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散歩もの
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のらねこ/「孤独のグルメ」ほどの派手さはないけど……。
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「孤独のグルメ」の久住昌之×谷口ジローコンビによる散歩マンガ。季刊誌「通販生活」に二年間(つまり、四回×二年=八話)連載されたものに、原作者のあとがきと原作うらばなしを収録したもの。ページ数的にはこぢんまりとしているが、密度は、濃い。特に、谷口ジローの絵は、薄墨やトーンを多用しているため一見白っぽい印象を受けるものの、その実、「孤独のグルメ」以上の緻密さ。季刊誌、ということで、スケジュール的にも余裕があったせいかな? むしろ、こんな絵を文庫サイズに縮小印刷できたことが、異常。内容的には、主人公がいろいろな場所を散歩して、そこで見聞したものに触発されてちょこっと内省的なったり過去を振り返ったりす…
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シリコンバレー精神
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のらねこ/「WEB進化論」をより深く理解できます。
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梅田望夫氏の、1996年から2001夏頃までのシリコンバレーでの実体験を元にした考察とエッセイ。 少し前にに読んだ「WEB進化論」の楽観主義がどういうところから来ているのか理解できる。 この本で書かれていることは、大別して三種類。「I シリコンバレーで体感する」では、ベンチャー・キャピタルに代表される、「シリコンバレー・ルール」の解説。 ただし、著者の梅田望夫氏自身、現地に移住して、経営コンサルタントとして日本企業との緩衝役になったり、後には個人投資家、あるいは自分の企業を設立したりする、「体験談」として語られている。「II ネット革命とバブル崩壊」では、もっとマクロな視点から見た経済的な問…
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笑酔亭梅寿謎解噺
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のらねこ/強いて欠点をあげるとするのなら、主人公も作品も、あまりにも隙がなさすぎるという所か
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なにしろ「あの」田中径啓文の著作で落語とか落語家の周辺が舞台となるわけだから、読む前は例によって駄洒落としょーもないギャグにまみれたあちゃらかなノリを漠然と予測して読み始めたわけだが、読了してみると、ミステリとしてみても娯楽作品としてみても、あまりにも造作が整いすぎていて、かえって拍子抜けしたりする。 高校を卒業したはいいものの、金髪頭の外見とそれまでの素行がよろしくないということで、就職先も行く宛もない竜二が、元の担任教師に半ば無理矢理落語の師匠・梅寿のところに連れて行かれる冒頭部分から、実質上の主役である竜二が、「実はいい子」というのが強調されすぎていて、作品自体のそつのなさと相まって鼻白…
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愛は脳を活性化する
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のらねこ/なんとも強烈なタイトルだが、歴としたノンフィクションです。
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タイトルのキャッチーさに初めてみたときはちょっとギョッとしましたが。基本的には「情報処理系として人間の脳」をみて、その特性とか特徴とかを簡明に解説したノンフィクションです。ブックレット、ということで、紙幅の関係上、簡単に説明しすぎているような印象を受ける部分も少なからずありますが、その分、不正確になりすぎないように注意しながら、よくコンパクトにまとめたなあ、とも思います。 本書は、「1.脳とはどんなコンピュータか」、「2.脳型コンピュータの開発に向けて」など、機能的な部分に関連の深い項目を解説する前半部と、「3.心から見た脳」、「4.愛は脳を活性化する」などと続く、情緒的、心理的なファクター…
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オタ恋
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のらねこ/どう読んでも、絶対ネタ。全部ネタ。
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いわく、同人作家の大学生が厨房でストーカーのおんなのこに迫られて、とか、山手線で酔っぱらいに絡まれた負け犬候補のキャリアOLが助けに入ってきたオタク大学生に迫って、気がついたら彼の色に染まってた、とか、ひょんなことでサバイバルゲームに参加したのが、そこで知り合った女の子とアオ○ンしちゃうはなしとか……、まあ、とにかく、モトネタがすぐにわかるようなのとか、ジャンル・コードとかがこれでもか的にてんこ盛りになっていて、でも、こんなこと現実にはぜってぇありえねーって断言できるような話しが目次にずらずら並んでいる。一応、ソフトコア・ポルノの文庫レーベルからでているんですが、ある種の大きなお友達以外は頭か…
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ブラック・ジャック
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のらねこ/リメイクものとしては結構イイ線いっているかと
