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なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか
ちひ/自分を棚上げにしない映画作り
 ドキュメンタリー映画の監督の本。  著者が得意としている「観察映画」はどんな映画か。なぜこの方法で撮るのか、どのようにして撮っているのか、撮影・編集の間にどんなことを考えているのかを、最新作である『Peace』を題材に、非常に丁寧に伝えてくれる。  フツウの映画には台本やテーマがあり、また撮る人・撮られる人が明確に分けられている場合がほとんどである。ドキュメンタリー映画でもそれは同様である。本書でも言及のある『ゆきゆきて、神軍』(原一男監督)や『ボウリング・フォー・コロンバイン』(マイケル・ムーア監督)は、台本こそないが、テーマは事前に設定される。もちろん、撮影当初とは異なる視点や発見が立ち…  全文読む 評価する

生を肯定する倫理へ 生を肯定する倫理へ
ちひ/「救命ボート問題」は問題の設定が間違っている
 「自分を棚上げにしない」生命学の立場から語られる、生が無条件に肯定されるべきであるとする哲学・倫理の書。  著者は生命倫理系の研究者・論者では国内随一であると思われる森岡正博と立岩真也に師事している。自身が障害者でもある。  シンガー等の一般的な「生命倫理学」は、乱暴にざっくりとらえると、「(私の認める)〈パーソン〉以外は生きていなくても良い(ある種の意思を持たない生のあり方を否定することが可能である)」と主張する哲学・倫理である。  森岡はそのような生命倫理学的な論を検証して(非常にざっくり言えば)「それはおかしいのではないか」と言い、「生命学」を提唱している。(『生命学に何ができるか』2…  全文読む 評価する

やめられない やめられない
ちひ/なりたくてギャンブル依存症になる人はいない。依存症の実態は想像を遙かに超えてすさまじいが、しかし、生還は可能である。本人も、周囲のひとも、ともに勇気を得て、はじめの一歩を踏み出すことの出来る本。
 この本に登場するギャンブル依存症の人の実に9割がパチンコ・スロットがらみである。法的にはギャンブルではないパチンコ・スロットがギャンブル依存症を今日も作り出している現状は改善されなければならないだろう。  帚木蓬生氏の著作は以前『臓器農場』を読んだことがあった。社会派で提言的・啓蒙的な、それでいてエンターテインメント性も豊かな素晴らしい小説であった。  この本は社会派のルポである。  前半ではギャンブル依存症の実例が詳しく紹介される。依存症の人は一体どういう精神状態になっているのか。どのくらいのお金がギャンブルに捨てられるのか。周囲はどのように振り回されるのか。何もかもがダメになっていくさま…  全文読む 評価する

なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか
ちひ/良い本だと思うが、ちょっと空回りしている。しかし熱さはすごいし、問題意識にも激しく共感する。
 内容的には大変に薄く、また、言葉の選択方法には難があり、そして思い込みや偏見に満ちているところもある。  しかし問題意識は間違っていない。「何かしなければ!」という焦燥感から書かれた、でも少し残念な気のする本である。しかし応援したい本でもある。  この『なぜ韓国は』の質的ボリュームは溝口敦『パチンコ「30兆円の闇」』に遠く及ばず、『30兆円』のほんの一章分くらいの内容しかない。しかし「パチンコはとんでもなく悪いものである! パチンコがこんなふうになっている現状は駄目だ!」という、著者の思いの熱さ(厚さ)はその内容的な薄さを補って余りある。  ギャンブル依存症やパチンコ依存症の問題については、…  全文読む 評価する

