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ユージニア ユージニア
戸隠かれん/人間の「罪深さ」を問うミステリーの原点?
 これは暑い、暑い夏。 頭もぼんやりとするような、暑い夏の話だ。 町のシンボルである青い丸窓の家で毒殺事件が起こる。 その日はちょうど米寿の祝いの席であり、家族と親類縁者のみならず、 近所の大人から子供といった祝いに訪れた人々を無差別に毒殺するという 悪質なものであった。 死亡したのは17人。生き残ったのは2人。 犯人が特定できず事件は難航し、 結局、自分が犯人だという遺書を残して死んだ男によって、 あっさり事件は幕を引かれる。 現場に残された謎の言葉を綴ったメモ用紙の意味、 そして事件の動機も男の素顔も謎のまま…。 物語は、事件当時まだ子供だった雑賀満喜子がその事件を書いた本、 『忘れられた…  全文読む 評価する

ぼっけえ、きょうてえ ぼっけえ、きょうてえ
戸隠かれん/岩井節炸裂。
 物語は、遊女の一人語りの口調で描かれていて、 姿は出てこないがもう一人、話を聞いている客がいる設定。 語り口調なので雰囲気がある。 草木も眠る丑三つ時(とまではいかんだろうが)… 静まりかえったほのぐらい部屋。 ぼんやり灯った灯篭の、明かりに浮ぶ遊女とその客。 ぽつりぽつりと身の上を、語る遊女のなまめかしくも恐ろしい影。 その様子を隅の“ついたて”からそっと覗いているような、 そんな感じ。  この本は、表題作のほか、三つの短編が収録されている。 有名な『ぼっけえ、きょうてえ』は先に触れた通りだが、 そのほかの話も負けず劣らず、素晴らしい。 雰囲気は抜群で、文章のセンスも良い。 そして何より、…  全文読む 評価する

泣き虫弱虫諸葛孔明 泣き虫弱虫諸葛孔明
戸隠かれん/面白いけど初心者向けじゃないね、これは。
これがあの名軍師と名高い諸葛孔明像?? 何かの間違いじゃないだろか。と思わず、目をこすってみたくなる。しかし。実は三国志を幅広くみていると、演技でもはや神仙化されている孔明も、正史を見るとそうでもない。作者が蜀の人間だから、筆を押さえて書いてはあるけど、名軍師ではなく名政治家だったことがわかるし、妙な行動も多い。かといって、[蒼天航路]の孔明のように破廉恥(失敬)ではないか。おっと、話がそれた。その、妙な行動。それに目をつけた本書。はっきり言ってかなり笑ってしまう。まるでコメディを見てるようにページも進むし、思わず笑ってしまうこと請負。ただ、惜しむらくは。同じようなペースで進んでいるため、最後…  全文読む 評価する

イージー・ゴーイング イージー・ゴーイング
戸隠かれん/ときには大きく深呼吸でもして、心をリセットしてみませんか?
う〜〜ん。どうしても。気の利いた言葉が浮かんでこない。立ったり座ったり、寝たり起きたり。考えるフリまでもしてみる。いかん。どんなに頭をひねったところで、この本がどんなに素敵ですばらしいか、この本が何を自分に教えてくれたのかを簡単に言い表せない(汗)。しかし、よく考えてみるとたぶんそれは、自分の今の状態が、心身共に健康そのものであるからだと思う。心が弱っているとき。他人の、どんなに暖かい励ましの言葉でさえ何の力にもならないものだ。「頑張って」と気軽に声をかけられることが、どれだけ、その人の状態を悪化させることか。どれだけ、プレッシャーを与え、足かせとなってしまうのか。分かっているようで、分かって…  全文読む 評価する

ブルータワー ブルータワー
戸隠かれん/あまりにも近未来として可能性の高いファンタジー。
あらすじ─末期の脳腫瘍に犯され、硫酸モルヒネを打ちながら死を待つばかりだった瀬野周二。あるとき。脳腫瘍が起こす激しい痛みによって、精神だけが200年後の未来へ飛ばされ、そこに生きるセノ・シューという男と入れ替わってしまう。そこで彼を待っていたものは、現代から想像する華やかな近未来ではなく、世界を滅ぼした改良型インフルエンザウィルス黄魔と、それに怯えて暮らす人間の存在だった。戦争の兵器として使われたウィルスのワクチン開発もできぬまま、人々は、黄魔の魔の手を逃れるため、高さ2キロの塔を建て逃げ込んだが、その限られた空間の中でも貧富の差は激しく、地上に残された(残った)人々と塔の住人とで争い合うとい…  全文読む 評価する