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さて、版元の秋田書店、TVアニメ化に合わせてか、ここ数ヶ月、「ブラック・ジャック」というコンテンツの知名度をとことんシャブリ尽くす戦略を採用しておりますなぁ。たとえば、複数の雑誌にまたがって不特定多数の作家にリミックス作品を書かせるなど、あざといといえばあざといやり口だが、そんな中からも結構面白い作品が出てきたりするから、まあ、それはそれで。無論、そうした企画の中からダメ駄目な作品も出てくるわけですが、どのみち、そんな「多数の作家がよってたかって作り上げているそんな企画」なんかより、浦沢直樹が単独でリメイクした「プルートウ」のがよっぽど話題性がある、という皮肉な現実を想起して「どうでもいいや」…
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六輔、その世界史
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のらねこ/軽快なしゃべり言葉の向こうに、「伝統」が透けてみえる
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永六輔について全く知識がない人に、永六輔のことを説明しようとすると、かの人の明瞭な「肩書き」がなかなか思い浮かばないことに気づく。結局、下町のお寺で生まれ、芸能人として活躍するも、ある時期からテレビ出演を厭うようになり……うんぬん、という経歴をくだくだと説明しなければならなくなる。とりあえず、本書の場合は、そこここで、ご本人がそうしたご自分の背景を折に触れて披露している。というより、そうした背景なり経歴なりを背負っていなければ、本書に書かれているようなことはそもそも語ることができない。 冒頭にいきなり、「長岡京から平安京への遷都は、大仏鋳造時に起こった公害のため、周囲の環境が悪化したから」とい…
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世界は密室でできている。
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のらねこ/きゅーと!!!
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実はマイジョウ作品の長編をマトモに読むのはこれが初めてで、もちろん、今までに雑誌とかに掲載していた短編とかには幾つか接していたから作風とかについてはそれなりに知ってはいたわけで、だから、「ああ。この人の文章のドライブ感は、短編よりも長編のが生きてくるんだろうなぁ」程度のことは当然予測していたわけですが、で、その予測は無論全然外れていなくてそれどころかマイジョウの独特の言語感覚にすっかりやられてしまいましたわ、わたくし。だって、あれ、探偵役の男の子がフツーに「ルンババ」とか名乗っているんですよ仲間内だけではなく、警察とかにも。「ルンババ」なんて語感、フツーじゃでてこないよふつーじゃ。内容的にはね…
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皇国の守護者
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のらねこ/原作の持ち味を手際よく再構成。画力もある
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原作は前々からチェックしていたんで、「あれをマンガ化するのは難しいんじゃないかな」、という期待半分不安半分で読み始めたんだが、結論からいうと、読む前に漠然と予想していたよりはよっぽど良い出来だった。 なにせ、龍(中華風の天竜と西洋のワイバーン風の翼龍とがいる。後者は家畜並みの禽獣だが、前者は人間以上の知性と能力を持つ存在とされている)や剣牙虎や導術師(=テレパシーなどのESP能力保持者。ただし、様々な制約があり、万能ではない)が存在する世界での軍記物だ。「異世界物」+「ミリタリー物」、ということで、物語世界を構成する要素の説明が、自然、煩雑になりがち。そうした細かな細部は、活字媒体である小説な…
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梁塵秘抄
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のらねこ/半可通的には、本文よりも注釈の部分のが面白かったり
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基本的にわたしは古典や古語にあまり馴染みのない半可通なので、ここに収められている歌の数々を生のままでぐいと丸呑みに鑑賞できるほどの素養なぞあるわけもなく、編者の西郷信綱氏がつけてくれた詳細な注釈と歌の間を行きつ戻りつしながら読み進めることになる。 そうした素地がない状態で読んだため、という要因が大きいのであろうが、歌そのものよりも、歌の背景にある、当時の風俗や解釈に関しての学説を、ときに幾つか平行して記している注釈のほうが、読んでいて面白かったりする。酩酊亭亭主
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『七都市物語』シェアードワールズ
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のらねこ/モトネタになった本は十五年前に刊行。ほとんど内容を憶えている人いないんじゃないかな?』
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モトネタになった「七都市物語」は、「銀河英雄伝説」という長編シリーズを一通り書き終えた田中芳樹に、早川書房の「SFマガジン」に掲載する短編シリーズとしてはじまって、後に文庫本としてまとめられたもの。で、その文庫本が一冊でたっきりで、その後の展開がまるでなかったシリーズが、どうしたわけか(たぶん、版権管理している「らいとすたっふ」の企画だろう、とは、想像しているけど)十五年もたって半ば忘却された今時になって「シェアードワールド」として刊行された。そのブランクを埋めるためだろうが、大ざっぱな背景の説明は「はじめに」で説明されるし、巻末には詳細な年表も用意されているので、この本で初めて「七都市」シリ…
