bk1 オンライン書店ビーケーワン

送料無料キャンペーン10,000円以上(税抜)、30,000円以上(税抜)、50,000円以上(税抜)購入でもれなくポイント進呈!寄付コースもあります

> トップ > 書評一覧

1 - 30 / 39 件
八十日間世界一周 八十日間世界一周
homamiya/これぞ、THE・冒険小説
十五少年漂流記が面白かったので、そういえばウチにはもう1冊、ヴェルヌ作品があったな、と思い出して読んでみた。これも、面白い!冒険小説を書かせたら、ヴェルヌは天下一品。100年以上にわたって愛読されているだけの事はある。1872年10月2日午後8時45分。ロンドンの紳士、フィリアス・フォッグ氏が、世界一周の旅に出た。彼は、緻密な計算をし、列車や船の遅れも計算に入れた上で、80日間で世界を一周できると断言し、実践してみせる事になる。その実行に全財産を賭ける。もし1秒でも遅れたら全財産を失う羽目になる約束をする。時刻表を手に、船と電車を乗り継ぎ、旅を続ける氏と、陽気で人の好い従者のパスパルトゥー。当…  全文読む 評価する

ヨーロッパ退屈日記 ヨーロッパ退屈日記
homamiya/硬質なワガママというかこだわりが、キラキラと粋にきらめいて面白い
若かりし伊丹十三監督の、ヨーロッパ暮らしを綴ったエッセイ。硬質なワガママというかこだわりが、キラキラと粋にきらめいて面白い。読み始めは、何かちょっとキザで退屈だなー、と思っていたが、しだいに「フムフム」と真剣になり、キザで潔癖なこだわりが、快感になってくる。あとがきに「ヨーロッパ諸国と日本では風俗習慣はもとより「常識」そのものにさまざまな食い違いがある。わたくしは、これをできるだけ事実に即して書きたかった。」とあるように、著者の外国での暮らしでふれた実体験が、話題の根っこにある。そこに思想とこだわりがのっかって、演技、映画、オシャレ、語学、スポーツカー、音楽、酒、料理などについて、彼のあらゆる…  全文読む 評価する

晏子 晏子
homamiya/著者の魂をゆさぶった古代中国、斉の国の名宰相の見事な生き方を鮮やかに描いた名作
・・・・感動。人が、こうも見事に生きられるものだろうか?古代中国、斉の国の名宰相とうたわれた晏嬰の物語である。あとがきに、『歴史小説は感動を書くものだといわれる。そうだとすれば、自分の魂をゆさぶった人物を書くべきであろう。わたしにとって晏嬰はまさにそのひとりであった。』と書いてあるが、著者の感じた魂のゆさぶりは、たしかにこの本を通じて受け取れる。見事な生き方、そしてそれを見事に描写した、傑作、である。古代中国、春秋時代。大小さまざまな国が群雄割拠し、国同士の外交あり、戦あり、国の中でも大臣同士の殺し合いやクーデターもしばしば、という慌しい時代に、どんな権力にも暴力にも屈せず、正しくNOを言い続…  全文読む 評価する

美味礼讃 美味礼讃
homamiya/ほんもののフランス料理を日本にもたらした先駆者。その物語は刺激的。
辻静雄。「彼以前は西洋料理だった。彼がほんもののフランス料理をもたらした。」といわれる人物。新聞記者を辞め、まったくの素人から、調理学校に婿入りし、一流ホテルのコックが「テリーヌ」も知らない時代に、フランス料理を学び、調理学校を充実させそれを日本に広め、第一人者となるまでのサクセス・ストーリー。何もないところから何かを生み出す先駆者の物語は刺激的だ。食べること飲むことが大好きな私にとっては、作中に出てくる写実的な料理とワインの描写もひどく魅力的。飾り気の少ない文体は、すっきりと芯がある。その積み重ねが、辻静雄という1人の人間の人生とその哲学、料理にという芸術に対する意識とか葛藤とかを力強く描い…  全文読む 評価する

