bk1 オンライン書店ビーケーワン

送料無料キャンペーン10,000円以上(税抜)、30,000円以上(税抜)、50,000円以上(税抜)購入でもれなくポイント進呈!寄付コースもあります

> トップ > 書評一覧

1 - 30 / 396 件
風雅剣 風雅剣
ドン・キホーテ/江戸城内、見てきたような描写見事
 上田秀人の三田村元八郎シリーズの第5作である。三田村は時の将軍徳川家重に仕える御家人であるが、滅法腕が立つ。腕とは剣の腕である。となれば、用心棒といいたいところであるが、そうではない。家重に代わって全国の国情を調査するという重い役を担っている。当然、命を狙われることも度々なので、三田村のような剣の達人が選ばれたわけである。 冒頭から江戸城城内の様子が詳しく描かれている。まるで見てきたように自信をもって描かれている。この角を右に曲がり、長い廊下を行き着くと、今度は左に折れて・・・などと記されている。上田の時代小説の特徴のひとつは、これである。あまりに詳細に描かれているので、妙に現実感がある。 …  全文読む 評価する

デッド・オア・アライヴ デッド・オア・アライヴ
ドン・キホーテ/全体のストーリーよりは個別の手段の描写が中心となっている
  クランシーの作品で、ジャック・ライアンが活躍するシリーズである。随分久しぶりだと思ったら、解説に7年ぶりの登場だと出ていた。前回は邦題が『国際テロ』であった。その時の設定とそれほど大きな変化は見られない。主たる登場人物は、クラーク、チャベス、ライアンの息子、その従兄弟たちである。 CIAの同僚であるフォーリーの夫はすでに引退している。これまでの登場人物のシニアたちは年齢的に現役を退いている場合が多い。クランシーはその受け皿を作っている。非合法組織である。これは前回でも登場しているのだが、それほど大きな意味はなかった。しかし、今回はライアンの息子もその一員として活躍し、ストーリーの中心を成し…  全文読む 評価する

復元幻の大寺院 復元幻の大寺院
ドン・キホーテ/新薬師寺の正体は何だったのか?
奈良の高畑町と言って、すぐにピンとくる人は奈良好きの人であろう。春日大社の南方に位置し、鄙びた風景の広がる地域である。ここには春日の森にある『ささやきの径』を通り、志賀直哉邸の跡を横目に進むと新薬師寺に遭遇する。 新薬師寺は色々な面で注目されている古代の寺である。それは現代の社会的な事件であったり、本堂に安置されている仏像(薬師如来と十二神将)の魅力であったり、様々である。3年前に通りを隔てて隣接する奈良教育大学の校舎建て替えによる発掘調査で、この寺が注目されることになった。 大寺院の講堂あるいは金堂とおぼしき遺構が発見されたからである。これが現在は本堂と門しか遺されていない新薬師寺の金堂では…  全文読む 評価する

召抱 召抱
ドン・キホーテ/時代小説・長寿シリーズの真価が味わえる
 本書は、上田秀人の時代小説『奥右筆秘帳』シリーズの第9弾で「召抱」というタイトルである。シリーズ9作目ともなると、幕府の官僚たる奥右筆組頭である立花併右衛門にも上下左右に敵だらけである。奥右筆憎しで、幕閣、御三卿、大寺院、朝廷などが忍びの者、僧兵などを使って組頭を襲う。 この時代、すなわち徳川家斉が征夷大将軍であった時代では、武に力のあるものは評価されない。それよりも政治力のある者が天下をとっているのである。したがって、奥右筆組頭も襲われれば一溜りもなく、自分で自分の身を護ることはできない。そこで隣家の次男坊である柊衛悟が登場する。この衛悟は町の道場の師範代を務める腕前で、実戦経験豊富な凄腕…  全文読む 評価する

魔術師 魔術師
ドン・キホーテ/イリュージョンをテーマにした大いに楽しめるエンターテイメント
 本書は車椅子探偵、リンカーン・ライムのシリーズに属するである。探偵ではなく、ニューヨーク市警の嘱託ということだそうだが、実際には捜査を指揮している。こんなことは本来はありえないであろう。そこが小説たる所以である。 今まで、このシリーズは『12番目のカード』しか読んだことはなかった。しかし、このシリーズはもう8作目も発表されている。他の作品を読んだことがないので、比較のしようがないのだが、この『魔術師』は極めて楽しい。とくに魔術師(イリュージョニスト)を題材に取り上げた。魔術師の技などは読み物にしてもそれほど生きてこない。やはり映像の世界の方がどれほど効果的かと誰しもが思うであろう。 ところが…  全文読む 評価する