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デザインのデザイン
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のらねこ/モノとコトの架け橋
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デザイン業界には特に詳しいというわけではないので、著者の「原研哉」氏が業界内部でどのようなポジションを占める方なのかはよく知らない。ただ、本書の中で言及されているような、トマトの缶詰とか、無印良品とか、ジッパーを模した(そして、工事の進捗状況に合わせて徐々にジッパーが開いていく)松屋の工事中の外壁塗装、などは、実際に実物を目にしているので、知ってはいる。本書を読んで、「ああ。あれがこの人の仕事だったのか」という具合に納得した。「デザインとは一体何なのか」の書き出しではじまる第一章は、ベルエポックとか十九世紀に手工業から機械工業への変遷を経てバウハウスやプロダクトデザインなどに言及しつつ、駆け足…
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しゃぼん
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のらねこ/ガーリーは単純な少女趣味に非ず。あるいは、ガーリーは定着するのか?
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帯に、「わたしたちの気持ちを描く/新しいガーリー作家誕生!」という惹句が吹き出しの中に書かれていて、店頭で見かけたとき心中で小さく「おっとうぅ!」と叫んだりしちゃったんだけど、事情知らない人にはまず「ガーリー」なる耳慣れない語についての解説からはじめなければならないわけで。「ガーリー」とは、「goo」の英和辞書で検索してみると、一応は記載されていて、「girl・ie, girl・y━━ n., a. 〔話〕 少女, お嬢ちゃん; 〔話〕 若い女のヌードを売り物にした」とあり、このうちの、おそらくは前者の意。やはり帯の惹句の中にある、「少女でもおばさんでもない。/ずっとこのまま、女の子でいたい…
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魔風海峡
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のらねこ/いやぁ。久々に真剣なバカ話し読んじゃった。というかこれは、チャンバラ好き、伝奇好き、荒唐無稽好きなら必読でしょう
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古代、日本の任那府が朝鮮半島のどこかに隠した膨大な黄金を巡って、真田忍群と服部半蔵とか朝鮮忍者とかが鎬を削る、というメインプロットからして相当にクルものがあるわけですが、時代背景に「慶長の役末期」、つまり、秀吉の朝鮮遠征がいよいよもってにっちもさっちもいかなくなってきた時代を持ってきて、豊臣方VS徳川方、さらには日本側VS朝鮮側VS明軍側、という具合に、対立の構図を多少複雑にしているあたりが、技ありな感じです。忍術合戦、剣術戦はもとより、砲撃戦とか海戦とかもあってバトルシーンもてんこ盛りのサービス振り。 出てくる忍法が軒並みイマジネーション豊か過ぎ、っていうか、幾らなんでもそりゃ無理だろ的な…
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小説探偵GEDO
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のらねこ/探偵は汚れた街を行く
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「様々な小説内世界へ出入りすることができる男が主人公の探偵物語」というコンセプトを聞いた人は、いったいどういう内容を思い浮かべるのだろうか? この物語の主人公、ゲドの場合、「出入りすることができる物語に記述されていることには、干渉や変更はできない」という「基本ルール」があるので、本文に明記されていない「行間の部分」でしか活躍の場がない。依頼人のほとんどは、「小説世界の登場人物」ということになる。ゲドに与えられているアドバンテージといえば、「虚構世界と現実世界を往還できる」ということと、「あらかじめいく先の小説を読むことで、予備知識をえることができる」ということぐらい。いろいろ制約の多い特殊能力…
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生きている兵隊
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のらねこ/戦争の狂気、というのは、今ではありふれたモチーフなわけだけど……。
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とりあえず、この作品が書かれた当時、日本はいまだ「敗戦」を経験していない。首脳部の見通しの甘さが兵站の破綻として現れはじめ、現地での略奪を日常とした様子はたしかにちょうどこの作品に書かれたとおりなのだろうなぁ、と、想像するのはたやすいわけだけど、そういう大陸方面の醜聞は建前上あまり伝わっておらず、内地的にはけっこうイケイケな主戦派世論が主流だった頃なわけで、そういうこと考えると、発禁にした当時の当局の判断は、国策上むしろ妥当なものだったと思う。 一方、この作品を上執した側に反戦とか体制批判の意識があったかというと、あったのかもしれないけど、少なくともわたしには、この作品の本文からそういう成分…
