テクノロジーが、政治とかエリートとかのてっぺんだけじゃなくて、どぶ底レベルの人間から変えてゆく。そういう認識を、コンピュータが生み出す人間の新たな認識の地平とからめて描き出した…というインパクト、いわば「最初にやったもん勝ち」の衝撃を取り払ってみれば(それもかっちょよくて凄いことなんだけど)、この小説に残るのは「場所」の印象、静かにまぶたに残る空間の雰囲気、だったりする。 冒頭のチバシティこそごちゃごちゃしてて猥雑だけど、あとはイスタンブールのエキゾチックな感じ、空港ターミナルのあの雰囲気、人気のない高級リゾートの、塵一つない奇妙な清潔さ、熱心に清掃された漆喰の廃虚のような無人空間、がらんと…
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