象は忘れない 象は忘れない
homamiya/円熟した著者晩年の作品 レベル高い
小説家ミセズ・オリヴァは、ある婦人から、奇妙な依頼をうける。「私の息子の結婚相手の娘さんの両親は、10数年も前に心中しているのだが、それは父親が母親を殺して自殺したのか?それとも母親が父親を殺して自殺したのか?」それを突き止めてほしい、という。困ったオリヴァは友人ポアロを訪れる。アガサ。クリスティー82歳の時の作品、年代順で言えば、最後に書かれたポアロ作品。自己顕示欲が強いポアロも歳をとって穏やかになっている。晩年の作品だけあって、円熟した感じがある。派手さはなく、ちょっと小粋で、すんなりした展開、ラストに満ちる穏やかな愛。事件は当時有名なものだった。立派な夫、愛情こまやかな妻、二人は仲むつま…  全文読む 評価する

移動都市 移動都市
homamiya/宮崎駿のアニメを連想させる冒険活劇
作者名もよく見ないで適当買いした本が「あたり!」だと、とても嬉しい。この本は久々なそんな出会い。イギリス発の未来SFファンタジー。宮崎駿のアニメがよく似合いそうな、生き生きと冒険が描かれる映像的な作品。日本SF大会に参加したSFファンの投票で決定される「星雲賞」受賞作。というから、人気もあるのだろう。確かに面白い。60分戦争と呼ばれる戦争で荒廃した世界。人類は、キャタピラのついた移動都市に住み、荒地を移動しては、他の移動都市を襲い、資源を奪う。反移動都市連盟という一部の人々だけが、土の上に住み、移動都市の民からは「野蛮人」と呼ばれている。時に、発掘により、古い文明の一部が垣間見える。CDと呼ば…  全文読む 評価する

バイバイ、エンジェル バイバイ、エンジェル
homamiya/何やら小難しいけれど面白いミステリー
パリのどんより冷たい灰色の冬のさなかに起こる殺人事件で、協調される「赤」色が、くっきりと印象に残る。<帰国は近い。裁きは行われるだろう。心せよ I>20年も前にスペインでレジスタンスに参加して行方不明となった男からの手紙が、届いた。そして首なし死体から始まる連続殺人事件。不気味な手紙、現場に残る小さな謎たち、登場人物たち同士の旧い因縁と現在の関係、不可解な行動。様々な人物による幾通りもの推理。うっとりするようなミステリーの材料だ。食前酒「アプリチフ」不在証明「アリビ」簡単な生活「ラ・ヴィ・サンプル」とか、ところどころにフランス語のルビがふられているのが異国情緒を高める。犯人探しだけでなく、正体…  全文読む 評価する

卵の緒 卵の緒
homamiya/自分の子供にこんなセリフ言ってみたい
みずみずしくて、可愛らしい文章がストーリーにぴったり。登場人物のキャラクターがそれぞれ魅力的で、気がつくと好感を持ってしまっている。こういう書き方ができる人は、ふだんから人のよいところを探せて、表現できる人なのだろう。著者は中学の現役国語教諭らしい。こんなあたたかい目で見守られる中学生がうらやましい。●自分が捨て子だという疑う小5の育生(いくお)は、母親に、捨て子でないと言うなら、その証拠に「へその緒」を見せてくれ、と頼む。あっけらかんとした母親は、卵の殻を持ってきて、「母さん、育生は卵で産んだの。だから、へその緒じゃなくて、卵の殻を置いているの」と言う。明るくて、料理が上手で、息子への愛情を…  全文読む 評価する

