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舞い降りた天皇 舞い降りた天皇
Yostos/歴史の教科書を信じられなくなる!
『舞い降りた天皇』いわゆる歴史ミステリーです。歴史について独自視点で新たな仮説と推理で歴史上の謎に新たな結論を導きだ して行くという歴史ミステリーの典型的なスタイルです。その謎解きの過程は、小説上に登場する架空の小説家に仮託して展開されていくというのもよくあるスタイルです。わたしは、本当はこういったスタイルの小説は好きではありません。どうしても物語りが、現代で展開していく謎解きストーリーと、歴史上の謎そのものという2本立てになってしまい、どちらが主なのかわからなくなるからです。ところが、この小説は語られる謎が圧倒的で、なおかつ説得力を持って語られるので、そんなスタイルの好き嫌いを越えてのめり込…  全文読む 評価する

宗像大社・古代祭祀の原風景 宗像大社・古代祭祀の原風景
Yostos/秋の夜長、古代のロマンに思いを馳せさせてくれる一冊
中学の頃、福岡に住んでいた。夏休みに暇を持て余して「神社でも回るか」と思ったのは、太宰府天満宮の近くに住んでいたからだろうか。最初に目指して50kmの道のりを自転車を漕ぎだし、途中で挫折したまま一度も音連れたことがないのが宗像大社だ。「大社」というのは平安のころ延喜式神名帳に大社として格付けされた神社。500ほどの大社があるらしいが、まぁ大きな神社なのだろうとなんとなく思っていた。が、この『宗像大社/古代祭祀の原風景』ってのを読んでみると、とんでもなく古い由来のある神社で、500どころか古代にはベスト5には入っていて、平安のまでもの凄い権勢をふるっていて、それが戦国時代まで続いていたらしい。こ…  全文読む 評価する

キーボード配列QWERTYの謎 キーボード配列QWERTYの謎
Yostos/あれは定説だったの! と目から鱗
題名に惹かれて手に取った本。わたしの世代だと、Apple IIcが発売されたときに「Dvorakという効率のよいキーボード配列がサポートされる」という記事をよく目にした。そこに必ず書かれていたのは「現在のQWERTYキーボードは、タイプライター時代に高速タイプでアームが引っかかるという問題のためわざとタイプ効率を下げるよう配列されている」という内容。もうこれは刷り込みに近く長年信じていた。この本を読むと、歴史的にQWERTY配列は決してそんな出生ではあり得なかったこと、上記のようは誤解はDvorakの信者たちの布教活動と一部の経済学者たちの「市場の失敗」例としての恣意的な取り上げ方によるもので…  全文読む 評価する

噺家の手ぬぐい 噺家の手ぬぐい
Yostos/貴重な手ぬぐいのコレクション
落語協会の噺家さんらが作っている手ぬぐいを約三百種、写真で紹介した書籍です。噺家さんの手ぬぐいは、既製品ではなくほとんどがオリジナルの手ぬぐいです。 噺家さんたちは落語で使うのはもちろん、名刺代わりに噺家同士やご贔屓筋への贈り物などに手ぬぐいをやり取りするのだそうです。そのため、自身で絵や字を書いている方、プロのイラストレータ(中には山藤章二、石ノ森章太郎、手塚治虫なんて大御所も)にデザインしてもらってる方など様々ですが、皆それぞれ工夫を凝らして粋と洒落の詰まったオリジナルの手ぬぐいを作っていらっしゃいます。すべての手ぬぐいに、監修の玉の輔師匠の解説、噺家さんのプロフィールと自身のコメントが…  全文読む 評価する

大和撫子のための手ぬぐい学校 大和撫子のための手ぬぐい学校
Yostos/手ぬぐいを見なそう
学校に授業に見立てて手ぬぐいの紹介がなされている。例えば、手ぬぐいの歴史、染め方、色、柄などが、それぞれ歴史、理科、美術、算数の授業に見立てられていて楽しく手ぬぐいの基本的な知識を得ることができる。手ぬぐいというとある程度年配の方には木綿統制解かれ戦後の生活向上に伴う再普及の過程で生活必需品や年末年始の企業の贈答品というイメージが強いかもしれない。しかし、現在は伝統的な注染という染め方で非常にバラエティの飛んだデザインと晒の風合いから伝統を引き継ぎつつ新しい嗜好品として女性に密かに人気となっている。この本では伝統的な柄名、色名の由来だけでなく、新しい現代的な使い方、かぶり方、包み方、かばんや小…  全文読む 評価する

