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Dear KAZU Dear KAZU
木の葉燃朗/手紙から読み取るカズの歴史
 2003年から2011年の、雑誌『Number』での連載を一冊にまとめた本。カズこと三浦知良選手に寄せられた手紙と、それを読んでのカズのコメントを紹介する。連載時の時系列ではなく、手紙を書いた人ごとに章立てしている。ブラジル時代を知る選手、スタッフ。イタリア、クロアチアというヨーロッパ挑戦時に交流があった選手たち。カズを指導した監督。チームメイト、ライバルとして同時代を過ごした、過ごしている仲間。後輩の現役選手。恩師、友人。などなど。 最後にはカズの二人の息子からの手紙もあり、カズが10代の頃、母と恩師へ宛てた直筆の手紙の写真も掲載されている。 多くの人との手紙を介したやりとりが、そのままカ…  全文読む 評価する

手帳カスタマイズ術 手帳カスタマイズ術
木の葉燃朗/最強の手帳から最適の手帳へ
 著者は手帳評論家としても知られる著述家・編集者。これまでも手帳に関する著作を多く出版しているが、この本は題名のとおり手帳のカスタマイズについて書かれたもの。このテーマを取り上げた理由については、次のように説明されている。 「今まで手帳が好きな人たちは、『どれが最強の手帳か』という問いを、延々と繰り返してきました」(p.3)。しかし、完全に自分の理想と一致する手帳は存在しないはずだという。そこで必要になるのは、自分にあった手帳に機能を足したり引いたりして、理想に近づけて行くこと。著者は「自分なりのカスタマイズをほどこした手帳を、『マイ手帳』」(p.2)と呼び、「市販の手帳をカスタマイズしてマイ…  全文読む 評価する

頭のいい人がしている仕事のメモ術・ノート術 頭のいい人がしている仕事のメモ術・ノート術
木の葉燃朗/「入門書」という位置づけなら、癖なくスタンダードな一冊
 メモ、ノートの書き方、道具選びなどについて説明している本。あわせて、仕事の基礎のような部分も一部説明している。PDCAのサイクルとか、人に会うための準備とか。 見開き2ページで1トピックを扱っていて、右が本文、左が図解という構成も分かりやすい。内容も、極めてスタンダードで奇をてらっていない。また、「はじめに」で「これらすべてを実践する必要はない。仕事は人によって違うわけだから、自分に合うツールを選び、必要なメモ術・ノート術を駆使すればいい」(p.3)と書いているのも、誠実だと思う。入門書と考えれば、癖がなくていいのではないかと思う。 しかし、メモ、ノートの使い方、手帳術などの本を何冊か読んで…  全文読む 評価する

フットボールサミット フットボールサミット
木の葉燃朗/現役であり続けることの尊さ
 三浦知良選手(カズ)本人へのインタビューはないものの、カズを知る人へのインタビューや、カズについて様々な視点からの論考が掲載されている。 最初が田崎健太「親父が語るカズ」。カズの父納谷宣雄氏の半生と、カズへの影響について。納谷氏については、すごい人だという話を読んだか聞いた記憶はあるが、たしかにすごい人。毀誉褒貶のある人だろうと思う。高校生の頃はサッカー部で活躍し、その後日本最初のサッカー専門店を開業し、小学生のサッカーチーム、リーグをつくった。しかし、事件に巻き込まれて逮捕される。出所後に商売を始めるためにアメリカに向かうが、そこでカズがブラジルに行きたがっているという話を聞き、納谷氏も商…  全文読む 評価する

安全な妄想 安全な妄想
木の葉燃朗/力強い主張が生む笑いと関心
 長嶋氏のエッセイの魅力は、「主張する」ところにあると、私は思う。例えばこの本に収録されたエッセイのタイトルを見ても、「すぐ洗え!」、「サイン会はしません」、「芥川賞はズルしちゃいけないのだ!」などがある(最後は長嶋氏の主張というよりは引用なのだが)。そして、本文中でも様々な主張がされる。それらは大きな主張ではなく、身近な出来事に対する具体的な主張である。それだけに、力の入った熱っぽい文体と、主張の内容の間にギャップを感じることもあり、笑いを誘う。例えば「焼きそばが好きだ」(p.82)から始まる「肉入り焼きそば」。焼きそばは好きでも、「屋台の焼きそばには肉が入っていない(ことが多い)」(p.8…  全文読む 評価する

