手ではないんです、ただ、なんでこんなに暗い話を書くんだろう、って思ったんです。実はその頃、知人に久生十蘭の小説、確か、アメリカで日本人が迫害されるお話かなんかだったと思うんですが、それを薦めたことがあります。年上の先輩でしたが、何日かしてお会いしたときに、なんて悲惨な小説なんだろう、ああいう話は書かれるべきものなのだろうか、と聞かれて困ったこ…  全文読む 評価する

追憶のカシュガル 追憶のカシュガル
みーちゃん/「戻り橋と悲願花」を読んでいると、つらくて仕方がありません。性を踏みにじる軍人、獣のような男、決してあの時代にだけいたわけではありません。今も、こういう男がいる、そういう人間に限って権力を笠にきる・・・
ある年代の人は、カシュガルと聞くだけでNHKで放送された番組『シルクロード』のことを思うのではないでしょうか。当然、喜多郎のあの音楽も脳裏に響くはずです。「進々堂」とくれば、これも昔の人は黒田辰秋の手になるベンチが置かれた京大裏の喫茶店と同時に、京都市内に数多くあった書店「駸々堂」を思い浮かべるのではないでしょうか。勿論、字は違いますが読みは同じ。私の家にある本のうち、数百冊は「駸々堂」で購入したもの。でも、その大型店舗は京都から姿を消してしまいました。調べると、2000年に破産をしていたとか。いつもにぎわっていたし、夜遅くまで開いていたし、品揃えも豊富だったのに・・・。そう、島田のこの本のタ…  全文読む 評価する

箱庭図書館 箱庭図書館
みーちゃん/試みが面白いので、ついつい特設ページのほうも見てしまいます。プロとアマチュアの違い、という見方もありますが、発想がまとまっていく過程という受け止め方もあります。ともかく、ネットを活用した方が楽しさ百倍?
私にとっては久しぶりの乙一です。乙一×新津保 建秀『GOTHモリノヨル』以来ですから三年ぶりということになります。正直、このブックデザイン、よくわかりません。ともかくピンと来ないのはタイトル文字。形も色も、心が動かない。決してカシカシした格好の字が嫌いというわけではないのですが、今回はいただけない。名手、松田行正(+日向麻梨子)にして、こんなこともあるのかと思った次第。で、収められた作品の初出は、集英社WEB文芸「RENZ ABURO」 なんだそうですが、本に個々の作品がいつ「RENZ ABURO」で配信されたかの紐付けまではなされていません。私の見落としでないとすれば、ちょっと残念ではありま…  全文読む 評価する

結婚相手は抽選で 結婚相手は抽選で
みーちゃん/なんだ、このレベルの話か、と思っていたらこれが案外面白い。ifの設定がたいしたことはないのに、それなりに楽しめる。それにしても、近未来に於いても結婚難ですか・・・
ちょっと野暮な印象のするカバー、多分ロゴが古臭い雰囲気なのと、カバーの地色があまりに無難なのが原因かもしれません。装画担当の添田あきには申し訳ありませんが、同じような絵を描いても佐々木マキならまったく違ったレベルのものになるのだろうと思うと、才能っていうのはあるんだなあ、と思います。装幀の泉沢光雄、概して光文社の仕事のほうがうまくいっているかも・・・で、本の外観はパッとしません。著者の垣谷美雨にも心当たりがない。タイトルの『結婚相手は抽選で』は、ラブコメ風で、一歩間違えばどうしようもなくつまらないものになりかねない。普通なら手にしないのですが、最近、韓国と台湾のラブコメドラマばかり見ているもの…  全文読む 評価する

ロマンス ロマンス
みーちゃん/なにもこのお話なら、現代が舞台でよかったんじゃありませんか。時代を変えるなら、文体も変えて欲しかった。もっと耽美的な。しかし、伯爵だ、貴族だ、華族だ、いい加減にしたいものです、そんなもの出すから話がダレる・・・
八木美穂子の絵って、今を、よりは昔を描いたときのほうがキマルって思うのは私だけでしょうか。日本人よりは欧米の人を描いたほうがいいし、日本人の場合なら明治、大正、昭和初期の絵の出来がいい。ま、プロですからほかの地方、時代だってこなすんでしょうが、過去の仕事にはその傾向がありました。だから、この小説のように昭和初期を舞台にしたものにはピッタリ、ということになります。装丁は、文藝春秋社の本ですから矢張り大久保明子です。と本の外見は私好みですが、どちらかというと相性の悪い柳広司のミステリ。なんていうか、柳の場合、内容が他の作品とか時代背景に負いすぎているのがどうもな、っていうことなんだと思います。ま、…  全文読む 評価する