ナツメグの味 ナツメグの味
Yostos/善良でない笑みをあなたに
タイトルからもう少しほのぼのとしたクラシックな内容を想像していたが、わたしの中では阿刀田高さんのブラックな短編集に近い印象だ。短編作家として一番活躍した時代は1920-40年代らしいので、このブラックさをその時代に発揮していたのには驚かされる。この感覚は今読んでもある種の新しさを感じさせてくれる。ブラック一辺倒という訳ではなくて、不思議な話やなんだか前向きな話もあったりして作品の幅が広くそういう意味でも楽しめる。(結末が「??」と理解に苦しむものもあり、この辺は時代のズレか自分の理解力不足か……)しかし、いずれも短編の結末の後に余韻を残し、そして多くの作品は更に後の皮肉な展開を想像し、読者をつ…  全文読む 評価する

やがて目覚めない朝が来る やがて目覚めない朝が来る
Yostos/老いと死と、そして子供
有加という女性が大女優であった祖母との関わりを少女時代から祖母の死までを追想の形で書かれた物語。あくまで有加の視点で彼女の聞いたことだけが語られていく語り口と登場人物のからりとした生き様で切ない内容ながら読後はとても浄化されて清々しい気分になる。現代では同居する家族が減ってきているので、親以外の大人、特に老人と触れあったり話したりする機会が限られている。わたしは身近に祖母が同居していたのでこの物語の雰囲気はとっても懐かしく思われる。祖母との関係は当然親とのそれとも違ったし、特に大人との触れ合いを避けたくなる思春期にある種大人でない特殊な大人としてつきあえた気がする。そして、老いと病からは、どこ…  全文読む 評価する

記者ハンドブック 記者ハンドブック
Yostos/ブロガーは必携、わかりやすい文章を書く指針!
以前かな漢字変換のATOKのオプションとしてこのハンドブックを辞書化した『記者ハンドブック辞書』を使用していて大変便利でした。合わせてこのハンドブックを手元においておくと、非常に参考になります。気をつけて自分の文章をよりわかりやすい表現にしましょう。かな漢字変換を使用していると、つい漢字を多く使いがちです。例えば「比喩」とか「便箋」とかつい書いています。このハンドブックを引けば「比喩→例え」や「便箋→便せん」などの言い換えを示してくれます。普段は「私」と書いてしまいますが、一般的には「わたし」とひらがな書きした方がよいとかなかなか気づきません。これは記者が記事を書く時に使用される「新聞用字用語…  全文読む 評価する

裸者と裸者 裸者と裸者
Yostos/闘いたかった新人類へ
昨年10月に作者の打海文三さんが亡くなった記事を目にしてから、ずっと読 みたいと思っていた作品。近未来、アジアの経済崩壊、大陸からの難民により無政府状態になった日本で の孤児たちの生き様を描いた作品。戦争状態なので、戦闘、戦況の描写が多い。無政府状態の日本というとかなり 突飛な設定のように思えるが、アフリカやアジアの状況を見ていると起ること が起れば結構ありえる設定だと思える。戦況の推移は都合がよすぎる 面もあるが、作者の並々ならぬ筆力で淡々と語られるそれはリアリティのある 世界を作りだしている。上巻は軍隊の中で成長している孤児・佐々木海人の視線で、下巻は女マフィア を形成していく双子の月田姉…  全文読む 評価する

新世界より 新世界より
Yostos/最後の最後まで人の業の救いなきこと……
少女の一人称で語られる物語、描かれる世界は昭和初期を思わせる農村的風景、世界感を支配する「呪力」に架空の生物たち。なんとなく宮崎駿的ファンタジーを思い浮べながら読みはじめた。ローレンツの動物行動学に発想を得たという、オオカミなど凶暴と言われる動物以上に同族への攻撃抑制ができない人間の不完全さが全編に渡って描かれている。描かれる人間の業は、後半に向けて繰り返し更に救いの無い形でより深く描かれていく。かなり悲惨な展開の中で主人公の強さということが物語でも出てくるが、どちらかというとこれは展開上の必要性で与えられた属性でテーマは人間の業の救いの無さにあるように読める。そして、最後の最後で更に救いのな…  全文読む 評価する