太陽の塔 太陽の塔
homamiya/愛すべき若者、というかバカ者の、おもしろ切ない青春小説
日本ファンタジーノベル大賞受賞作。京大農学部休学中5回生、という身分の愛すべき若者、というか、バカ者が主人公の青春小説。彼の生活は基本的に、女っ気ナシ。作中の表現を借りて表現すると、『あらゆる意味で華がなかったが、そもそも女性とは絶望的に縁がなかった。(略)しかし、私が女ッ気のなかった生活を悔やんでいるなどと誤解されては困る。自己嫌悪や後悔の念ほど、私と無縁なものはないのだ。かつて私は自由な思索を女性によって乱されるのを恐れたし、自分の周囲に張り巡らされた完全無欠のホモソーシャルな世界で満足していた。類は友を呼ぶというが、私の周囲に集った男たちも女性を必要としない、あるいは女性に必要とされない…  全文読む 評価する

虚空の旅人 虚空の旅人
homamiya/守り人シリーズ4作目、皇太子チャグムの健全な成長ぶりがたのもしい&今後が楽しみ
守り人シリーズ4作目。これまでと趣き変わって、3作目までの主人公・女用心棒バルサは出てこない。代わりに、14歳になった新ヨゴ皇国・皇太子のチャグムが、隣国サンガルの新王即位式に出かけ、そこで国同士の陰謀そして戦いに巻き込まれる、というハナシ。シリーズおなじみ、現世界のウラに存在する異世界ナユグも関わってくる。3作目でちょっとマンネリ化したかなーと思っていたが、どっこい、本作で一気に世界が広がり、いろんな国が登場し、国際的に広がりを見せ、新しい展開に引き込まれる。これまで、新ヨゴ皇国のほかに、2作目で北の国・カンバルが登場し、国のオリジナリティというか、地理・民俗・国民性などの個性をあざやかに描…  全文読む 評価する

ま・く・ら ま・く・ら
homamiya/好奇心旺盛で多趣味な噺家の枕はこうなるのか!
噺家・柳家小三冶の、18編のまくら集である。まくらとは、本人のあとがきによると・・・「噺の枕というのは、落語の本題に入る前のイントロで、こんなにいろんなこと長く喋るものではないのです。短い小噺をひとつふたつ喋っておいて、ポンと本題に入るのが江戸前てぇなもんです。本題に自信がないので独演会などの時にぐずぐずごまかしのためにやり出したのです。」とあり、これがしかし、本題の落語より面白い、と言われるほどで、とうとう本になった。私はこの著者の落語を聞いた事はないが、まくらは確かに面白かった。まず、噺家コトバそのままの文体が、いい。ほどよい茶目っ気と柔らかさ。『以前は外国へ噺家が行くなんてこたぁもう、今…  全文読む 評価する

王妃の離婚 王妃の離婚
homamiya/中世フランスの、痛快法廷サスペンス
佐藤賢一作品で、ベスト3に入る傑作。直木賞受賞作でもある。解説で紹介されている審査員の井上ひさしの感想「おもしろくて、痛快で、おまけに文学的な香気と情感も豊か」がまさにピッタリ。●時は、中世。フランス王ルイ12世は、醜女と名高い王妃と別れ、広大なブルターニュ公領を持つ未亡人との再婚をねらうため、王妃に対して、離婚裁判を起こす。この時代、カトリックで離婚は認められていない。離婚したければ、「結婚の無効取消」をねらうしか、ない。どうすれば、キリスト教の法にてらして、「無効」とできるのか?主人公は、裁判を傍聴しに田舎から出てきた弁護士。この著者の作品によくある、昔はかがやいていたダメ中年。この物語は…  全文読む 評価する

ローマ人の物語 ローマ人の物語
homamiya/「ローマ人の物語」で最も面白い巻といえばココ!
「ローマ人の物語」シリーズ中で最も面白いのは、「ハンニバル戦記」「ユリウス・カエサル(ルビコン以前)(ルビコン以後)」だと思う。そのうち、「ルビコン以後」は、「ユリウス・カエサル」の人生後半部分を描いたもの。元老院から「国家の敵」と通告されたのに反旗をひるがえし、国法で禁止されている「軍団を連れたままルビコン川を渡りローマ国内に入る」を実行したカエサル。敵対勢力・ポンペイウス率いる元老院派と内戦の末に勝利をかちとり、ローマに凱旋。ローマに平和が戻り、カエサルは独裁者として、長年の目標であった、衰えかけたローマの統治力を強化する改革を次々にすすめる。この改革の内容を読んでいくと、カエサルは、何と…  全文読む 評価する