無垢の博物館 無垢の博物館
みーちゃん/ノーベル賞作家が書いたヘタレ男の生涯。っていうか、韓ドラの世界です、これって・・・。それにしても、美女は強し。
ノーベル賞作家の小説にこう言っちゃあなんですけど、韓ドラの世界だなと。たとえば『揺れないで』の世界。微妙に違うのは当たり前なんですけど、『揺れないで』がどんなお話かと言えば、婚約していた女性の妹に恋する男の苦悩を描く、っていうか男は全然苦悩しないで、二人の女性の間をただユラユラ心を揺らしているだけなんですが、姉妹のほうは振り回されて悩む。この男というのが、実にだらしがない。もう、愛情の、っていえばカッコいいんですが、要するにその時の欲望のままに動く。ここらは韓流・華流ドラマお手の物の話題です。韓流では『揺れないで』『ピンクのリップスティック』なんかがありました。もう、ともかく男がダラシナイ。華…  全文読む 評価する

美女たちの西洋美術史 美女たちの西洋美術史
みーちゃん/絵の寸法、技法、下地といった基本データの欠如は、この手の本としては失格としか言いようがありません。いい図版が多いことは認めたうえで、でも美術本としての最低条件を満たす努力不足!
シリーズ新書の装幀なので、とりたてていうことはないのですが、担当に「アラン・チャン」とあると、この人はどんな経歴の装幀家なんだろう、とは思います。それと、光文社の本ていうか、ノベルスにしても文庫にしても、古典文庫以外はかなり派手めの意匠なので、このおとなしいカバーを見ていると、どこの会社の新書? って思ってしまうことは事実。それにしても、こんなに各社から新書がでるとは・・・で、この本、タイトルだけ見れば中野京子の新作だ、って思います、フツー。だって、同じ光文社から同じようなタイトルの本が出ているわけですから。ともかく、中野の仕事と差別化ができないわけです。どっちが先とか後とかは言わないし、この…  全文読む 評価する

蒼い猟犬 蒼い猟犬
みーちゃん/役人の事なかれ主義、小説の中だけじゃありません。現実に人が死ぬ。イジメ、ストーカー、児童虐待。役人のいうことはいつも一緒。自分には責任がないと・・・
現在、エンタメ系警察小説の書き手として私が最も注目している堂場瞬一の書き下ろし作品です。といっても、堂場の場合あまり珍しくはありません。出る作品の多くが警察小説ですし、その作品の半数近くが書き下ろしです。年に二冊本を出して一冊が書下ろし、ならわかりますが、一年に何冊もの書下ろし小説を出す、頭脳よりも、その体力に感心します。で、この本、タイトルだけ見れば近藤史恵と若き日の西村京太郎を足して割ったような感じ。でカバーデザイン。(C)AUGUST MOON/orion/amanaimages の写真自体はいいですが、こうして本のカバーに使うと、何となく安っぽく感じるのは、青に深みがないのと、紙質がい…  全文読む 評価する

源頼朝の真像 源頼朝の真像
みーちゃん/書かれている内容はいいのですが、図版のレイアウトが不親切。っていうか、これくらいは知ってて当たり前、という驕った姿勢で説明を省略しています。親切に分かりやすく本を作ることは編集の基本なのに、それを忘れている。折角の内容が正確に伝わらない、なんて損です。勿体ない・・・
まず、この本は内容はともかく、編集で失敗した本だと思います。理由は単純で、巻頭に口絵を持ってこなかったことによって、私などのように歴史に疎い読者は、肝心の黒田が指摘する問題点が全く見えないまま、33頁まで読み進まなければならないからです。プロローグには神護寺蔵の国宝伝源頼朝像について言及がありますが、図は出てきませんし、一章に入って伝平重盛像、伝藤原光能像という神護寺三像、大英博物館蔵源頼朝像、大英博物館本といった言葉が頻繁に登場しますが、ここでも図版は登場しません。33頁まで、いったいどの図が問題とされ、どういった絵画や像が批判の対象になっているかも分かたないまま、本を読み進める不安というか…  全文読む 評価する