ランドックの刻印 ランドックの刻印
Yostos/SFは向いていない……
「アウラ」についでシリーズで重要なキーワードとなっている「ランドック」がついにタイトルに。10巻近く続いていた記憶喪失編もこれでピリオド。 だが、なんとなくすっきりしない。記憶喪失自体はもともとこの物語の発想が「コナンシリーズ」に刺激されたヒロイックファンタジーとして出発しているのだから、主人公があるとき記憶や地位などを一切失しなって一から冒険を求められるというのは伝統ではある。だが今回はどうだろう。10巻分が無かったことになっただけ……また、古代機械に入ったとき古代機械のグインの扱いにかなりグインが何者であるかの示唆が示されている。だが、個人的にはかなり違和感あり。1960年代のSFを読ん…  全文読む 評価する

食品の裏側 食品の裏側
Yostos/食について考えるきっかけになる本
なんとなく手に取った本。食品添加物の元トップセールスマンだった著者が実体験に基づいて語る食品製造の裏側は、ミートホープ事件やなど「まだ、肉を使っているだけマシかも」と思わせるほど恐ろしい。もしかするとでっち上げだった段ボール肉まんレベルのものを食べさせられているのは私たちかも!?と疑ってしまうほど。よく考えると子供の頃は不便だった。食品の持ちも悪かったし、すぐに食せるインスタントなものはチキンラーメンくらいのものであった。今は不審に思いつつ便利さに負けて「便利な食品」を利用する。不審に思っても確かめる術がなかった。この本を読むと「なるほど!」と思う。 たしかにわたしにとってはコーヒーフレッシ…  全文読む 評価する

キマイラ青龍変 キマイラ青龍変
Yostos/弘です、わたしはこのとき目覚めたとです……
長かった。以前文庫本で出版されたキマイラシリーズが加筆された単行本が発行されるようになってから、「今後は、文庫本ではなくまず単行本で先行して出版していく」という宣言がなされた。そして2002年に文庫本をまとめた最後の単行本『キマイラ 8』が出版されて以来初めての単行本だ。今回は本伝から少し離れて、サブキャラクターである龍王院弘が宇名月典善に出会った若き日から格闘家(?)としての目覚めまでを追ったストーリーになっている。信じられないことにいじめられっ子だった弘が典善の導きで天性の才能を開花させていく過程は、この蛇のような二人だけにほほ笑ましい少年の成長物語とはなりえない。どちらかというと凄惨な場…  全文読む 評価する

赤とんぼの謎 赤とんぼの謎
Yostos/子供に語ろう! 赤とんぼの話
この虫の中でも赤とんぼというニッチにテーマを絞り込んだマニアな本。内容は一章で日本人と赤とんぼとの関わりについて語ったあと、アキアカネの話、ウスバキトンボの話、その他赤とんぼ全般の話とまとまっていて読みやすい。日本ではこれほど風物としてなじみ深いトンボが、外国では「刺す」という誤解もあって忌み嫌われていたり無視されていたりするというのは驚いた。日本のように親しみを感じるのは水田で稲作を行う韓国や台湾に限られているというのも興味深い。また、有名な「赤とんぼの唄」について語られている蘊蓄はさすが!赤とんぼが羽化して後避暑のため山に登って秋に帰ってくるという話はわたしでも知っているくらい有名だが、そ…  全文読む 評価する

死ぬことと見つけたり 死ぬことと見つけたり
Yostos/最後のいくさ人として生き様
隆 慶一郎の遺作『死ぬことと見つけたり』を久しぶりに読んだ。あの『葉隠』から、よくもまぁこんな痛快な物語を編み出したものだと今さらながら感心する。葉隠をベースに江戸初期の鍋島藩を舞台に浪人斉藤杢之助の活躍を描いた物である。隆 慶一郎といえば、『影武者徳川家康』などで代表されるよう網野史学を下敷きに自由民、職能民(道々の者)と体制、権力者との戦いを描くというのが得意とする作風である。この作品もやはりこれから本格的に江戸幕府の体制に移行する時期に、戦国時代が終わり活躍の場を失いつつあるある種の職能民「いくさ人」である斉藤杢之助、中野一馬、鍋島直茂らが、体制側である鍋島勝茂、老中松平信綱らとの戦いが…  全文読む 評価する