パチンコ「30兆円の闇」 パチンコ「30兆円の闇」
ちひ/百害あって一利なし。ギャンブルじゃないものがギャンブル依存症を作り出す矛盾。
 日本のパチンコは、動く金銭に目を向けると実質的にはアメリカのカジノをも凌ぐほどの巨大「ギャンブル」産業であるにもかかわらず、ホールは風営法で「麻雀店」と併記されるなど、警察の所轄署の裁量で取り締まられており、いわゆる「ウラ側」がどんなにすごいことになっていても当局側からはほとんど問題視されず、かえって「癒着」とか「甘い汁」みたいなのが陰に日向にいろんなところに食い込んでいて、自浄能力なんてまったくゼロであり、困ったなあ、しかし、これはもう、どうしようもないみたいですね、‥‥と思わされる本。  パチンコは、いっそギャンブル性を公認して新法を作って管理した方が良いくらいだという提案も(あとがき)…  全文読む 評価する

ルポ出所者の現実 ルポ出所者の現実
ちひ/たとえば「母親殺し」という「凶悪な」事件を起こして服役しているひとに取材しているが、はたして彼は本当に「凶悪」なのか、そこからして疑問に思わざるを得ない。有期刑で罰するのみで世間に復帰する道筋をまったくつけられない、そんな服役・処罰システムで本当に大丈夫か。
 更正や厳罰化、死刑や無期懲役、殺人や自死などについて、考えたり情報を収集していたりして出遇った本。タイトル通りの内容。刑務所に服役して出所したひと・するひとの現状をなかば淡々と紹介してくれる。なぜ入所したのか。何を思い何をしながら服役しているのか。この服役はこのひとにとってどういう意味があるのか・ないのか。そう思われるのはなぜか。  たとえば「母親殺し」という「凶悪な」事件を起こして服役しているひとに取材しているが、はたして彼は本当に「凶悪」なのか、そこからして疑問に思わざるを得ない。有期刑で罰するのみで世間に復帰する道筋をまったくつけられない、そんな服役・処罰システムで本当に大丈夫か。  …  全文読む 評価する

勇気ってなんだろう 勇気ってなんだろう
ちひ/ジュニア新書なのに、実は大人向けの「勇気」論。最近、何か勇気を発揮しましたか? わたしは発揮してないです。この本を読んでハッとしました。勇気、発揮したいです。
 いろいろな人が、人生のいろいろな局面で発揮した「勇気」に焦点をあて、「勇気」を考える本。ピックアウトした人選、本文には現れない江川氏の聞く姿勢、「勇気」に焦点を当てた構成、どれもすばらしい。ジャーナリストとしての立場や姿勢には江川氏と大きな違いがある立花隆氏の『青春漂流』(講談社文庫)と似たテーマの本であると思う。  ジュニア新書なので子ども向けである。が、自分の子どもや甥・姪に読ませるつもりで購入し、自分が先に読んだ人が「わたしにも勉強になりました!子どもにも早速読んでもらいます!」などの感想をTwitterで江川氏に寄せているのを多く目撃した。子どもに解りよくて大人に解りよくない本はそう…  全文読む 評価する

暴走検察 暴走検察
ちひ/マスコミが暴走させて、そしてマスコミが何食わぬ顔で叩く。‥‥これはひどい。これはどうにかならないか。
 フリージャーナリスト・上杉隆氏と、週刊誌『週刊朝日』取材班の共著。  恥ずかしいことだが、わたしは人生の大部分の期間において「週刊誌は事実無根のいい加減なことしか伝えない」と思いこんでいた。しかし、週刊誌がびっくりするような内容を伝えて「えっ?まさか?」と思っていると、やがてその同じ内容を新聞やTVが「一部週刊誌での報道によると‥‥」といっせいに「後追い報道」することがあまりに多いことに気付きだしてからその思いを改めた。週刊誌も事実を伝える場合が多くある。  この本には『週刊朝日』の記事がまとめられている。  検察の元ホープだった・今はフロッピ証拠の「捏造」等で悪名高くなってしまった元検事や…  全文読む 評価する