女子芸人 女子芸人
みーちゃん/原題は『花園のサル』なんだそうです。申し訳ありませんがセンスがありません。そういうタイトルを平気でつける人の作品となると、それが知名度がない「新潮エンターテインメント大賞」受賞作であろうがなんであろうが、こちらは構えてしまう。で、結果、古典落語と同じかな、と。つまり少しも新しくないけど、当たり前の世界を描いて読ませる・・・
新しいデザイン、っていう感じがしないのは曽根愛の画風なのか、それとも内容を反映した絵柄のせいなのか、正直、カバーだけ見ると神田の前作『フェロモン』を出したポプラ社の本的な雰囲気が出ています。はたして、それが狙いだったのかどうか、内容ではなく、舞台となる世界を表現しているのでしょうが、ちょっと違うかなと。新潮社装幀室に聞いてみたいところです。で、神田茜は、「1965年7月生まれ。女性講談師、小説家。北海道帯広市出身。夫は落語家林家彦いち。彦いちとの結婚後(そして師の2代目神田山陽の死後)、夫の協会である落語協会に移籍した。本名:安田(旧姓・鈴木)明美。」と wikipedia には出ています。最…  全文読む 評価する

邪悪 邪悪
みーちゃん/スプラッター好きの方にだけお薦め。まともなミステリファンには、ヨハン・テオリンの『黄昏に眠る秋』を押します。歴史のない国は、このレベルの作品に探偵作家クラブ賞最優秀新人賞をあげてしまう。久しぶりの空振りMWA・・・
岩瀬聡の手になるカバーデザインは、文句のつけようがない素晴らしいもの。カバー写真(C)Gaetan Charbonneau/Getty Images の良さもあって、ある意味、早川ミステリ文庫らしいデザインです。ま、このまま褒め放しではつまらないので、疑問を一つ。カバー中央左に七搦理美子【訳】とありますが、【 】が、やけに目立ちます。ただ一文字分開けて 訳 のほうが美しかったのではないでしょうか。でも、カバーに比べれば、内容のお粗末なことと言ったら・・・このどこが「アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作」なんだ! と思って、訳者あとがきを読むと、やはり「アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞」なんです。…  全文読む 評価する

駆けぬける現代美術 駆けぬける現代美術
みーちゃん/「美術は進歩しないが,拡大する」名言です。だって、現代美術が近代美術より進歩したなんて気配、どこにもありませんもの。ま、ミステリだってSFだって、拡大しているとは言えるんですが、でも確実に進歩している。美術だけかな、拡大だけっていうのは・・・
狙いなんでしょうが、美術の教科書のようなデザインで、本でいえば宝島社の別冊宝島。造本的には完全に美術手帳に負けている感じ。でも、この本に関して言えば、カバー折り返しにもある「美術は進歩しないが,拡大する」という言葉だけで十分価値があると思います。でも、これで2700円? 売れそうにない本だからって、この値段は売る側の論理で設定されたもの。これなら別冊宝島で出してほしかった、どう読んでも1200円でしょ。装丁・レイアウト担当の松村美由紀に聞いてみたいところです。で、現代美術。私にとっては得意の分野ではありません。これは今に始まったことではなくて、平面作品はともかく立体的なものとなると殆どお手上げ…  全文読む 評価する