三月は深き紅の淵を 三月は深き紅の淵を
戸隠かれん/書を愛する人々、すべてに捧ぐ幻の本。
最後のページを閉じると同時に、溜め息が漏れた。「自分は幻の本『三月は深き紅の淵を』を読んだ」という満足感がどっと押し寄せてきたのだ。あらすじは、大抵の方がわかりやすく書いておられるので省く。いや、決して面倒くさいわけではない(ほんとか?)。拙文くらいでは、他の人のようにうまく説明する自信がないのだ。説明できないほど、巧妙にできているというのだろうか。これは読んだほうが断然早いなと、単純に思った。「あらすじがわからないと、買って損をするかも」そういう心配はご無用。書をこよなく愛する人ならば、必ずお気に召すはずだ。すべては「第1章の待っている人々」に登場する方々が、親切丁寧にこの本をのことを教えて…  全文読む 評価する

ネバーランド ネバーランド
戸隠かれん/若者に贈る、恩田陸のメッセージ?
長い人生の中で、青春はほんの1コマだ。同じような場面はあっても、同じ時は二度と訪れることはない。だからこそ。過ごしているこの一瞬が永遠になるように、大切にしてほしい。そんな、著者の切なる願いがこめられているような作品だ。もちろん、青春時代の若者だけでなく、それを経験した大人の方にもオススメしたい。読んでいるうちに、あの頃の、あの気持ちがフィードバックしてきて、言葉にできない思いがこみ上げ、胸の奥がキュンとなる。  全文読む 評価する

六番目の小夜子 六番目の小夜子
戸隠かれん/曖昧な年頃の葛藤と成長
この学校の生徒だけしか知らない秘密の言い伝え。それは、昔、流行った「不幸の手紙」や「幸せの手紙」の類なのだが、ちょっと違うところは、現実に、誰かが、あることを、しなければならないということだ。それも人に見られてはいけないし、誰にも話すことはできない。期待と好奇心と恐怖に心を支配される生徒たちを翻弄する、伝説の人物と同じ名前を持つ転校生と、それを取り巻くクラスメイトの話。というのがあらすじだが、ただのサスペンスではない。秘密というのは、これだけ人を結束させるものかと感じずにはいられないほど、高校生の心理をよく描いてあると思う。たとえば。高校生という年齢は、大人と子供の中間で、右往左往している。ど…  全文読む 評価する

三国志 三国志
戸隠かれん/三国志指南書。
三国志演義の物語は、いまも中国のみならず日本でも根強い人気がある。老若男女問わず、一度読むと更なる三国志ワールドを期待して、なかなか抜けられない魅力。これが人気の秘訣と言える。 しかし、そこまでの人気ぶりは、たとえば中国で稚拙な三国志を描いたり、映像にしたりするとして、その作品が視聴者や読者の反感をかうと、作品の作者や会社は潰されてしまうほどだという、なんだか恐ろしい話だ。 そんな中国に日本の三国志同人誌を持って行ったならばどうなるだろう…という好奇心もあるが、やめておこう。まだ死にたくない。いや、死ぬならいいが、生半可に生かしてしまう、そこが恐ろしい中国の歴史。 と、まぁ余談はこのへんで。 …  全文読む 評価する

荆軻と高漸離 荆軻と高漸離
戸隠かれん/死ぬことは美学ではない。
親として我子のためなら死ねる人は五万といても、人として、他人のために死ねると答えられる人が、果たして、今の世に何人いるだろうか? 答えは、容易に出るものではない。 なぜなら、この者のためなら命を投げ打っても構わない。 心底おもえるような人に出会うことがないからだ。 しかも、他人のために命を棄てることは、命を大切にしていないということではなく、大切だからこそ、捧げるのだという。 この本を読み進めていけば、いろんなことを考えさせられてしまうだろう。 そして、自分たちがいかに、くたくたになるほどの甘さの中で生きているのかを知る。 言葉の重さ、発言の責任、頼まれ事を引きうけたからには、1ミリとて許され…  全文読む 評価する

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