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復讐のサマータイム
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のらねこ/これは正しくマザーファッカーの物語である。
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主人公は、《アウトフィット》という謎の組織に作られた遺伝子操作の賜物で、 外見と精神は十七歳の少年のまま、超人的な身体能力、とりわけ、戦闘と性的な技能を高められた存在として設定されている。能力的に抜きん出てはいるが精神的に未熟な、超アンバランスなティーンエイジャーの成長物語、といえば、ライトノベルというジャンルでは、いっそ定番といってくらいにありふれたシュチュエーションなわけだけど、このシリーズでは、ことさら性的暴力的な描写を強調しているのが、大きな特徴となっている。むろん、タブー視されがちな事柄をことさら露悪的に強調する、という、悪趣味でありがちな読者サービスとしての一面もあるわけだが、そ…
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編集狂時代
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のらねこ/装幀が南伸坊、版元が筑摩書房でないが、とても不思議。
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でも、同時代人であることの楽しさが満喫できる一冊。 筑摩書房の名物編集者・松田哲夫の自叙伝なのだが、ちょっとマニアックなコレクター気質だった少年が、「カムイ伝」に惹かれて「ガロ」編集部に出入りするようになり、これまた名物編集者の長井氏の知見をえるようになり、手伝いのようなことをはじめる。そこでの経験が後の編集者としてのキャリアにプラスになるのはもちろんだが、この時期に、水木しげる、つげ義春、呉知英、滝田ゆう、永島慎次、林静一、佐々木マキなどと知り合う。今考えるとそうそうたるメンバーといっていいかと思いますが、後の「都立大学新聞」の編集に関わっていたときも、赤瀬川準に原稿依頼にいったのがきっか…
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言論統制
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のらねこ/孤高の人
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「言論統制」うんぬんに関しては、多くの人が言及すると思うので、ここではあまり多く扱わない。個人的に気になったのは、むしろ、「鈴木庫三」という成り上がり知識人の矛盾に満ちた境遇についてで、どの辺が「矛盾に満ちて」いるかというと、1.「プラレタリアート」を自認しながら、極端な階級社会である軍隊に身を置かなければならなかった。 官費で進学できる道が限定されていた当時の状況と鈴木庫三の生い立ちを考え合わせると、この点は、しかたがない側面もある。2.最終的には大佐まで出生する「将校」ではあったが、「陸大出」のいわゆる「天保銭組」ではなかった。 年齢制限でひっかかって「陸大」には進学できなかった。つまり、…
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刹那の魔女の冒険
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のらねこ/ミステリーファン向け、というより、文学愛好家向け
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ヴィッキーという女子高生探偵物のシリーズの三作目、だそうだけど、前二作は未読。それで全く問題なく楽しめる。前二作を読んでないのになんでいきなりこの本だけを読んだかというと、帯の、「本書には仕掛けがあります。思う存分、騙される快感が堪能できます!」 という文句につられてぱらぱらとページをめくったら、冒頭にコルタサルの『石蹴り遊び』が引き合いに出されていて、「ああ。その手の仕掛けなら読む価値あるかな?」と思ったから。章題にアラビア数字(1、2など)と漢数字(一、に、など)が使われているのが混在していて、最初からページを追って読んでいってもいいし、漢数字が使われている章だけを追っていっても「物語」…
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バジリスク(アッパーズKC)
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のらねこ/この人にこの原作を描かせる。これはもう企画の勝利でしょう
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「バジリスク」というは、あれ、たしか「目があったら石化される、邪眼持ちのモンスター」の名前だったけ? たしかに、「睨まれたら終わり」な、この原作の「副題」としてはきわめて適切。くわえて、「この原作にこの作画」のコンビネーションを思いついた企画担当者は、偉いと思う。 せがわまさきの名前を最初に意識したのはたしか「鬼斬り十三」で、その後もゲームのキャラクターデザインなどで活躍していたようだけど、まさかその人が風太郎作品をやるとは思わなかった。で、またこの画風が原作の雰囲気にぴったし似合う。せがわ氏の緻密な絵に、風太郎の多分に芝居がかった台詞回しが乗っかると、こうれがもう、「これ以上はない」と断言で…
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世界の果ての庭
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のらねこ/なんで「物語」には「結末」がなくてはならないのだろう?