15のわけあり小説 15のわけあり小説
ドン・キホーテ/香辛料が足りないが、楽しめるお馴染みの短篇集
アーチャーの短編小説集である。このシリーズはこれまでも随分発表されているが、今回は短編15篇と数も多い。そのせいか、文庫本の厚さもそれなりに厚い。最近、アーチャー作品の出来を疑問視しているのだが、短編はどんな出来栄えであろうか、確かめたくなった。結論を先に言えば、これまでの珠玉の短篇集に比べれば一つ一つの作品の質が物足りないのである。 勿論、一般と比べれば面白く読めた。しかし、これまでの出来と比べれば、驚きや奇抜さや斬新さが足りない。以前の短篇集であれば、訳の出来もあるが、いくら考えてもその物語の味噌がどこにあるのか分からないものもあった。今回の短篇集にはそれがない。したがって、比較の問題では…  全文読む 評価する

原っぱ 原っぱ
ドン・キホーテ/想像を掻き立てる豊潤な現代作品
 池波正太郎が描く小説である。珍しく時代は現代である。しかもボリュームは短編に近い。劇作家・牧野が主人公である。牧野はすでに脚本書きをほぼ引退したという設定である。この小説は昭和62~63年にかけて雑誌に連載されたと解説に書かれていた。その2年後に池波は亡くなるわけである。 主人公・牧野には娘がおり、この親子関係がストーリーの主軸になっている。劇作家なのでベテラン俳優や老女優、プロデューサーなど文字通り舞台裏も描かれており、舞台の制作の過程なども垣間見えて面白い。ストーリーとは言ったのだが、老齢の劇作家の日常を淡々と描いており、特別に起伏が激しいわけでもないので気楽に読むことができる。 この主…  全文読む 評価する

砂冥宮 砂冥宮
ドン・キホーテ/偶然が多過ぎるが、筋立てに無理がなく安心して読める小説
 本書は浅見光彦シリーズの一つである。所謂旅情ミステリーのカテゴリーに含まれるものである。すなわち、旅情とは言うものの、その土地土地で殺人事件が発生し、それに浅見が噛んで事件を解決に導くという大まかなストーリーはワンパターンなのである。 この物語のポイントは、随分昔に北陸の海辺の町で起きた反戦騒動に端を発していることである。相当昔に起きた事件であるが、それが数十年後の現代に殺人事件となって再び表沙汰になる。 本書のキャッチフレーズは、「名探偵・浅見光彦の推理行。三浦半島から北陸・金沢へ」である。三浦半島でなくともどこでも物語は成り立つので、作家にとっては便利であるように、その構造を作り上げたの…  全文読む 評価する

地図と愉しむ東京歴史散歩 地図と愉しむ東京歴史散歩
ドン・キホーテ/東京にも近代の歴史があることを実例で示す
 この種の書は最近随分増えているような気がする。散歩の助けにと地図を紹介するガイドブックのような書である。通常は江戸時代の切絵図が下敷きになっており、そこに現在の地図を重ね合わせ、その違いの妙をいろいろと巡って行くという趣向である。もちろんNHKのブラタモリの影響も少なくないであろう。 本書の特徴といえば、東京都内で現に見ることのできる古い東京の遺構を訪ねて、その遺構の本来の趣旨を探り、昔のありのままの姿を知ろうということであろうか。遺構と一口で行っても様々である。公園、霊園、道路、河川の掘削、鉄道計画、軍都の名残りなどを載せている。 公園に遺構などあるのか、第一公園というものは出来たり、消え…  全文読む 評価する

さむらい劇場 さむらい劇場
ドン・キホーテ/時代小説における波乱万丈の主人公
 池波正太郎、お得意の時代小説である。いつものことだが、池波のストーリー展開は読む者を飽きさせない。本書では、旗本七〇〇万石の榎家の三男が主人公である。この主人公の若者は、榎家の三男とはいえ、妾腹の三男なので、兄弟にもいじめられ、父親からも冷遇されるという辛い境遇である。 ここから物語はスタートするのだが、『さむらい劇場』というタイトルどおりに波乱万丈の一生を描いている。この描き方である。様々な伏線を張っており、そこでの人間同士の邂逅などが実に面白い。 時代は徳川吉宗が将軍である時代である。親からも冷遇されれば、酒と女におぼれるのも当然であるかも知れない。これからのストーリー展開が面白さの真骨…  全文読む 評価する