アイ・コンタクト アイ・コンタクト
木の葉燃朗/チームの熱さ、著者の熱さ
 ろう者女子サッカー日本代表を取材したドキュメンタリー。同名の映画が2010年に公開されており、その監督による著作。2009年に台北で行われたデフリンピック出場のために結成されたチームを、活動初期から追って記録している。デフリンピックというのは、4年に1回行われる聴覚障害者が参加する国際スポーツ大会。 サッカーをきっかけに、それまでまったくに近いくらい知らなかったろう者について知ることが出来る。例えば、かつてはろう学校では手話を教えなかったという。なぜなら、「相手がしゃべっていることを読み取る読唇と発音練習を繰り返す発話により、しゃべれるようになることをめざす純粋口話法」(p.56)が取り入れ…  全文読む 評価する

外天楼 外天楼
木の葉燃朗/仕掛けの上手さが活かされたミステリーマンガ
 雑誌『メフィスト』に連載された作品。『メフィスト』はミステリー小説専門誌なので、この作品もミステリーなのだろうと思っていた。それ以上事前情報は頭に入れず、読み始めた。 これまでに読んだ氏の作品とは、実はちょっと傾向が違っていて、新鮮な面白さがある。最初は、エッチな漫画本をマンションのゴミ収集場から拾ってきた中学生の話「リサイクル」。ミステリーといえばミステリーだが、ギャグのようでもある。だが、話はここからすでに始まっている。その後、メタ・ミステリーのような「宇宙刑事vs.ディテクト」、ややシリアスなSFミステリー「罪悪」、更には独特な構造のマンションを舞台にした密室殺人らしき事件「面倒な館」…  全文読む 評価する

清貧と復興 清貧と復興
木の葉燃朗/人の上に立つ、ということ
 土光敏夫氏の発言や著作の一部を紹介し、著者が解説を加える、という形式の本。著者はテレビ朝日のニュースデスク。 土光敏夫氏の名前が、どのくらいの世代に知名度があるかは分からない。少なくとも私は、リアルタイムでは知らない。その名を知ったのは、数年前に再放送されたNHKのドキュメンタリー番組(1982年に放送された「NHK特集 85歳の執念 行革の顔・土光敏夫」)。1981年の「第二次臨時行政調査会」の会長に就任した際に、作られた番組だという。有名な「メザシの土光さん」という呼び名も、番組で放送された質素な食事風景がきっかけ。 その程度の認識だったが、改めて経歴を見るとすごい方だったことが分かる。…  全文読む 評価する

凛と咲く 凛と咲く
木の葉燃朗/ああ、この方も選手と一緒に戦っていたのだ
 著者はフリーアナウンサー。Jリーグのピッチリポーターや女子サッカーの取材で知られている。 この本は、2011年にドイツで行われた女子W杯での、サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)の記録。著者は大会のテレビ中継、取材のために開会から閉会まで現地に滞在し、チームの試合、練習を見て、中継ではピッチレポートやインタビューを担当した。2003年から女子サッカーを取材していることもあり、その様子からは選手やチームスタッフとの信頼関係の強さを随所に感じる。そうしたチームとの距離の近さ、また選手たちと同じ女性という視点もあってか、著者だから気づいた、感じたエピソードがいくつも登場する。 例えば、グループ…  全文読む 評価する

サッカー非公式世界王者の歴史 サッカー非公式世界王者の歴史
木の葉燃朗/同じ事実を違う視点から見る面白さ
 この本では、「Unofficial Football World Champions(UFWC)」、日本語で「サッカー非公式世界王者」を取り上げている。これは、多くの人にとっては聞き馴染みのない言葉だろう。著者は言う。サッカーにおいて「『公式な』世界チャンピオンは、周知の通り直近のワールドカップ王者で間違いないだろう」(p.6)。しかし、ワールドカップは4年に1回の開催である。前回の王者は、果たして4年間世界最強であり続けるのか? 例えば、2006年ドイツ大会で優勝したイタリア、準優勝のフランスが、2010年南アフリカ大会でそろって1勝もできずにグループリーグで敗退したことは記憶に新しい。ま…  全文読む 評価する