感染遊戯 感染遊戯
みーちゃん/誉田 哲也、短編でも腕の冴えを見せてくれました。でもなにより嬉しかったのは、あの関西弁を使うセクハラおやじが登場しなかったこと。大阪の人には申し訳ありませんが、関西弁のミステリ、特に刑事ものってなんだか変なんです。それがないだけでお話がこんなにスッキリするなんて、偏見ですよね、絶対・・・
雰囲気のあるカバー写真で、ちょっと映画風だなとは思いますがいいのではないでしょうか。帯を意識してカバー下半分をほとんど色だけにしていますが、裸にしてみてもさほど違和感がありません。文字の入れ方さえ工夫すれば、このまま文庫にも使えそうなデザインかな、なんて思います。このシリーズの泉沢光雄の装幀は安定しています。ちなみに写真提供は(C)MASAO HAYASHI/SEBUN PHOTO/amanaimages、(C)BLOOMimage/amanaimages。で、今回は姫川玲子シリーズからのスピン・オフ短編集。出版社のHPの内容紹介文は           *『ストロベリーナイト』のガンテツ。『…  全文読む 評価する

黄昏に眠る秋 黄昏に眠る秋
みーちゃん/日本の推理小説と似たような事件を扱いながら、なぜか読後の印象がとてつもなく深いものに感じられます。その辺については、もしかすると海外文学では重厚長大をよしとする素晴らしい伝統がまだ生きているからかもしれません。未訳作品の訳出が待たれる作家の登場です。
スウェーデンの推理作家の作品で、本邦初登場です。もちろん、私が初めて耳にする名前です。ただし、ミステリでスウェーデンといえば、あの警察小説の傑作『笑う警官』など「マルティン・ベックシリーズ」を書いたペール・ヴァールーとマイ・ シューヴァルがいるわけで、私も昔熱狂して読んだ記憶があるせいか、それだけで好感度があがります。しかもスウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀新人賞、英国推理作家協会(CWA)賞最優秀新人賞を受賞作です。特に CWA賞最優秀新人賞っていうのは私にとっては大きいです。エドガー賞に比べて、やはり人間に対する洞察力が違いますし、息の長い活動が期待できるという点でも評価が高い。そうい…  全文読む 評価する

樹木ハカセになろう 樹木ハカセになろう
みーちゃん/ただ真面目に、密度の濃い情報を流せばいい、っていうものじゃあないんです。樹木のことを知り、外に出て実際に触れたりして確かめたくなる、そういう喜びを教えてくれるものでなくては。残念なことに、この本にはその視点が欠けています。
以前ほどではありませんが、あるとも言えないような狭い庭をみていると突然、木を植えたくなります。元気のない樹木をみていると何とかならないか、と思います。花が思ったほど咲かないと、なぜだろうと思い、大事に種から育ててきた苗が枯れてしまうと、何がいけなかったんだろう、どこで間違ったんだろうって悩みもします。そんなとき見つけたのが読みやすくて好きな岩波のジュニア新書。カバーイラストは上原エミ。カバー後の内容案内をみてみると          *樹木ハカセになろう サルスベリの幹が冷やっとするのは? 落葉するハンノキが紅葉しないのは? 銀座にヤナギなのは? 葉や枝,幹や根の構造やはたらきなどの基本を学…  全文読む 評価する

ナニワ・モンスター ナニワ・モンスター
みーちゃん/ああ、あの事件と人を結びつけたんだ、それにしても上手につなげたものだ、まるで本当のことみたい、なんて思っていたらインフルエンザなどに対応に関する法案が提出されるとか。また政官と業界が組んでへんなこと考えてんじゃないでしょうね・・・
サイトウユウスケのカバー画は目立ちはしますが、正直いって下品。宝島社が海堂に与える装幀もろくなものではありませんが、新潮社にしてこのデザインか! なんて思います。文藝春秋や講談社と一歩も変わらないじゃん、畠山モグの本文カットも印象に残らないし、どうしたのでしょうか新潮社装幀室は。このままでは海堂尊、装幀に恵まれないベストセラー作家のままです・・・。で、です。タイトルが凄い。つい先日、大都市制度の在り方などをめぐって争われた大阪ダブル選挙があり、大阪市長に元府知事の橋下徹、大阪府知事に松井一郎が当選したことで、橋下氏が代表を務める「大阪維新の会」が知事、市長の両ポストを占め、改革への準備ができた…  全文読む 評価する