ローマ人の物語 ローマ人の物語
homamiya/「ローマ人の物語」で最も面白い巻といえばココ!
塩野七生による、ローマの誕生から滅亡までを描いた傑作名著「ローマ人の物語」。このシリーズの中で最も面白いのは、文庫版で3~5巻の「ハンニバル戦記」と、8~13巻の「ユリウス・カエサル」だと思う。これらの巻だけを抜き出して読んでもハナシはわかるので、友達に「面白い本ない?」と言われたらこの9冊だけを渡すこともある。歴史本なのに、小説にも負けないドラマチックなストーリーと、登場する英雄達を実に生き生きと描く著者の筆が、「ハンニバル戦記」と「ユリウス・カエサル」を、盛り上げる。特に、カエサルを書く著者の筆は、本当に面白い。著者は、きっとカエサルが大好きなんだろうと微笑ましくなるくらい。カエサル自身の…  全文読む 評価する

オーデュボンの祈り オーデュボンの祈り
homamiya/小さな謎解きもたくさんつまったミステリー2回目読んでこそ楽しめる
小出しにちりばめられる謎、ヒント、糸口。とても1回読んだだけではちゃんと読みきれない。謎が多すぎるから。2回目こそ楽しめる本。主人公のひらめきも小出しで、じわじわわかってゆく真相に読者は耐え切れず、先へ!先へ!となってしまう。2回目に読んでやっと、ああ、これも!これも!伏線だったんだ!とわかる。●仙台でコンビニ強盗に失敗して、パトカーで搬送中に事故に遭い、逃げ出して気がついたら「荻島」という島に連れてこられていた主人公。仙台の沖に位置するこの島には、数千人が住むが、誰にも知られていない小さな島で、江戸時代から150年間、島の外と交流なく孤立して存在している、という設定。主人公を島に連れてきたと…  全文読む 評価する

あさきゆめみし あさきゆめみし
homamiya/いつの時代も女性の心は変わらない
源氏物語といえば、1000年も前に書かれた、我が国最古の小説。原文も現代訳文も読んだことはないが、漫画では登場人物もストーリーも覚えてしまうほど読んだ。それが、この「あさきゆめみし」。絵も美しいのだが、ある場面がすごくキレイで、何度も何度も読み返してしまう。時は平安時代。帝と身分の低い妃の間に生まれた若君は、光り輝くばかりの美しさ、光る君と呼ばれる。母親は病で若くして亡くなり、のちに帝の元に母親によく似た藤壺の宮が輿入れしてくる。藤壺を母とも姉とも慕い、それはやがて激烈な恋心に変わる。若君は美しく成長し、光源氏と呼ばれ、決して結ばれない父帝の妃である藤壺への想いを胸にかかえながら、多くの女性と…  全文読む 評価する

今夜は眠れない 今夜は眠れない
homamiya/やや子供向けかもしれないが、宮部みゆき作品で1、2を争う名作
この本は、私が学生時代に読んだ、初めての宮部みゆき作品。母上が図書館から借りてきたのを横からつまみ読みしたら、見事にハマった。それは、衝撃の出会いだった。こんな面白いストーリーを考えられる人が世の中にはいるのか!という衝撃。そのくらい話の進め方が見事。展開が早く、でもわかりやすく、そしてドラマチック。割と薄い本だし、さっと読めるけど、すごく面白い。一流のエンターテイメントと言える。主人公が中学生男子で、その級友・島崎が中学生とは思えないくらい賢くて冷静なのがまた私好み。●結婚15年目の両親と、中1の僕。至って平和な(と思われていた)家庭に訪れる、突然の嵐。それは見知らぬ弁護士がもたらした、遺産…  全文読む 評価する