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読了してしばらく時間を置いた今では、たぶん、本書は「時間」と「空間」について語った物語なのだろう、と、推測する事も可能なわけだけど、読んだばかりの時は「なんなんだろう、これは」という嬉しさを内包した軽い驚きを覚えたものでした。 英国式の庭園を偏愛する作家リコの一人語りから開幕した物語は、院生時代、教授と深い関係になって英国に留学したりするリコの回想、パーティでであった近世日本文学研究者のアメリカ人・スマイスとの関係、スマイスの研究対象でもある幕末期の文人、御杖がスマイスの祖父の手紙の中に書いた暗号じみた文章の謎、儀仗の小説「辻斬り」の抜粋か粗筋らしい文章、どうやらリコの祖父でもあるらしい、旧…
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奇想小説集
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のらねこ/この滅茶苦茶さを見よ!
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山田風太郎の凄さというのはどうも超時空的な普遍性を備えているものらしく、この作品集もそうですが、他の諸作にしても装幀を変え版元を変えて何年かごとに出版されて延々印税を稼ぎ続けているわけで、このしぶとさ、不死身さ加減はゴキ……もとへ、『甲賀忍法帖』に出てくる忍者・薬師寺天膳並といっても過言ではないでしょう。 この本の収録されている諸作なんかも、スプラスティックあり、シリアスあり、パロディありで、内容的にはバラエティに富んでいるわけですが、風俗的には戦後日本の状況や世相を反映したものが多い。もちろん、そこには、『戦中派不戦日記』にみられる風太郎の真摯さでシニカルで冷徹なまなざしが、後の「忍法帳」…
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ぶらんこ乗り
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のらねこ/「癒し系」はもういいよ、という人にこそ。
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ここ数年だけの傾向ではないのかもしれないけど、あざといくらいに感傷的な演出、これみよがしの安直なストーリー展開、などのユーザーの程度を低く見積もったような作品がばかすか売れる、などという風潮が一部にあって、例えば「癒し系」などという呼称も、この手の文脈のなかでやはり「安直に」使用されることが多い(ような気がする)。そもそも、「泣けます」とか「純愛!」みたいなコマーシャリズムまたはイメージ先入型のカテゴライズないしはレッテルは、対象作品の内実を忠実に反映しているとは限らず、逆に、あまりにも模糊蒙昧でいい加減な印象を与えがちであり、「堅実な読者」ほど、実はキャッチーな惹句にには適度な警戒心を持っ…
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バッテリー
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のらねこ/ああ。君たちの時間は、とても濃密なんだねえ……
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野球の投手として「天才」といっても過言ではない資質と、それに相応しい矜持を持った少年、原田巧の一家が、一家の主婦、真紀子の実家のある新田へと引っ越してくるところから、物語が開幕する。とはいっても、この一冊で語られるのは、引っ越し前後のほんの数日の出来事。 病弱だが、野球好きで、自分の意志を通す芯の強さを持つ匠の弟・青波、匠のことよりも青波のことを案じがちな母・真紀子、マイペースな父・広、真紀子の実父で、過去に高校野球の監督として何度か甲子園出場を果たしている洋三、過去にリトルリーグの試合をみて以来、投手としての匠に惚れ込み、匠とバッテリーを組むことになる長倉豪など、匠と同級生になる少年たち、…
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よつばと!