夜の欧羅巴 夜の欧羅巴
みーちゃん/B級映画やアニメの原作レベルのお話なんですが、でもきちんとツイストはあるし、面白い人物も登場する。そういう意味でホントは★★★☆なんです、はい・・・
我孫子武丸『眠り姫とバンパイア』でも書きましたが、もう完結を待たずに刊行を打ち切ったと思っていた講談社ミステリーランドの最新刊で、『眠り姫とバンパイア』と同時配本です。装幀を安価なソフトカバーに変えることもなく、相変わらず装丁の祖父江慎+安藤智良( cozfish )とシリーズ造本設計 阿部聡のコンビによるしゃれたスリーブ箱入りで装幀も頑張っています。ただし小島文美の装画・挿絵には感心しません。裏表紙の絵などは書き込みもかなりあって唸らせますが、表表紙や挿絵となるとコミックスの域を出ていません。親しみやすさを感じるよりは、どこにでもあるマンガに情報だけはたっぷり盛り込んだ、という感が強い。総じ…  全文読む 評価する

母子寮前 母子寮前
みーちゃん/私もこういう父親を許す気はしないなあ、でも、いるんです、こういう愚かな男が今も昔も。それを支えるのが、昔の儒教や忠君愛国主義であり天皇制である、なんてとこまで私の場合は言いきっちゃうんですけど・・・
小谷野敦の書く本が面白くて、立て続けに何冊か読んで、もてないはずの彼が結婚して、おまけに私の嫌いな東大出だということを知って、おまけに言うことがだんだんエラソーになってきたので離れてしまってから数年が経ちます。それでも、昔の恋人の動静が気になるように、私は知らず知らずのうちの書店で小谷野の名前を見かければ、そのままスルーとはいかず、ぼんやりとその周辺を眺める、なんていうことをしてきました。でも、あえて本に手を伸ばすまでには至りませんでした。作品の書名に魅力がなかったし、装幀だって軽装ばかりで思わず手にしたくなる、そういうものでもありませんでした。そんな私にとって、第144回芥川賞の候補者名簿に…  全文読む 評価する

心はあなたのもとに 心はあなたのもとに
みーちゃん/昔からかもしれませんが、もしかして村上龍は恋愛というものに興味がないのではないでしょうか。〈著者が全身全霊でとりくんだ恋愛小説!〉がこれですか、サッカーや病気の情報小説みたいになっている気がするんですけど・・・
村上龍と村上春樹、比べられるのはご両人にとっては決して愉快なことではないでしょう。特に、ベストセラー作家として出発し、春樹にベストセラー出せばいいよ、なんて言っていた龍にとっては。デビュー以来、熱心ではないけれど何となく両村上を追いかけてきた私にとっても、どうも居心地が悪い。春樹の一人勝ち、っていう現状がなんとも詰まらない。ですから、私などは「今度こそ」なんていう思いで村上龍の新刊を待ち受ける。でも、どこか違う。なぜって、龍は恋愛小説を書かない。不可思議な世界もあまり描かない。そのかわり、政治、経済を描く。それもかなりストレートに。でも、です。作家の考えはどうあれ、読者にとって小説の王道は恋愛…  全文読む 評価する

フランケンシュタイン 野望 フランケンシュタイン 野望
みーちゃん/ま、はっきりいって映画化を当て込んだB級作品です。多分、映画にすればもっと面白くなるはず。小説で読むとスカスカ。このレベルで評判が良くて、お話が終わらなくなっちゃったというんですからアメリカ人のレベルがよくわかる・・・
あとがきにもあるように、私のような平均的日本人にとって、フランケンシュタインはあくまで首を一周する切り傷をもった、額の広い平らな頭頂をもった色白の、不気味な容貌の歩行に不自由さをみせる怪物のほうであって、彼を生みだした博士の方ではありません。ですから、タイトルだけでこの小説を見れば、あの怪物が野望をもって何かをする、という話になります。ところが、カバー後の内容紹介をみて *天才科学者フランケンシュタインによって創造された怪物は、現在まで生き延び、デュカリオンと名乗っていた。一方、フランケンシュタインも命を長らえ、ヴィクター・ヘリオスの偽名のもと、人造人間である新人…  全文読む 評価する