教養としてのゲーム史 教養としてのゲーム史
木の葉燃朗/「進化」から見るゲームの歴史
 「はじめに」(pp.9-14)によると、個人的な経験に偏り過ぎない、「フラットな『ゲーム語り』を可能とする知識の体系は構築できないのか」(p.10)という問題意識に基づいて書かれたのがこの本とのこと。その知識の体系化のために、著者はこれまでのテレビゲームの歴史を考察する。そこで著者が着目したのは、ハードウェアとソフトウェアの相互作用によるテレビゲームの進化。 そのため、この本では後世に大きな影響を与えたテレビゲームを取り上げている一方で、流行したゲーム、画期的に思えるゲームの中でも取り上げられていないものもある。それでも、取り上げられているゲームには異論はない。世界最古のテレビゲーム『ポン』…  全文読む 評価する

プロスポーツ年鑑 プロスポーツ年鑑
木の葉燃朗/記録からよみがえる記憶
 日本プロスポーツ協会による年鑑。2010年の記録、トピックスを掲載。競技によっては、過去数年分の記録も掲載されている。あわせて、各団体の概要、選手・指導者になるための要件、団体に関する連絡先も掲載されている。 個々のスポーツについて、より詳細を知るには、各団体による記録に目を通した方が良いかもしれない。しかし、競技を横断して2010年のスポーツ界の状況を知るには、この年鑑はコンパクトにまとまっていて良いと思う。 個人的に好きな競技、例えばサッカー(Jリーグ)の部分を読むと、ニュースなどで話題になることも多かったJ1だけでなく、J2の順位表や個人別得点順位表、さらに2006年からのJ1・J2の…  全文読む 評価する

100年の難問はなぜ解けたのか 100年の難問はなぜ解けたのか
木の葉燃朗/数学者から見た数学の世界
 数学界の難問「ポアンカレ予想」と、その証明に挑んだ数学者、中でもポアンカレ予想を解決したグレゴリ・ペレリマンを取り上げたドキュメンタリー。2007年にNHKスペシャルで放送された同テーマの番組のディレクターによる本。 ポアンカレ予想についての本は多く出版されていて、それぞれ異なる視点から取り上げられている。この本では、ポアンカレ予想の誕生から解決まで、関わった数学者を中心にコンパクトにまとめられている。ポアンカレ予想を考え出したアンリ・ポアンカレ、そして彼が生み出したトポロジー(位相幾何学)という数学の新たな分野。1980年代に、ポアンカレ予想をその中に含む「幾何化予想」により、宇宙の形を八…  全文読む 評価する

とりったー とりったー
木の葉燃朗/twitterでの話題から今を描くエッセイマンガ
 雑誌『COMICリュウ』2010年12月号~2011年8月号に連載されたマンガ。内容は、twitterでテーマを出題し、その回答やエピソードを漫画化したものが中心。あわせて、twitter上で話題になっているテーマを取材する回もある。 このスタイルは、著者も言及しているが、1980年代の作品『愛のさかあがり』に通ずるところがある。『愛のさかあがり』も、キャラクター化した著者が読者のハガキを紹介し、興味のある人物・物事・場所を取材するというエッセイ形式のマンガだった。その21世紀版のような面白さがある。 ギャグマンガではあるが、マンガ家として「都条例」(青少年健全育成条例改正案)に言及していた…  全文読む 評価する

ねじまき少女 ねじまき少女
木の葉燃朗/他人事とは思えない絶望的な未来での、人間の意志の強さを感じる
 舞台は近未来のタイ・バンコク。この世界では食物に疫病が蔓延し、人々は遺伝子操作された食べ物しか口に出来ない。また石油が枯渇し、エネルギーは限られた石炭と、動物や人間がネジを巻いて蓄えた力を使う。そのため、多くの国はカロリー企業と呼ばれる食物製造業に支配されている。しかしタイは独自の遺伝子操作による食物開発を行い、支配を逃れて独立した存在を保っている。 このバンコクで、複数の人物の思惑が絡み合っていく。タイへの進出をもくろむ企業の西洋人。彼らと結託し国を掌握しようとする通産省。タイの独立を守るため通産省と対立する環境省。タイに生まれ、生活する人々。アジアの各国から移民としてタイに逃れてきた人々…  全文読む 評価する