スバル水平対向エンジン40年の歴史 スバル水平対向エンジン40年の歴史
Yostos/スバル伝統の水平対向エンジン、その魂を知れ!
今やスバルのアイデンティティとなった水平対向エンジンについて、その誕生から現在に至る歴史を綴った本。特徴となっているエンジンを主軸に、スバルの独自性やレガシィに至る技術面からの理解がまとめられている。。特に、前輪駆動(FF)の日本での先駆となったスバル1000でこのエンジン形式に至った初期の頃の日本でも有数の技術者集団のチャレンジ、その優れたアーキテクチャー故に20年も長らえ逆に時代遅れとなったときのレガシィでのブレイクスルーなどは読み物としても非常に面白い。また、冒頭の航空機時代から遡って記述されたスバル以外も含めた水平対向エンジンの歴史はスバルオタクには目新しいだろう。一方で、スバル以外の…  全文読む 評価する

敵は海賊・正義の眼 敵は海賊・正義の眼
Yostos/10年ぶりの最新刊を楽しもう!
今回は見開きに「聖なる悪と純なる悪の俗なる戦い」という言葉どおり、「正義」を振りかざす悪と純粋な悪とどちらがより悪かという神林氏らしい観念的なコンセプトの上に描かれているストーリーだ。いままでの「敵は海賊」シリーズでもこういったテーマを描いたものもあったが、今回はこのシリーズらしいドタバタが目立って少ないので違和感を覚えるファンも多いだろう。もっとも、これは観念や理念での戦いであって、海賊課のあり方がそんなものとは究極に位置する即物的な存在であるから、これは必然なのかもしれない。ヨウメイも言っている、「海賊課の連中は観念で遊ぼうとしない。ゲームに参加しようとしないのだから、遊びにならない」と。…  全文読む 評価する

呪われた町 呪われた町
Yostos/小野不由美さんの『屍鬼』と合わせて読むとよい!
初期のスティーヴン・キングの作品、原題は『Salem’s Lot』。かつてブラム・ストーカーが描いた『ドラキュラ』のような吸血鬼が現代に現れたら?というのは今では割と使い古された設定だけれど、これを70年代中期にリアリティを持って描いているのだからやはり先駆的な作品だと思う。描かれているのは吸血鬼により町が崩壊して行く姿だが、アメリカの地方都市で軍隊に入るしか生活の場がないフリントのような町を重ねてみることもできる。とするとここで吸血鬼として描かれているものの意図は……というのはちょっと読みすぎだろう。何故こんな本を今ごろ読み出したかというと、以前読んだ小野不由美さんの屍鬼』を最近読み返し、こ…  全文読む 評価する

パラレルワールド・ラブストーリー パラレルワールド・ラブストーリー
Yostos/古典的な冬ソナパターンを東野圭吾がやるとこうなる!
タイムスリップものと間違えて買った東野圭吾の作品。毎日東海道本線の電車から、決まって品川辺りで並走する京浜東北線に乗っている女性に恋してしまう主人公。出だしはさわやかに始まるが、その後自身の記憶と異なるフラッシュバックが起こり始め、自身の記憶を疑り始める。ストーリーは、過去に実際にあった事象と、現在の異なる記憶持った主人公がギャップを感じる状況が交互に描かれて行く。記憶喪失と恋愛、特に三角関係というのは冬ソナなどでも扱われて定番だ。この手のストリートしては古典的な枠組みだが、新しいのはまず主人公の視点で描かれていること。通常は、記憶を失っている恋人を見守る主人公という構図なのだが、この本では主…  全文読む 評価する