日本の殺人 日本の殺人
ちひ/殺人事件をとりまく、あまりに面白くない現実。事実は小説よりも断然面白くない。そしてあまりにステロタイプな小説やドラマが横行しすぎ。『悪人』の主人公のことを思いながら読んだ。
 書名のとおり日本の殺人について検討している。大変に多角的な視点から論じている。「体感治安」という言葉があるが、下の引用などからもその無意味さを思う。「2006年には、奈良の幼女誘拐殺人に続いて、広島、今市市、秋田で幼児が殺害される事件が大きく報道された。その際マスコミは幼児を対象とする凶悪事件が「相次いでいる」という表現を使った。この「相次いでいる」という表現は、増加しているといえばよさそうなものであるが、実は大幅に減少していたので、増加と言えばウソになる。そこで、使われたのが「相次いでいる」という用語である。犯罪報道で、この表現を聞けば、増加していると言えないのだと読み取るメディアリテラシ…  全文読む 評価する

人を殺すとはどういうことか 人を殺すとはどういうことか
ちひ/すごく良い本だが、当事者の思うままに任せていてはけないということを再確認した。自分が更正したのに他人は更正できないと思う、その根拠は何だ?と言って小一時間以上問いつめてみたい。サイテーな著者だ。だが本は最高だ。
 著者は、かつて二人を殺害し、現在は無期懲役で服役中。なぜ殺し、裁判はどのように行われ、自分の犯した罪について以前はどのように思っていて、今はどのように思っているか。前半ではそういったことが著者の半生記とともに語られる。  後半は、刑務所の中から周囲を観察し、自分と同じ「殺人」で服役中の他者から「検察調べ」と揶揄されながらも話を聞き、彼らがどのように自分の罪と向かい合っているか・向かい合っていないか、これからどうしていきたいと考えているかなどを、特殊な立場と観点から取材し、まとめてくれている。  著者は大変な読書家で、頭脳も著しく明晰、分析力や表現力にも優れているので、読んでいて興味深く面白い…  全文読む 評価する

死刑と無期懲役 死刑と無期懲役
ちひ/死刑、懲役、冤罪、更正。どれも実は他人事ではないのだと思う。
序章 拘置所と刑務所第一部 死刑 第一章 死刑はこうして執行される 第二章 死刑囚の生活 第三章 死刑執行というメッセージ第二部 無期懲役と終身刑 第四章 無期懲役囚を取り巻く状況 第五章 無期懲役囚の処遇 第六章 終身刑導入の問題第三部 冤罪 第七章 冤罪で服役する受刑者 第八章 地獄に落とされた冤罪死刑囚の苦悩 第九章 冤罪はなぜ起こるか 第十章 冤罪をなくす努力第四部 人間は変われる 第十一章 死刑台からのメッセージ 第十二章 矯正教育あとがき  元刑務官の著者が、実際に死刑囚と接し、死刑執行に立ち会い、また、無期懲役囚や冤罪で服役している人と接した中で知り得たこと、考えたことを、そのま…  全文読む 評価する

今、浄土を考える 今、浄土を考える
ちひ/浄土はあるの?ないの?わからないの?
 浄土真宗本願寺派の勧学寮、つまり教義・教学や伝道布教を研究するための礎[いしずえ]とも言うべき最高機関が、内外の人に向け、浄土真宗の依って立つ「浄土」について、やさしく解き明かそうとする本。 浄土という世界 ──まえがきにかえて第一章 浄土との出あい(亡き父の縁)第二章 浄土を学ぶ第三章 浄土の意義〈付〉浄土に関する教義論題あとがき  最大の特徴は、第一章だと思う。団塊の世代か少し若いくらいの世代と思われる「田中さん」という男性が、父の葬儀からしばらくたった頃、街で偶然、今はお坊さんをしているかつての担任の先生に会う。「田中さん」と先生は、質問や回答を通して考えを深めたり、整理したり、新たな…  全文読む 評価する