いねむり先生 いねむり先生
みーちゃん/ギャンブルをしたくなる、というよりは旅に出たくなる一冊、といったほうがいいのではないでしょうか。旅打ち、とは上手く言ったものです。
先入観なしにこのタイトルを見た時、私が思ったのは夏目漱石の『吾輩は猫である』であり、尾崎一雄の『暢気眼鏡』でした。といっても後者は読んだこともないので、あくまでイメージが、です。いねむりする先生の脇に三毛猫がいる、そんな絵まで脳裏に浮かんでいました。でも、違ってました、いや、雰囲気は想像通りおおらかです。なんだか昔の神仙譚を読むような、悠揚迫らざる感があります。でも、これは自伝小説です、だからリアルです。でも、どこか夢の中の出来事のような、そんな気が読み終わってからもついてまわる、そういう不思議な味わいの小説でもあります。鈴木成一デザイン室のブックデザイン、というかカバーデザインもそういう柔ら…  全文読む 評価する

恋愛小説 恋愛小説
みーちゃん/今時の若い女は、なんて言う声が聞こえてきそう。リアル、っちゃあ確かにリアル。自分の心に忠実、っていうことをお題目に好き勝手に生きる。それを至高の愛と呼ぶのは当人の自由。ともかく、読後感の悪い小説ではあります。
ついこのあいだ読んだばかりなのに、内容をほとんど思い出せません。われながら、寄る年波という津波の大きさに驚いてしまうことしきりではあります。とはいえ、本をひっくり返せば色々、不快だったことなどが浮かんできます。久しぶりに読後感の悪い小説を読んだな、っていう思い。でも、それはあくまで登場人物の行動の身勝手さが生んだもの、それを描き出すことを快と感じた著者の感性の話。で、大雑把にいってしまえば、入社以来つきあっていたネコちゃんこと猫田健太郎と結婚の約束をし、相手の実家にも挨拶にいった岡見美緒が、かつて同じ広告関係の会社に健太郎とともにいたことのあるサスケこと犬童早介のことが気になってしかたがなく、…  全文読む 評価する

名探偵の呪縛 名探偵の呪縛
みーちゃん/東野らしくない、といったら言い過ぎかもしれません。多彩な作風こそ東野、といえばこのスタイルもあり。ただし、読んでいて西澤保彦と勘違いするのは私だけ? ま、現在からみれば化ける前の東野かも・・・
装画 塩谷博明、デザイン 鈴木巌夫の手になる、ちょっと生な感じの色合いのカバーですが、小説の内容がコミカルで皮肉に満ちたものですから、それを体現するものと受けとめれば、納得できるものではあります。ついでに書いておけば、多分この絵、エッシャーの作品をアレンジしたものでしょうから、せめて画のタイトルとして「エッシャーに捧ぐ」とかつけてもよかったんじゃないでしょうか。そういえば、なぜカバー画にはタイトルがないのでしょう。オリジナル作品であるのに、画題がついているのはタブローとして既に発表されたものだけです。カバー画は、確かにデザイン関係の請け負い仕事ですから、原則題名なしで、あったとしても、そのまま…  全文読む 評価する

眠り姫とバンパイア 眠り姫とバンパイア
みーちゃん/児童向けミステリであるいじょう、やはり謎解きのカギになるものもそれに相応しいものであってほしいと思うのは私の身勝手でしょうか。全体としてはいいのですが、気になる点がいくつか・・・
続巻が出るのか否かもよくわからない講談社ミステリーランドの最新刊で、井上雅彦『夜の欧羅巴』と同時配本。これだけ時間が空くと、知らないうちに装幀がソフトカバーになったりすることもあるのですが、相変わらずしゃれた箱入りで装幀も頑張っています。ま、値段も2000円を超えていて、本当に子どもが買うとは思えません。親がプレゼントする、というコンセプトなんでしょうか・・・装画・挿絵 MARU装丁 祖父江慎+安藤智良( cozfish )シリーズ造本設計 阿部聡で、MARUの挿絵です。所謂上手さを見せつけるものではありませんが、私は好きです。特に、コミックス臭がしないのがいい。大きく分類すると山本容子タイプ…  全文読む 評価する

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