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方舟 方舟
プジタ/ファンタジーの現在形
 この作品には印象的な決め台詞、決めゴマがたくさんある。水没したTVカメラに記録された少女の「世界の終わりだから…」という言葉、精神的に追い詰められて「…ホラもうすぐ手が届きそう」とにこやかに水死体に手を伸ばす主婦、方舟の上で「この期におよんでまだ希望だと…おまえらみんなバカか!!」と絶叫する若者。これらは「終末もの」の王道、もっと言えば「手垢がついて古い」と言われかねない台詞・イメージなのに、読むものの心にまっすぐ届くのはしりあがり寿の特殊な画風のせいだろうか。 そう、ここにあるのは夢物語、とっくに失われたファンタジーだ。僕らは世界の終わりを想像することで今まで何とかやってきた。それはおそら…  全文読む 評価する

アワーチョイス♥ アワーチョイス♥
プジタ/趣味爆発
 見開き1Pにつき1組のアーティストを取り上げて、「世間的に評価の高い名盤」と「私の中の名盤」と「関連盤」を紹介するという好企画。当然一番大きく扱われるのが「私の中の名盤」で、ライターの趣味が爆発している。 いわゆる名盤を1枚だけ聴いて「つまんないな」と思ってそのアーティストを聴かなくなって、でも実は違うアルバムを聴いたらめちゃくちゃ気に入ってたかもしれない。それって凄くもったいない! そんな素朴な一音楽ファンの心情からスタートしているところに好感が持てる。  全文読む 評価する

ネクスト・ジェネレーション ネクスト・ジェネレーション
プジタ/ここにあるのは音楽への愛情のみ!
 なにせ紹介されているアーティストの数が夥しい。見開きに大体8組のアーティストが載っていて、一言コメントとディスコグラフィー、小さくジャケ写も載っている。データベースとしては若干使いづらいのだけど、ギュッと無理矢理つめこんだようなチープさが逆に素敵。利便性は求めなくていい。ディスクガイドには、ただパラパラめくるだけで楽しいという側面があるけれど、そこに特化したような1冊。  全文読む 評価する

バナールな現象 バナールな現象
プジタ/一面の砂漠である
 大江健三郎「個人的な体験」へのオマージュにも満ちた不思議な長編。緻密に組み立てられた物語世界で少しずつ、それまで自明と思っていたものを見失っていく感覚は奥泉作品に共通のものであろう。鍛えぬかれた虚構だけがもつことのできる知的快感が、この作品には溢れている。  全文読む 評価する

親指Pの修業時代 親指Pの修業時代
プジタ/著者はもてそう
 親指がペニスになってしまった女の子のお話。設定で分かるとおり、もちろん固定化した性の概念に対する揺さぶりが掛けられているのだけれど、頭でっかちにならないのが著者の凄いところ。物語内容でぐいぐい読者を引き込んで離さない魅力があります。極上の恋愛小説。  全文読む

檻のなかのダンス 檻のなかのダンス
プジタ/監獄の誕生
 クスリでつかまった著者が、「監獄も学校も似たようなもんだ」という感想をフーコー「監獄の誕生」の理論を援用しつつ書いた本。学校は監獄に似ている、というよりは、現代社会をコントロールする機能というのは学校軍隊病院などなど全てに共通していて、それを一番分かりやすい形であらわにしているのが監獄である、ということ。体育の時間の「右向け、右!」って、今考えると凄い。  全文読む 評価する

夢の木坂分岐点 夢の木坂分岐点
プジタ/まどろみの気持ちよさ
 どろりとした夢の世界をどこまでもたゆたってゆく主人公。夢のもつ理不尽さと、虚構のもつ構築性が高次元で結び合わされていて、読む者にエロティックな快感を与えます。ラストは圧巻。  全文読む 評価する

春の完成 春の完成
プジタ/それは、あなたの心が汚いからです。
 主人公の身の回りには、次々と不幸なできごとが起こる。そこで占い師に相談すると、次のような答えが返ってくる。「あなたの心が汚いからです」。これには衝撃をうけた。しかも占い師はこう続けるのだ。「商売でなければ、決して見たくないような心です」。全くひどいやつだ。対策についてはノーコメント。お前は汚い心の持ち主だから不幸で当たり前だ、と言い放つだけなのだ。なんと無責任なのだろう。そのかわり、もうすぐ素晴らしい異性に巡りあえて、その人があなたの心を薄めてくれるでしょう、と占い師は結ぶ。その後の主人公が素晴らしい。「私は今まで汚くあろうとしたことは無かった。人並みのつもりだった。なのに私の心が汚いのだと…  全文読む 評価する

壁
プジタ/壁は、絶望的な画をかくためにある。らしい。
 なくした名前と、からっぽな胸のうちと、世界の果てにまつわる素敵な寓話。牧歌的なまでに押し寄せてくる詩情が快い。 安部公房の小説世界は、非常に閉鎖的で、その閉鎖性が極限に達したときにぐるりと世界が裏返るような感覚がある。私という閉じた世界が、めくり返されて世界全体になってしまうような感覚だ。その眩暈にも似た感覚が、安部中毒患者を生みつづけるのだろう。本作は、クラスメイトとの間にズレを感じ始めた田舎の優等生(小学五年生くらい)に特におすすめ。  全文読む 評価する

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