さよならの代わりに さよならの代わりに
Yostos/主人公は誰と恋に落ちるか
この小説のタイムスリップに関して言うと、タイムマシンなど登場せず気がついたら過去に飛んでいるというどこかで見たような設定。しかも、自分の生きた時代より前にフィジカルにスリップしてしまう。かなり設定自体強引だが、現象としてしか説明されておらずうまく無理な説明を避けている。また、タイムスリップするのは主人公ではなく、主人公は継続した時間を生きておりタイムスリッパーに遭遇する。このため物語も、タイムスリップを客観的な視点から描いている点がめずらしいかもしれない。殺人事件が絡んでミステリ的要素もあるが、実際のところ物語上はあまり重要でない。タイムスリップですら状況設定としてはうまく使われていると思うが…  全文読む 評価する

奇跡の自転車 奇跡の自転車
Yostos/自転車版『フォレストガンプ』
一日で読んでしまった。もう速読に近い。酒と煙草とジャンクフード、さえない仕事、体重126キロ、43歳の男に突然もたらされる、両親の事故死、続く20年前に失踪した心を病んだ姉の死。そして、自転車を漕ぎだす。なかなか救いの無い人生、主人公もかなりアホウで不運だ。けど、『フォレストガンプ/一期一会』を思い出した。映画化されるらしいので、よいロードムービーになろう。  全文読む 評価する

リピート リピート
Yostos/最後まで一気に読めるタイムスリップもの
そもそもタイムスリップものは好きなジャンルであることと、そのタイトルと紹介されていたストーリーから大好きなケン・グリムウッドの『リプレイ』を連想したからだ。実際、作品の中でも時間を繰り返すタイムスリップを突きつけられた時主人公達はケン・グリムウッドの『リプレイ』を引き合いに出して議論を行う場面もあるので、作者がリプレイを意識しているのは確実だろう。タイムスリップ物というSF的な文法を使いながら、うまくミステリーの要素を融合させ、ちょっぴり恋愛物のスパイスも利かせてうまい具合にまとまった作品になっている。たまたま今回は筋が読めてしまって「やっぱり」って感じもしたが、一般的には二つの要素がかみ合っ…  全文読む 評価する

ねこのばば ねこのばば
Yostos/シリーズも進化中
久しぶりに読む『しゃばけ』シリーズの第三巻『ねこのばば 』。最初の頃は大妖の孫、回りのあやかし達などの設定をうまく活用していないなぁという印象だったが、第三巻ともなるとそういうものもすっかり設定として馴染めてしまう。あぁ、シリーズ化とは恐ろしい。映画化も決まったそうだ。いくつかの短編が収録されている。最初の三編はいつもと印象が違ような気がする・『茶巾たまご』『花かんざし』『ねこのばば』は人の業の深さが描かれ、かえってあやかし達のほうがすがすがしく感じてしまう。これは現代の今の世相にも当てつけた作品かもしれない。『産土』は面白いとは思うが、手法としてはおきて破りだろう。最後に収録されている『たま…  全文読む 評価する

永遠の出口 永遠の出口
Yostos/あのドラマに?
小学校から高校卒業までの少女の成長を九つの章で描かれている。普段あまり手に取るようなジャンルの作品ではないが、読んでみたのはその中のある章「黒魔術とコッペパン」が最近話題となった鬼教師のドラマを想起させたから。この章では、「黒魔女」と恐れられる教師がクラスを支配していく様子とそれに向けて立ち上がる子供たちの様子が描かれている。テストの結果で与えられる飴とムチの成績至上主義、テストを配る様、教師の口から語られる病魔などの恐ろしい「現実」、給食のシチューをこぼしてしまう生徒、合同ダンスの補習でのいびり、一年間をやり過ごすと宣言する主人公の男友達……『女王の教室』で使用されたモチーフが驚くほどそのま…  全文読む 評価する

万年筆の達人 万年筆の達人
Yostos/万年筆文化の貴重な記録
本書は、近い将来日本の万年筆の文化を記録した歴史的な資料になるだろう。古山氏の万年筆にかかわる本は、97年末に自費出版された『4本のヘミングウェイ』が最初で、その後単行本として『4本のヘミングウェイ』が2000年に出版されたが現在絶版になっており探し回っているマニアも多い。そんな中、『4本のヘミングウェイ』の内容をさらに充実させ、イラストを追加したいわば完全版が本書である。工業技術などというものは線形に進化しているのだから工業製品に関しては過去の製品よりも新しいもののほうが優れていて当たり前だと思っていた。しかし、こと万年筆に限っては、万年筆の黄金期である50年代や60年代のものが現代で復刻す…  全文読む 評価する