脳死論争で臓器移植はどうなるか 脳死論争で臓器移植はどうなるか
ちひ/議論をふまえ、網羅して。
「“脳死”が本当に人の死であることを信じない医師、哲学者、批評家たちによる、頑なな反対意見がある。/ その上に、死の判定もしくは少なくとも臓器提供の法的要件に、全脳機能の不可逆的喪失を要するという主張に反対する社会的圧力がある。 そして、おそらくこれが最も重要であるが、全脳死基準に合致した人に、統合的身体活動が持続する証拠を発表する批判者や、この証拠は今日の統一見解(脳死に関する)に対する理論的根拠を無効にすると主張する批判者がいる。/ このような反論は──確かにそれらに対して必要であるが──法律や医療の実地に組み込まれている神経学的基準の再検討を求めている。そこで、生命倫理に関する大統領評議…  全文読む 評価する

いのちの選択 いのちの選択
ちひ/事実をもとに考える。論理も、感情も、どちらも大事。
 生命倫理会議のメンバが、あまり知られていなかったり、知られているはずなのにメジャな立場からはほとんど顧みられなかったりする事実を紹介しながら、脳死と臓器移植について考え、自分なりの態度を決定していくための方法のヒントを示す。七五ページながら非常に濃く詰まった内容である。 はじめに1章 知っておきたい、考えたい、脳死・臓器移植13のこと2章 家族として脳死と臓器移植を経験して3章 さまざまな声参考文献〔付録〕生命倫理会議 臓器移植法改定に関する緊急声明  「はじめに」を小松美彦氏が書いている。読者のココロを開くべく、非常にやわらかい表現である。続く本文を批判的に読むための視点も提示する。  1…  全文読む 評価する

1Q84 1Q84
ちひ/首都高はこの時間も渋滞しているのだろうか。
 二人の主人公「天吾」と「青豆」をめぐる物語。  ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』というクラシック音楽が冒頭はじめときどき小道具として登場する。もちろん知っていた方が世界を理解するのに有効なのだろうが、たぶん、旧約・新約両聖書を知らずとも『エヴァンゲリオン』や『ヱヴァンゲリヲン』が楽しめるのと同様、あまり問題はないと思う。(思う。)ゆっくり広げていけばいい。  タイトルから謎めいていて、読み進めるうちに謎はどんどん深まり、広がり、取り返しが付かなくなっていく。村上春樹の他の長編と同様、すべてのページ、すべての場面に気の利いた比喩表現が満ちている。言い回しや思索内容も練られており、傍点は今回…  全文読む 評価する

空が青いから白をえらんだのです 空が青いから白をえらんだのです
ちひ/‥‥人は変われるのだ、一緒なら。本当に。
 編者は、奈良少年刑務所で「社会性涵養プログラム」の一つとして「物語の教室」を担当している。詩や童話を読み、詩を書き、本人が朗読し、教室のみんなで感想を述べあい鑑賞する「グループワーク」の取り組みである。その中で出てきた詩の数々を紹介し、控えめに解説する。  前半は「物語の教室」から生まれた作品、後半は「母」をテーマに文芸の課題として受刑者が書いた作品(解説より)。  谷村新司がにっこりほほえむ「人は変われる。一緒なら。」というポスタがある。あれを思い出す。なんというか、すごい詩がいっぱいである。ココロが耕されていない人の「のびしろ」は目を見張るものがあると著者がいうのは本当だ。  奈良少刑で…  全文読む 評価する

東大卒僧侶の「お坊さん革命」 東大卒僧侶の「お坊さん革命」
ちひ/聖域なき議論のための「課題図書」。
 『おぼうさん、はじめました。』の著者が、お坊さんを始めてしばらく経ち、いろいろ考えいろいろ実践しています、ついては、こういう提案があります‥‥という本。  わたしは著者と同じ浄土真宗の僧侶で「寺族」だ。寺で暮らしている家族のことをそう言う。学生の時は一応お寺を離れて東京や京都で一人暮らしをしていたが、今は北海道の生家・お寺で暮らしている。いわゆる「どっぷり」状態である。そうなると、お寺が「世間一般」とは異なり、結構特殊な環境であることがよくわからなくなってくるし、お寺が何のためにあるのかも、やっぱりよくわからなくなって来る。そして、世間一般の人と自分との間にある「お寺」や「宗教」、「仏教」な…  全文読む 評価する