チルドレン チルドレン
homamiya/この本の何よりの魅力は、破天荒な男、「陣内」でしょう
グラスホッパーに続く、私にとっては2作目の伊坂幸太郎作品。 コレは面白かった!グラスホッパーはイマイチだったけど、あそこであきらめなくてよかった!! 5つの短編。それぞれの中での起承転結がきっちりと書かれているだけでなく、5つの物語が連動し、ある物語で「なんだろう?」と疑問に思った事が、別の物語の起承転結の中でうま~い具合に明らかにされる、という、つなげ方も見事。 この本の何よりの魅力は、破天荒な男、「陣内」。 わがままとも無神経とも言えるほど、自分だけの正義で動く男。友人いわく「あいつは常に何かを主張している」。 著者は、家裁調査官に取材したおかげで、当初考えていたのとちがう話になった、とあ…  全文読む 評価する

空飛ぶ馬 空飛ぶ馬
homamiya/「日常生活におけるささやかな謎のミステリ」という分野の偉大な先駆者
大学時代、本屋さんで短期バイトをしているときに、職場の先輩がススメてくれた1冊。ソッコーでハマって、今では大好きな1冊に。「日常生活におけるささやかな謎のミステリ」という分野の先駆者ではないだろうか?殺人など起きない。主人公の女子大生の<私>が、ふと目にしたもの、耳にしたことで、「不思議だなあ」と思った出来事を、探偵役となる噺家が、あざやかに推理する短編集。現場検証も証人喚問もない、ただ<私>の話だけが材料となる謎解きだから、「うーむ、ちょっとこじつけっぽい。それはどう見ても解答を知ってないと解けない謎では?」と思うものもあるが、・赤頭巾・空飛ぶ馬の2編は、そんなこじつけを疑う気にもならないほ…  全文読む 評価する

ぬしさまへ ぬしさまへ
homamiya/人の心の美しいシーンが多いキレイな本
しゃばけシリーズ第2弾。江戸の大店の病弱な若だんなと、それを助ける妖たちの物語。1作目は長編モノだったが、今回は短編集となっている。1作目のときは、これほど面白いと思わなかったのだが、2作目はすごくいい!と思った。この本を読んで、このシリーズは全部そろえよう、と決意。若だんなの名推理が冴える謎解きとしても楽しみだし、<空のビードロ>の松之助が、日々がつらくても「でも生きていればいつか何か、心が浮き立つようなことに出会えるに違いない」と健気に思って、それでもくじけそうになって、でもやっぱりまたこう思えるようになるシーンとか、<仁吉の思い人>で、妖である仁吉が、「恋しい、ただただ恋しくてたまらない…  全文読む 評価する

河岸忘日抄 河岸忘日抄
homamiya/心地よいコトバで、ゆらゆらできますよ
コトバが心地よいから、これはよい文章なんだろう。慌しい通勤電車の中で読んでも、ゆらゆら揺れる水に、たゆたいながら、のんびり読んでいるような気になる。「海にむかう水が目のまえを流れていさえすれば、どんな国のどんな街であろうと、自分のいる場所は河岸と呼ばれていいはずだ、と彼は思っていた」という出だしの文から、私は好みだ、と思った。異国の河岸に繋いだ船で、レトロな家具に囲まれて暮らす主人公。日々、本を読み、レコードを聴き、クレープを焼いて、ただ一人で。時々、知人から手紙が届くか、船の持ち主に挨拶に行くか、郵便配達人が珈琲を飲みに来る以外は、人との交流はほとんどない。河岸に停滞しながら、主人公はいろん…  全文読む 評価する