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のらねこ/術中はまっているな、と、思いつつ何度もとりだして眺めてはにやにやしているのでした。
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「あの」あずまきよひこの新連載の主人公が「ちいさなおんなのこ」であると知ったとき、ずりぃよ、それ、絶対に面白くなるにきまっているもん、とか、思ったり思わなかったり。「あずまんが大王」を一読すればたちどころに了解できるように、あずまきよひこは、人間と日常を描くのが、とことんうまい。卓越した観察眼をもつゆえ、なのだろうが、括弧いりの「物語」よりも、いかにもそこいらに転がっていそうな些末なことがらを、軽やかなユーモアというオブラートにくるんで提示して「魅」せる。で、この作の主役のよつばちゃんは、「こども」でしょ。もともと、こどもと動物は、外見の可愛らしさと挙動の予測不能性で、ドラマとか映画の実写畑で…
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熱い書評から親しむ感動の名著
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のらねこ/狭くて深い世界へようこそ。
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はあ、あなたも本を読みますか。そうですかそうですか。あれはあれですな、「読む人は放っておいても読む、読まない人はいくら薦めても読まない」というような世界でありまして、なかなかに難しいものがございますな。「本読み」という人種は、これでなかかな世間様の中ではマイノリティなのでございます。ましてや、「書評」とか「レビュー」などというものを書こうなどという人種はそれこそ「マイノリティ中のマイノリティ」、極めて希少な存在といっても過言ではございません。こうした稀少人種が期せずして集合を果たしたのは、やはり「ネット書店」という環境によるところが大でございます。中には、買い物をせずとも日々更新されている書…
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遊動亭円木
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のらねこ/水棲の盲人、虚実の狭間を泳ぐ。
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この連作短編集を読んでいる間中、どうにも形容しがたい心地よさに包まれていた。主要な舞台となるボタン・コーポは東小松場川と設定されていて、その近辺の地理やら鉄道の乗り降りやらが比較的身近で耳覚えのある地名でしめられているのも一因であろう。こちとらは葛飾で江戸川とはすこし距離はあるが、JR新小岩近辺に所用があることも多く、そのあたりには多少の土地勘もある。しかし同時に、主人公の円木さんは目が不自由でありながら、呼ばれた、あるいは、ふとおもいたって、などといっては気軽に外出したりする。それは、大相撲の枡席だったり、塩原の宿だったり、象潟に父親墓参りにったり、江ノ島の旅館だったりする。その半分くらい…
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海を失った男
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のらねこ/スタージョンさん、あなたははやすぎです!
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収録作の中で一読してよく理解できなかったので再読を必要とした作品は「ミュージック」、「ビアンカの手」、「海を失った男」、一読しただけで面白さがすんなりと沁みてきたのが、「シジジイじゃない」、「三の法則」、「そして私のおそれはつのる」、「墓読み」。 こうしてみると、スタージョンは、ある程度の長さがある作品のほうが「理解しやすい」とはいえますかねぇ。少なくとも、わたしという読者にとっては。 というか、短いの三作については、展開の早さ、めぐるましさにこちらがきちんとついて行けなくて、ざっと読んだだけでは簡単に振り落とされちゃうというか。もちろん、必要な情報は文中に書いてあるし、よく読むと、「ああ。…
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ΑΩ
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のらねこ/ハードSFウルトラマン
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プラズマ生物、というものがいたと思いねぇ。広範囲・低密度に広がり、ある程度自分の体の形や大きさ、構造を、自分自身の意志で作り替えることができ、知性があり、膨大なエネルギーを体内に秘めていて、宇宙にぷかぷか浮かんでいる……そんな生物を。そんな生物でも知性があり、仲間同士で社会を作っている。社会という物があれば、当然、そこから落ちこぼれるのも出てくる。本人のミスや偶然が重なり、不本意ながら種族内で「落ちこぼれ」になってしまった「ガ」が、本書の主人公(の一人)だ。「ガ」は、名誉挽回を計って、種族全体に不利益な(同時に、正体がいまだ判然としていない)敵、「影」を追って、本来の住処とはまったく異なる環…
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