お父さん、「葬式はいらない」って言わないで お父さん、「葬式はいらない」って言わないで
ちひ/亡き人によりそい、遺族によりそう。だけではなく、読者にもよりそってくれている。
 葬儀や看取り、グリーフケアについて、著者によりそってもらいながら、自分なりの考えを探すことの出来る本。(著者は日本におけるエンバーミング普及の第一人者で、マンガ『死化粧師』のモデルだそうである。)  帯には「葬儀にも「事業仕分け」を!」「簡素化さえすれば故人・遺族・友人知人の「心」は安らげるのか!? 従来型葬儀に必要ない部分と絶対に削ってはならない要素の「仕分け基準」を示す。」とあるが、事業仕分け的な内容ではない。  『葬式は、要らない』や『葬式は必要!』と多少かぶった内容を論じつつ、まったく別の方向に展開していく。つまり、『要らない』や『必要!』は、葬式を少し突き放し、外側から考えている面…  全文読む 評価する

葬式は必要! 葬式は必要!
ちひ/『葬式は、要らない』よりも、もっと要らない本。
 島田裕巳『葬式は、要らない』への反論として書かれたようですが、まったく反論になっていません。自説と持論ばかりの本。  帯と「はじめに」に 「日本人は人が亡くなると「不幸があった」などと言いますが、死なない人はいません。どんな素晴らしい生き方をしようが、すべての人が最後に不幸になるというのは、絶対におかしいとわたしは思います。人生を必敗の負け戦にしてはなりません。」(p.7) とあります。素晴らしい幕開けです。方向性は間違っていない。しかし全編を通して以降はどんどん変になっていきます。 「長い時間をかけて人類がつくり上げてきた生者と死者のコミュニケーション・システムと呼べる儀式」(葬儀について…  全文読む 評価する

葬式は、要らない 葬式は、要らない
ちひ/要らない本。
 冒頭、いきなり事実誤認がある。 「日本で最初に葬式無用論を唱えたのは、自由民権運動家の中江兆民だった」(p.22)  ちょっとちょっと!しっかりして! それは親鸞聖人です。あるいは覚如上人と言うべきか。  覚如上人の『改邪鈔』に、親鸞聖人の「某[親鸞]閉眼せば、賀茂河にいれて魚にあたふべし」という言葉を紹介している箇所がある。その部分を取意して簡潔に意訳すると、 「葬式はそんなに盛大に・大事にやるものではありません。だって私たちにとっていちばん大事なのは、ご信心をいただくことでしょう? 親鸞聖人も「わたしが死んでも遺体をそんなに大事にすることはない」という意味のことをおっしゃっています。盛大…  全文読む 評価する

幻覚ピカソ 幻覚ピカソ
ちひ/絵が綺麗なだけじゃなかった。
 とある、いつもの夕暮れ。  高校生の男の子と女の子が河原でぼんやりしていたら、ヘリコプタが落ちてきて、女の子は死亡、男の子は軽傷で生き残る。  やがて男の子には、その死んだ女の子が小っちゃくなって天使みたいに羽が生えてるようなのが見えるようになる。会話もできる。  男の子は自分がオカしくなってしまったと思って落ち込む。が、女の子は、あなたもほんとは死んじゃうところだったんだけど、わたしがお願いして生き残った。あなたには大変な絵の才能があるとわたしは思う。なのであなたはその能力を使って人助けをしなさい、じゃなかったらあなたのカラダは腐っていくわよ! みたいに言う。  男の子は、人の心の闇みたい…  全文読む 評価する