闇の守り人 闇の守り人
homamiya/1作目同様見事な世界構成と、主人公が心の傷を向き合う物語のからめかたが絶妙
精霊の守り人に続く、守り人シリーズ2作目。1作目は子供に、2作目は大人に人気があるという。私も2作目の方が好きだ。今回は前作の舞台、ヨゴ皇国の隣の国、カンバルの話。土地の貧しいカンバル国で産出される唯一の高価な産物、ルイシャ石<青光石>。この石を、カンバルの王と、王の槍と呼ばれる選ばれた槍使いたちが、<山の王>から受け取るという儀式が、35年ぶりに行われる。儀式の内容は秘密とされている。前回参加者も黙して語らない。<山の王>とは何者なのか?ルイシャ石<青光石>とはどうやって採れるのか?この儀式にかくされた、カンバル国の仕組み、これがすごくよく出来ている。人の死というものを、ファンタジーの世界で…  全文読む 評価する

精霊の守り人 精霊の守り人
homamiya/文化人類学者による、緻密な世界構築、これぞファンタジー
新ヨゴ皇国という架空の国が舞台のファンタジー。もともと、児童文学だったものを大人向けに漢字を増やしたものらしい。「ファンタジー = 何でもアリ」なのではなく、ファンタジーというのは、いかに「ある世界」を作り出すか?という作業で、文化人類学者である著者は、建国の神話、先住民の伝承、先住民と新しい住民との違い、民俗、社会制度、精霊と人々の関係、などなど実に緻密に、かつ余計なものなく1つの世界を作り上げている。それがまず見事!また、小説たるもの、世界をつくりあげるだけではなく、その世界でもって、物語をアピールできることが大切。物語は、年のころは11~12歳の少年皇子が精霊の卵を産みつけられ、それゆえ…  全文読む 評価する

カラフル カラフル
homamiya/軽い文体で、さらりと大切なことが書いてある
死後の世界をただよっていた「ぼく」が、抽選に当たったとかいうワケわからん理由で、再び現世に戻り、自殺した「小林 真」少年として、生きることに。本来なら「ぼく」は、生前の罪とやらのため、二度と生まれ変わることができない魂なんだとか。が、このチャンスをものにして、「小林 真」として生き、その間に、自分の生前の罪とやらを思い出すことができたら、輪廻の輪に戻してくれて、ふたたび生まれ変わることができるという。そう説明してくれたのは、天使。この天使にいろいろアドバイスをもらいながら、「ぼく」は、「小林 真」として生活をはじめる。自殺した少年だけあって、「小林 真」の周りはなかなかすさんでいる。周りの人の…  全文読む 評価する

動物のお医者さん(白泉社文庫) 動物のお医者さん(白泉社文庫)
homamiya/仕事に疲れた平日の夜にどうぞ
仕事が忙しくて、毎日終電コース・・・・という時、それでも寝る前に、何か読みたかったら、この本がピッタリ。北大獣医学部の学生たちと、ヘンな教授と動物たちのほのぼのコメディ。「静かなコメディ」というと変だが、丁寧でキレイな絵と、どこかずれた登場人物たちが、おかしなテンポで静かに笑いを誘う。動物たちも可愛らしい。1話ずつ独立して読めるので、眠くなったら途中で寝よう。ある平日の夜、文庫版の7巻を読み、101話で爆笑。夜中に一人で声をあげて笑ってしまった。主人公とその学友が、オペラ「トスカ」にノーギャラでボランティア出演するが、少ない予算、急な代役で混乱する現場に、ストーリーもよくわかっていない主人公た…  全文読む 評価する

「サヨナラ」ダケガ人生カ 「サヨナラ」ダケガ人生カ
homamiya/言葉の組み合わせでこんなに美しい日本語が
この本は、漢詩を、独自の七五調の日本語に“戯訳”した詩集である。この独自の七五調の日本語が、元の漢詩の意味を損なうことなく、しかも絶妙で、美しい。中身もすばらしいのだが、このタイトルの由来がまたすてきだ。「勧酒」という漢詩を、井伏鱒二が“戯訳”したものがある実にスバラシイ訳で、この訳が、著者・松下みどりの漢詩戯訳の師となったらしい。勧酒 于武陵勧君金屈巵満酌不須辭花發多風雨人生足別離[読み下し文]君に勧(すす)む金屈巵(きんくつし)満酌辞(まんしゃくじ)するを須(もち)いず花発(ひら)けば風雨多し人生別離足る[井伏鱒二の戯訳]コノサカヅキヲ受ケテクレドウゾナミナミツガシテオクレハナニアラシノタ…  全文読む 評価する