シューティングゲームサイド シューティングゲームサイド
木の葉燃朗/「テレビゲームを遊びたい」と思わせるパワー
 前身の雑誌から考えると、かれこれ15年くらいになるゲーム雑誌。現在は不定期刊行のシューティングゲーム専門誌として存続している。 特集は「グラディウスの軌跡」。ハードウェアを超えて歴代の「グラディウス」シリーズを紹介し、あわせて「沙羅曼蛇」、「パロディウス」といった関連するシリーズの作品を取り上げる。私は「グラディウス」はファミコンとゲームボーイの数作を遊んだ程度だけれど、それでも記事の持つ熱気には興奮する。本当にそのゲームを好きな書き手が、魅力をきちんと伝えるべく書いていることを感じる。 個人的にはもうひとつの特集「SNKシューティングの記憶」の方がより興味深い。今や格闘アクションゲームのメ…  全文読む 評価する

僕が大人になったら 僕が大人になったら
木の葉燃朗/世界を広げ、高みを目指し
 佐渡裕氏が、1997年~2001年に雑誌『CDジャーナル』に連載したエッセイをまとめたもの。当時佐渡氏は30代後半から40歳になろうという年齢。パリを拠点としつつ、ヨーロッパ各地、日本と飛び回り、多くのオーケストラを指揮し、様々なコンサートを企画し開催していた、多忙な時期の記録(もちろん、佐渡氏は今はもっともっと多忙なのだけれど)。 その様子から感じることは大きくふたつ。ひとつは、なるべくたくさんの人にクラシック音楽の魅力を知って欲しいという思い。例えばこの本の中で紹介されている「ヤング・ピープルズ・コンサート」。佐渡氏の恩師であるレナード・バーンスタインがアメリカで放送し、多くの音楽家を生…  全文読む 評価する

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 オスカー・ワオの短く凄まじい人生
木の葉燃朗/呪われしモテないオタクの恋と、描き出されるドミニカの歴史
 ドミニカ共和国出身、アメリカ在住のジュノ・ディアスによる長編第一作。 主人公は、ドミニカ生まれ、アメリカで暮らすオスカー。SFやファンタジー、トーキングRPG(コンピュータを使わず、参加者の対話で進めるゲーム)を愛する巨漢のオタク。女性にはアタックを繰り返すが、なかなか結ばれない。そんな彼の一族には、「フク」という呪いがかけられているという。オスカーの恋が上手く行かないのも、フクのせいだという。その呪いがいつ始まり、彼の一族にどんな影響を与えてきたのか。物語が進むにつれて明らかになっていく。 アメリカのオタク文化についての固有名詞が頻出するとか、自分に馴染みの薄いマジックリアリズム(日常と幻…  全文読む 評価する

サムライブルーの料理人 サムライブルーの料理人
木の葉燃朗/食事から振り返るサッカー日本代表
 サッカーのアフリカW杯以降、サッカーに関する興味深い本が多く刊行されている。もしもW杯の日本代表の戦跡が芳しくなかったら、このような状況もなかっただろうと想像できる。 この本も、そうした興味深い本の一冊。著者は、福島県にあるトレーニング施設「Jヴィレッジ」の総料理長を務め、2004年以降、サッカー日本代表の専属シェフとして、ドイツ、南アフリカの2回のW杯を含め、海外遠征に帯同している。 本を読むと、海外遠征での食事に対するイメージが大きく変わる。私は、海外では現地の不慣れな料理が出て、それを栄養と考えて無理にでも食べられる選手が日本代表にふさわしい、というイメージを持っていた。それは単なる想…  全文読む 評価する

グラゼニ グラゼニ
木の葉燃朗/数字から見えるプロ野球のドラマ
 プロ野球を舞台にしたマンガ。新鮮なのは、年俸を中心とした数字という点から描いていること。主人公は、高卒8年目の投手、凡田夏之介。左サイドスローという貴重なフォームの持ち主であり、中継ぎとして1軍ベンチに名を連ねている。彼は、選手名鑑を読むのが好きで、全球団の一軍選手の年俸を記憶している「年俸オタク」。そして、登板時は対戦する打者の年俸、入団何年目か、現在の打撃成績は、といったことを考えながら抑えたり打たれたりしている。 なんとなく、ギスギスした内容をイメージするかもしれないが、決してそんなことはない。人物の絵はデフォルメされているがそれほど癖はない。物語もシビアではあるが、プロ野球の持つドラ…  全文読む 評価する

