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白昼堂々
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沢居すだち/想いの形
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実は、<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=01223168&volno=0000" target="_blank">上海少年に収録されているのを読んだ時、私はこれが「恋愛」の物語として書かれたことに気が付きませんでした。 私は、凜一をいわゆる「まともな」少年だと思っていて、ラストで氷川が凜一に好意を示し始めたのも、今までの作品に見られたような(?)ほのかな、微妙な気持ちの揺れ動きの芽生えを描いたものだと解釈していたのです(所々に性的要素があるのは気になりませんでした。長野さんの作品にどんな突拍子もない描写が出てきても、今更驚き…
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銀河電灯譜
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沢居すだち/人間関係を想像するのが面白い
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タイトルや主人公の名前から、実在の賢治をベースにしていると思いがちな作品です。 しかし、これは全く違った意図で書かれていて、賢治も銀河鉄道も『実際に沿った』ものではありません。 この話で長野さんが必要としたのは、幻想列車に乗り合わせた人間が、崩壊していった一族の魂魄たちに遭遇するという構図そのものです。 幻想列車の発案者になる賢治は、その格好の媒体だったわけで、彼という存在を必要とされてはいるけれども、彼自身の歴史は全く必要とされていないのです。 賢治が「賢治」である意義や効果は、物語の全体にわたってきちんと表れていますが、長野さんはそこにもう一つの完全なる「お話」を巧妙に組み込んでいます。…
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ユーモレスク
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沢居すだち/「小説的」な作品
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「実際に居そうな人の、どこかにありそうな話」という感じです。登場人物には女性が多数出てきますが、特筆すべきは、彼女らが今までのような「意味のない」あるいは「象徴的に意味を求める必要がある」女性ではないという点です。ただならぬものを感じたのは、女性に関してだけではありません。最近の傾向というか試みに従って、少年の年齢層も高くなっています。ほとんど青年メイン。ところが、白昼堂々シリーズや東京少年や猫道楽などとは明らかに違って、本当に彼らは「居そう」な人物ばかりです。しかし、現実味がある、というわけではありません。今までの長野作品には、「小説」というより「おとぎ話」に近いものがあったと思います。長野…
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雨更紗
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沢居すだち/幻想的な二重の世界
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雨のヴェールを透かして見ているような、そんなイメージだ。 主要の視点が、玲と哉という二重の意識に別れていて、読み手に不思議な交錯感を起こさせる。 したたかに生きる女性たちと、謎めいた雰囲気の青年たちの静かな狂気が、正常な歯車をずらしてゆく。ここでは奇妙な愛を持った女性たちの姿が恐ろしくもあると同時に、幻想的な物語の味付けにもなっている。 すべては、降りしきる雨が起こさせる錯覚のようで、始めは確かだった「哉」という少年がいつのまにかあやふやになってゆくさまも良い。 自分ともう一人の自分が、別人として向かい合う奇妙なナルシズムと、さまよえる少年を受け入れる青年が放つ色気も読みどころである。
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サマー・キャンプ
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沢居すだち/読みどころは宣伝文句ではない
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発売当時、読んでみて思わず首をかしげた。 内容はとても面白い。Y-Y染色体を持つ「超男性」である主人公が、それゆえ女アレルギーを起こすという、とても長野まゆみらしい発想の物語だ。 しかし、宣伝文句とは内容が異なり、種の責任を未来に問うているとは思えない。額面通りに受け取らないのが、好意的に読むポイントであると思う。 主人公は、愛情など幻想に過ぎないと思わざるを得ない環境で、それでも自分の生きる意味を求めている。 人物の一人が性同一性障害であるというポイントも巧く物語に絡んでいる。ただ、この物語の人々は、殆どが身体的な性別と生殖的な性別が食い違っているが、精神的な性別と身体的な性別が一致してい…
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上海少年
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沢居すだち/愛と絆の短編集
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収録順に、昭和10年代からだいたい10年ごとの時代を舞台にしている作品集。文庫版も既に登場しているが、私はハードカヴァーをお薦めしたい。 時代設定もそうだが、それぞれに総て女性が関わるというのももう一つのポイントである。ただし、テーマに直接関わるかどうかはそれぞれ違う。 気まぐれで孤独な女性と少年が彩る「雪鹿子」。 失われたと思った兄との絆を描く「上海少年」。 母の面影を求めた少年のエピソード「満天星」。 美しい弟との禁断の恋に落ちた女性の「幕間」。 少年と青年が不器用に出逢う過程「白昼堂々」。 どれも魅力のある少年たちの物語だが、中でも私が特に気に入っているのは「幕間」である。 長野作品で…
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東京少年
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沢居すだち/あたたかい人々と生きる
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家族的な絆を描く作品で、とても素直な気持ちになれる読後感だ。登場する人々の想いが静かにストーリーに浸透し、好意的に読むことが出来る。 「黒椿」という謎めいた花を軸に、興味のある事に熱心になる主人公の年齢設定も活かせている。 ここで明かされる家族模様、人間関係は複雑だが、決して難解ではない。人間らしい生き様の折々に、主人公が強くなっていく成長物語でもある。それと同時に、長野作品では珍しく、強い女性が描かれている事も注目すべき点だろう。 ただ、主人公の叔父という人物の必要性が少々足りなかったように感じた。彼についてもエピソードを加えれば完璧だったろう。
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ぼくはこうして大人になる
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沢居すだち/少年の成長を描く
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同性に憧れる時期というのは、その程度の差こそあるが誰にでもやってくるものだ。それは少年期特有の感情だと云ってもいいだろう。 この作品では、それが主人公が幼い頃から抱えることになったジェンダーの悩み、という設定で拡大されているに過ぎない。 「男と女が互いの恋愛の対象」「社会的な男の立場、女の立場」という世間的な「常識」を壊そうとする、長野まゆみなりの問題提起作ではないだろうか。 “イッくん”がどのようにして自分自身と周りに立ち向かい、成長するのかを是非追って欲しい。ただ、もともと長野まゆみには少年同士の愛を描く作品が多かったため、初期からの長野作品を追ってきた読者には、少々困惑を与えるかもしれ…
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