夏の庭 夏の庭
homamiya/私の中の何かが洗われたような気になる名作
小6の3人組男子が、「人が死ぬところを見たい!」という子供らしい発想から、1人暮らしのおじいさんを見張る事にするが、やがておじいさんにバレて、怒られたりからかわれたりしながら、次第に仲良くなってゆく。小学校最後の夏休みの出来事、みじかいみじかい物語で、あっという間に読めてしまう薄い本だが、これを読むと、私の中の何かが洗われたような気になる名作。3人の男の子が、子供なりにいろいろ考える。『「ヘンだよなあ。だれだって死ぬのに、どうしてこわいって思うんだろ。やっぱり死ぬまでわかんないのかな」「オレはまだヒラメのお造りができない。できないうちは死ぬのはいやだって思う。できないうちに死んだらどうしようっ…  全文読む 評価する

キッドナップ・ツアー キッドナップ・ツアー
homamiya/人を「好き」な気持ちと夏を思い出すカワイイお話
旅で、日常と異なる場所で、誰かとすごく楽しい思いを共有する事があると、その景色や空気や楽しかった気持ちが鮮やかに残る。この本を読んだあと、それを思い出した。あらすじは、小学5年生のハルが、長く会っていなかった自分の父親に「ユウカイ」されていろんな場所を放浪する、というもの。どうってことはないありがちな話だ。この話がすごいのは、そのありがちな話の中にちりばめられた、ハルの「気持ち」の描写だ。直木賞受賞作の「対岸の彼女」同様、実にカンタンな言葉で誰もが身に覚えのある気持ちを書くので、読者は思わず自分の体験を思い出してハルの「気持ち」を文で書かれている以上に味わってしまう。ハルはユウカイ中に、おとう…  全文読む 評価する

そうだ京都、行こう。 そうだ京都、行こう。
homamiya/絶品の京都写真集(コピー付き)にうっとり
数年前のこと。夜空に浮かび上がる桜、圧倒的な紅色。流れる優美な音楽。何気なくテレビを見ていたら流れた映像と音楽の美しさに、しばし呆然。このときは円山公園の桜だった。JR東海が流したテレビCM「そうだ 京都、行こう」に心魅かれた人は多いはず。以来、季節ごとに変わる「そうだ 京都、行こう」のテレビCMやポスターの美しさは多くのファンを魅了してきたが、それが1冊の本になった。写真と広告コピーが季節別に並ぶ。今の季節である秋から始まるのが心にくい。まず、季節の色でいろどられた写真は文句なしにひたすら美しい。光の濃淡を重視した写真家 高橋勝二の手法らしいが、空気にも色があるかのような風景は、現実の京都の…  全文読む 評価する

くにたち物語 くにたち物語
homamiya/家族っていいなあ。
モコは町屋に住む小学校3年生の女の子、めちゃめちゃ好奇心旺盛でわんぱく盛り。くにたち物語は、このモコちゃんの成長物語。1巻ではモコちゃんというより、その一家にまつわるエピソードが中心となる。のんびり屋のお父ちゃん、元気なお母ちゃん、優しいじいやばあ。隣に越して来た男の子、ポチとその家族。モコちゃんが元気いっぱいに活躍し、周りの人に暖かく見守られているのが、とてもほのぼのとする。小さいころ、自分もこんなワガママを言って叱られたりしたなあ、といつの間にか、モコちゃんを見守っている自分に気づくでしょう。1巻では、ポチとケンカした同級生の母親と、モコちゃんの母親の対決シーンが印象的。「私は娘を信じる。…  全文読む 評価する

page: 1  |  2  |  次へ→