ニューロマンサー ニューロマンサー
木の葉燃朗/あの頃の未来は今の現実になりつつある
 ウィリアム・ギブスンの第一長編であり、「サイバーパンク」というSFのジャンルの始まりと言われている作品。実は数年前に最初の数十ページを読んで、難しさに挫折した。今回も難しさは感じたが、通読できたし面白さも感じた。 難しいと感じた理由は、ひとつは用語が独特なこと。造語も多いし(タイトルからしてそうだ!)、漢字に読み仮名ではないルビがふってあったりもする。また、場面転換や人物の登場も唐突で、気が付くと別のシーンになっていたりもする。 しかし、そういうものだと思って、映像を見るような感覚で読んでいけば、内容は理解できるようになっているし、面白さを感じることができる。印象的だったのは、この作品が書か…  全文読む 評価する

日本妖怪変化史 日本妖怪変化史
木の葉燃朗/日本人の想像力、物語る力の豊かさ
 著者、江馬務氏は、「日本における風俗史学を確立した人物」(p.162、香川雅信氏の解説より)。1911年に風俗史研究会を創設、1916年からは雑誌『風俗研究』を発行した。解説によれば、江馬氏は風俗を「上層・下層を含めた生活文化として捉えていた」(p.163)。民俗学に近いが、もう少し日々の生活に近い部分をテーマにしている、といったところだろうか。その風俗の中で、江馬氏個人の関心の高かったテーマが、妖怪を含む迷信の研究だったようだ。 この本には、1923年に刊行されたものの復刊。「日本妖怪変化史」、「文芸上に表れたる鬼」、「火の玉」の三つの論文が収録されている。いずれも、日本の江戸時代までの文…  全文読む 評価する

野茂英雄 野茂英雄
木の葉燃朗/道を切り開く意志と実力
 日本のプロ野球、アメリカのメジャーリーグで活躍した野茂英雄投手の評伝。1989年の近鉄バファローズ入団から2008年の引退まで、更に野茂の後に続いたメジャーリーガーにも触れ、野茂投手が日本プロ野球に与えた影響、アメリカの野球殿堂入りする可能性についても言及している。 最初に個人的な思い出を書くと、野茂投手は私が最後に好きになったプロ野球選手かもしれない。その後も、プレーの素晴らしさに惹かれた選手はいた(例えばイチロー選手など)。でも、「ファンだ」と言える存在は野茂投手が最後。日本でプレーしていた頃から、それまで見たことのないようなピッチング・フォーム、そして築き上げた成績の数々には夢中になっ…  全文読む 評価する

日本代表の冒険 南アフリカからブラジルへ 日本代表の冒険 南アフリカからブラジルへ
木の葉燃朗/年、あるいは十数年経ってから、2010年のW杯を思い出す時に、この本は貴重な記録になるのではないか
 著者は写真家でありサッカージャーナリスト。国内外とも、大手のメディアが取り上げないテーマを中心に取材している。この本は、2010年の南アフリカW杯を開幕から閉幕まで取材し、webサイト「スポーツナビ」に日々綴られたレポートをまとめたもの。 読んで一番印象的だったのは、南アフリカW杯を広い視点で捉えている本だということ。 ひとつは、日本代表の活躍だけを取材しているのではない、ということ。開幕戦から決勝戦まで、多くのゲームを追っている。もちろん、この大会でベスト16という成績を収めた日本代表については、多くのページで言及されている。日本代表が戦った4試合をスタジアムで取材した方だから見えたもの、…  全文読む 評価する

ナマズの幸運。 ナマズの幸運。
木の葉燃朗/独特なテンポと、選ばれた言葉で語られる、不思議な日常の光景
 雑誌『東京人』からwebサイト「WEB平凡」へと書き継がれている、作家川上弘美さんのエッセイ。「あとがき」によると、「以前は五分の四くらいがほんとうのことだったのですが、ほんとうのこと率は年々上がっているようで、この巻では十分の九くらいに上昇しました」(p.151)とのこと。たしかに、中にはフィクションだと思われる幻想的な光景もある。寝床で本を読んでいると、ハサミムシが枕元を歩き、それが日毎に大きくなる「ハサミムシが。」(pp.130-133)などは、前後の物語を加えていくと、ひとつの短編小説になりそうである。しかし多くは、日常に起こるちょっと変わった出来事を描いている。 まず印象的なのは、…  全文読む 評価する