キマイラ青龍変 キマイラ青龍変
Yostos/弘です、わたしはこのとき目覚めたとです……
長かった。以前文庫本で出版されたキマイラシリーズが加筆された単行本が発行されるようになってから、「今後は、文庫本ではなくまず単行本で先行して出版していく」という宣言がなされた。そして2002年に文庫本をまとめた最後の単行本『キマイラ 8』が出版されて以来初めての単行本だ。今回は本伝から少し離れて、サブキャラクターである龍王院弘が宇名月典善に出会った若き日から格闘家(?)としての目覚めまでを追ったストーリーになっている。信じられないことにいじめられっ子だった弘が典善の導きで天性の才能を開花させていく過程は、この蛇のような二人だけにほほ笑ましい少年の成長物語とはなりえない。どちらかというと凄惨な場…  全文読む 評価する

DZ DZ
Yostos/あなたには読めるだろうか?この複線が
オープニングはベトナムで子供を身ごもった妊婦から始まる。 そして、アメリカで冷蔵庫に隠された夫婦の死体に端を発する殺人事件を追うスネル、同じくアメリカで遺伝子研究を行う研究者グエンと石橋、日本で重度障害児施設に赴任する女医・志度。一見関連のない3つストーリーが同時に進行して、最後にそれらが紡がれていくハリウッド映画のような手法で描かれたミステリー。この作品はミステリーだけでなくSFとしても「ヒトの進化」を扱っており、通常は障害される染色体異常と進化を関連付けてとらえている点はなるほどと感心する。科学的にどれだけ正しい内容かはわからないが、作者が医師だけに遺伝子工学や染色体の話など専門用語を交え…  全文読む 評価する

間違いだらけのクルマ選び 間違いだらけのクルマ選び
Yostos/30年の総括は重い!
思えば、最初に発行された年に父親が買ってきて熱心に読みあさっていた。「この本はズバリものを言っているすごい本だ」と父親は漏らしていた。当時漫画『サーキットの狼』が前後して連載が始まったのではないだろうか。わたしはちょうどその連載にはまっていて子供ながらクルマに興味を持ち始めたところで、この本にも興味を持ってよく父親の本棚から取り出して読んでいたものだ。それから父親は毎年買い続けていたので、自然とわたしも読むことになった。さて、この本は最終版ということで新たなレビューはなく今までのレビューを再構成することでこの30年間の日本のクルマ産業を総括しようという企画になっている。スポーツカーの浮き沈み、…  全文読む 評価する

生協の白石さん 生協の白石さん
Yostos/この本の存在意義は2つ
生協の白石さんについてはネットでも話題となり「どんな質問にもウィットに富んだ回答」とか「現代の癒し」とかありきたりの感想は、いろんなメディアに取り上げられているのでもういい加減飽きたであろうからやめておこう。白石さんの一言カードの回答自体は「がんばれ、生協の白石さん」というBlogですべての回答が公開されているので、実はこの本の求めなくともネットで読めてしまう。この本の存在意義は2つ一つは、白石さん自身のインタービューが読めること。 ネットでもメディアでも白石さん本人の人となりや、こういう騒動に対してコメントはあまり明らかになっていないので、そういうのを間に挟んで読んでいくのも楽しい読み方だと…  全文読む 評価する

グラスホッパー グラスホッパー
Yostos/バッタの悲しみを知れ!
バーテンダーか何かの話だと思って購入してみた。「グラスホッパー」というのは、銀座のバーをはしごするような人を指す言葉らしい……というのを知っていたからだが、この本では全く関係ない。バッタを指す言葉だ。バッタは、一定以上に個体の密度が多くなると体の色が変わり凶暴になるそうだ。それに掛けてあるタイトルだ。妻の復讐を図る元教師・鈴木、依頼により他人を自殺させる自殺屋・鯨、殺し屋・蝉を中心に、押し屋や殺しの仲介屋など個性あふれるキャラクターたちが、一見脈絡なく始まったある殺しをきっかけとして絡み合いながらなんとも結末につながっていく展開は、なんだか作者に「やられた!」という感じで見事。知らない作家だっ…  全文読む 評価する

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