愚の力 愚の力
ちひ/「自分の力で何かを獲得して往生・成仏していくのではなく、阿弥陀如来の真実の光に照らされて、自分が愚者であることを自覚させられ、また、まさにそういう自分のために阿弥陀如来の救いがあることを知らされる。その嬉しさと恥ずかしさが、今を生きる力となる。」
 浄土真宗 本願寺派 本願寺 第24代 門主(以下「ご門主」)の、初めての新書。1980年に発表した「教書」(門主に就任したときの所信表明演説のようなもの。巻末に収録)に触れながら展開されていく。  ご門主の既刊3冊(『朝には紅顔ありて』・『世のなか安穏なれ』・本書)の中では、いちばん平易で、いちばん読みやすく、かつ、言いたいことをちゃんと言えてる本のように読める。個人的な感想は「すごい良かった」「面白かった」である。 (ただし、わたしは本願寺派の一僧侶です。また、ご門主という以前に「好きな文筆家」なのでいきおい評価は甘くなります。。。)  まず、森岡正博氏の『無痛文明論』や『生命観を問いなお…  全文読む 評価する

親鸞 親鸞
ちひ/無茶を承知の親鸞ストーリィ。
 浄土真宗の宗祖・親鸞聖人の幼少期から三五歳ころまでを描いた小説。全国各紙に連載された。純然たるフィクション。圧倒的な、ある意味では抱腹絶倒のおもしろさである。たとえば「若いピチピチした娘」とか、セリフに時代考証は一切ないと言ってよい。  親鸞聖人は九歳から二九歳まで比叡山で修行をしていた。だが、どのような経緯で比叡に上ったのか、どのように暮らしていたのか、どのような修行をしていたのか、どのような人々と交流していたのか等は、伝承はあるが実際のところはまったくわかっていない。何をどのように考えていたのかも、妻の恵信尼さんとどこでどのように知り合ったのかも不明である。  それら「わからない」時代の…  全文読む 評価する

逝かない身体 逝かない身体
ちひ/ALSを生ききる。
 ALS(筋萎縮性側索硬化症)となった母親を看取った著者が、現在という「果」から過去を眺め、そこに大きな、太くて長い一本の道を見つけ、その道筋を詳細に語った本。「どのようにしたからどうなった」といふうに因から果を見るのではなく、現在という差し当たっての「果」に至るまでに、何がどう作用して来たのか、何がどのように配置されていたのか。果から因・縁を見る、仏教論理学的な展開のルポルタージュである。  ALSの人と接するのにマニュアルはないようだ。常に患者その人を中心におき、その人の利益を最優先させ、自分として感じ、自分を棚上げにせず考え、個別に対応していくしかないし、そうすべきだと思わされる。(あえ…  全文読む 評価する

長期脳死 長期脳死
ちひ/長期脳死と生きる。長期脳死を生きる。
 娘が「長期脳死」※の状態になってから亡くなるまで、1年9カ月をともに過ごした母親の手記。  2009年の臓器移植法改定により、2010年7月からは、本人の意思が不明な場合は家族の意思で脳死の人からの臓器の摘出・移植が可能となる。意思不明な子どもからの臓器の摘出・移植も、親の意思で可能となる。  だが、臓器移植を待つ子どもの親の側にも、脳死の子どもの親の側にも、ともに「生きて!」という願いがある。その切実な願いと願いとに綱引きをさせようとしている、そのような危うさが改定臓器移植法にはあると思うのだ。  北海道新聞の2009年12月7日版に、「古書店で崩れた本棚の下敷きとなり昏睡状態となった子ど…  全文読む 評価する

2円で刑務所、5億で執行猶予 2円で刑務所、5億で執行猶予
ちひ/懲罰では更正できない。
 この本にデータを挙げて紹介されている事実の一端は以下のようなものである。 ◇少年犯罪は増加傾向にない◇団塊の世代の周辺人口の犯罪は増加傾向にある◇「割れ窓理論」は拡大解釈しない方がよさそうだ◇「スケアード・ストレイト」は再犯率を高めた◇「ブートキャンプ」はそれほど効果的ではない◇怒りをコントロールするプログラムがある◇犯罪防止にまつわるショック療法には副作用が多い  法務省等が集めた公式な・信頼できるデータを精査すると、マスコミが煽るほどに少年犯罪は増加傾向にない。逆に犯罪数が増加傾向にあるのはいわゆる「団塊の世代」、戦後生まれの世代においてである。また、明治以降の近代日本でいちばん犯罪が多…  全文読む 評価する