祝福 祝福
木の葉燃朗/改めて感じる、著者の作品の幅の広さ
 2003年から2010年の間に発表された10編の小説を収めた作品集。 収録作の多くに共通するのは、物語の中ではあまり大きな事件は起こらないが、強く印象に残る文章が多くあること。そうした部分には、著者の思いや主張がすっと挟み込まれている。主人公が丹下左膳と丹下段平の共通点に気づきはっとする「丹下」(この部分だけで、タイトルに意味があることを感じる)、「マラソンの本体は呼吸だと思う」(p.32)という考えに不思議な説得力のある「マラソンをさぼる」、「ジャージの一人」での「ちばてつやの代表作が『あしたのジョー』だなんて嘘だ。あれはもっとも作者らしさがスポイルされてしまった作品だ」(p.89)という…  全文読む 評価する

さよならフットボール(講談社コミックス) さよならフットボール(講談社コミックス)
木の葉燃朗/サッカーの切なさと熱さ
 中学校を舞台にしたサッカーマンガ。主人公恩田希は、優れたテクニックを持ちながら試合には出場できない。なぜなら、彼女の通う中学校には女子サッカー部はなく、男子サッカー部に所属しているから。 しかし恩田は、ある試合の相手チームに、かつて自分がサッカーを教えた「子分」が出場することを知る。偶然再会した際に、キャプテンであり屈強なディフェンダーとなった彼に、体格の違いから勝つのは無理だと挑発された彼女は、なんとか試合に出場し彼と対決しようとする。 物語としては長くないし(単行本で2巻)、サッカーのプレーの描写も、テクニックとフィジカルの対立という構図もやや類型的。しかし、ふたつの点で魅力のある作品に…  全文読む 評価する

知的文具図鑑 知的文具図鑑
木の葉燃朗/今読んでも通用する考え方もある
 1980年に刊行された、文房具を使った知的生活の本。まず「はじめに」で、編者はこの本を「道具やその使いかたを紹介した本と早合点する向きもあることだろう。そうではない」(p.3)と言い、あくまで知的生活のための道具としての文房具について考えている。 さすがに、古い内容は古い。写真の現像とかコピーとか、デジタル技術に取って代わられた部分も多い。それでも、道具は変われど使い方のエッセンスは変わらない。例えば、書類の保管も、今ならスクラップブックに貼るのではなく、スキャナーでパソコンに取り込んだりしているわけですが、一ページ一枚の原則は一ファイル一枚と置き換えられるわけです。もうひとつ、三十年を経て…  全文読む 評価する

時計じかけの東京探険 時計じかけの東京探険
木の葉燃朗/一九八〇年代後半の東京が切り取られている
 午前四時から午前三時まで、それぞれの時間を象徴するような東京の場所を取材したルポルタージュ。一九八〇年代後半の東京が切り取られている。一番感じたのは、早朝や深夜などを含め、どの時間帯でもそれなりに人が活動しているのは、東京という街の特徴かもしれない、ということ。日本の他の都市であっても、こうした街はそう多くはないだろう。当時の調査で、東京では午前九時と午前零時が街のイメージに合う時間という結果が出ている(p.52)。その調査では、当時の世界でニューヨークが同じ時間をイメージする都市だという。なんとなく、活きが良かった頃の東京を思い出す。ちなみに、午前九時は丸の内、午前零時は六本木がイメージさ…  全文読む 評価する

東京おさぼりスポット探検隊 東京おさぼりスポット探検隊
木の葉燃朗/ひねった視点でありつつ、実用性もなかなかの東京ガイド
 都内で外回りの仕事をする人が、休んだりさぼったりしてリフレッシュするための場所を探して巡るという、本気なのか冗談なのかよく分からないコンセプトのコミックエッセイ。 でも、文房具屋と本屋と服屋が「3大入ったら出られないスポット」(p.111)という著者と趣味が合う人なら楽しいはず。行く場所も、なるべくお金がかからない場所が中心なので、気軽に行きたくなる。街ごとに、長い時間見て回れるお店、更には博物館なども紹介されていて、さぼる云々を抜きにしても面白そうな場所があちこち登場する。一方で、ベンチのある(座れる)場所を探していたりして、おさぼりスポットとしても著者の営業職経験(意外だけれど)が遺憾な…  全文読む 評価する

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