ウィーン家族 ウィーン家族
ちひ/家族愛憎@ウィーン
 「闘う哲学者の初小説。」(帯より)  中島氏がウィーンに再留学した頃の体験を書いた『続・ウィーン愛憎』を彷彿とさせる、でもアレとはちょっと違うニオイのする「史上最悪の夫婦小説」(帯より)です。  舞台はウィーン。主人公は大学教授。一緒にウィーン長期滞在中の妻はベランダから落ちて怪我をして、やっと退院したところ。一人息子は主人公に反抗的。  すごく暗くて、内向的で、一点凝視的で、理屈っぽくて、状況説明も小説的には必要充分なんだけど、つまり少々不親切な小説に仕上がってます。なので、読みやすくてわかりやすい盛り上がりを求める一般的な興味にはあまり受けない内容だと思います。でも、面白くないのかってい…  全文読む 評価する

RANKAマクロスFランカ・リーオフィシャルブック RANKAマクロスFランカ・リーオフィシャルブック
ちひ/みんな!(後略)
 通称「ランカ本」だと思っていましたが、どうやら正式タイトルが『RANKA』なんですね。そりゃ「ランカ本」で良いと思います。著者が、‥‥ぶっ飛んだんですが「ランカ・リー」って書いてあります(ぶっ飛んじゃってる恋でもGO!)。これはISBNのある、ちゃんとした本なんですよ。それなのに普通に  著者 ランカ・リー って書いてあるのですよ。びっくりしました。ブログがそんなんなってて「なにやってんのかなあ?」って思いましたが、本でもやっちまったか。(もっとやれ!) 一度ならず二度も歌が世界を救ってしまったからこんなことになってしまうんだよなあ。困ったもんです、もとい、すばらしいことです。  何がすごい…  全文読む 評価する

海賊の子 海賊の子
ちひ/読了後、一歩先に進むことの出来る、トランスジェンダーなSF。
 海賊にさらわれ、巧妙に育てられ、抜けられなくなり、とうとう自分も海賊になってしまった子が主人公。  三部作の第三部ということで、物語は第一作・第二作を踏まえて展開される。物理的な展開としては第二作が一と三をつなぐのだが、内容的には一と二の間を三がつないでる感じである。  海賊にさらわれて後継者として育てられた、第一作とはまた別の主人公の「今」と「昔」が交互に語られて展開する。謎は少しずつ解かれていく。やがて第一作と第二作が広げに広げた大風呂敷が、第三作・完結編によって見事に畳まれていく。‥‥のか?(第四部がそのうち書かれたとしてもあんまり驚かない。)  多分いわゆる「トランスジェンダー」的な…  全文読む 評価する

艦長の子 艦長の子
ちひ/こんなに面白い「第二部」は初めてだ。
 原題は「BURNDIVE」。現代で言う「パソコン」に、生体的に接続するときの用語が「バーンダイブ」。主人公はそれが得意。でも第一作(『戦いの子』)・第三作(海賊の子)と統一感を持たせるためにこの邦題になったのかなと思う。  タイトルの通り、ほんとに「艦長の子」が主人公。それ以上でも以下でもない。  第一作を読んで世界観の大事なところがアタマに入っていて、それで比較的すんなり入ってけたのが大きいと思う、すごく興味深く読めた。(個人的に)第一作があんまり楽しめなかった気がするのは、三部作的世界観を受け容れるのに時間がかかったということなのだと今は思う。  一般論として、たいてい「三部作」は真ん中…  全文読む 評価する

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