鉄道の未来学 鉄道の未来学
ドン・キホーテ/鉄道の将来が社会の将来とどうつながるのか、興味深々の新書
 著者の梅原は金融機関出身だが、鉄道評論家として活躍している。タイトルにもある通り我が国の鉄道の将来を描いた新書である。過去を振り返ると実に数多くの進歩があったことが分かる。鉄道自体に大きな変化はないが、鉄道を取り囲む周囲に長足な技術的進歩があった。 著者は、この鉄道の将来を描くのに、次のようなアプローチを取っている。つまり、現在の鉄道を3つに区分して、それぞれの将来を描くと言う方法である。その3つとは、第一に新幹線、第二に大都市における鉄道、第三に幹線、国鉄時代に本線と呼ばれていた基幹路線である。 その前に、現状を把握する目的でプロローグとして「日本の鉄道の現状」を提示している。この現状報…  全文読む 評価する

古代国家はいつ成立したか 古代国家はいつ成立したか
ドン・キホーテ/古代国家の成り立ちを古墳などの遺跡から確かめていく
 今はちょっとした古代ブームである。それは奈良の纏向遺跡や卑弥呼の墓と言われている箸墓古墳での発掘の結果がもたらしているのであろう。いずれにしても弥生時代の造営であることは科学的な手法で明らかになっている。弥生時代とはその後の雄略大王や継体大王を経ての律令国家誕生の時代的国家インキュベーターであった。 「魏志倭人伝」という書に書かれている邪馬台国が、古代国家と呼ばれる条件をクリアしているのか否かは別として、この時代の書はわが国には存在しないか、存在しても史料的な価値はないに等しい。さすればこの時代の史料は外国の「魏志倭人伝」しかないのかといえば、そういう訳でもないらしい。 史料があるとすれば、…  全文読む 評価する

側室顚末 側室顚末
ドン・キホーテ/藩と幕府の駆け引き、藩内部の御家騒動など読み所は豊富な時代小説シリーズ
 上田秀人の新しい時代小説シリーズの初刊である。徳川十一代将軍徳川家斉の時代である。今回は仙台伊達藩で生じた一種の御家騒動の一端を描いたものである。主役は妾を斡旋する妾屋・山城屋昼兵衛である。当然ながら刀の使い手が登場する。仙台藩で剣術指南役に惜しくも敗れた藩士である。大月新左衛門というのがこの人物である。 本編では、このところのシリーズでつねにテーマになっていた将軍位継承にまつわる陰謀、もめ事、暗闘などとは異なり、仙台藩内部の御家騒動である。そうはいっても、幕府と仙台藩と、舞台は替わるが中身は今度は藩主の後継争いになる。これを争う闘いという点には違いがない。 後継者、つまり子供がない場合はお…  全文読む 評価する

靖国への帰還 靖国への帰還
ドン・キホーテ/靖国問題をテーマとして戦争を考えさせる異色の小説
 珍しく浅見光彦以外の主人公が活躍する小説である。しかし、本編は内田康夫のこのテーマに対する主張が色濃くにじんでいるように私には感じられる。とはいえ、その主張自体がくどく書かれてはいない。今までも『はちまん』などでは推理小説のストーリーそっちのけで作家の主張が述べられており、辟易とさせられたことがあった。 本編ではそのようなことはないが、作家が風化しそうなテーマを掘り起こし、読者に考えさせたかったのであろう。そのテーマは“靖国”である。靖国神社に関する問題である。時は戦中だが、もう敗戦が見えてきた頃である。海軍の複座の夜間迎撃機『月光』に搭乗してB-29を迎え撃つ海軍中尉が主人公である。 この…  全文読む 評価する

男振 男振
ドン・キホーテ/時代小説を超えた池波の真髄
 池波正太郎の長編時代小説である。主人公は某藩で藩主の子息の遊び相手を勤めていた。ところが、何かの拍子にあろうことか子息の頭を殴って、幽閉の身となった。何かの拍子というのは主人公の奇病が原因であった。このような書き出しで、ストーリーは進んでいくのだが、展開が早く、場面が次々と変化していくので飽きがこないのである。 幽閉されたが、不思議とお咎めはなかった。普通は藩主の子息の頭を殴れば、お咎めがあってしかるべきであろう。そこで読者に何等かのひっかかりを与える。続いて数年を経てまたしても異常事態が発生するが、この際も監禁されたが、それ以外はとくに罰は下されなかった。名前を変えさせられた程度であった。…  全文読む 評価する

秋の街 秋の街
ドン・キホーテ/満足感のある短篇集
 本書は吉村昭の短編集である。一体どれほどの短編を上梓したのか、本棚には随分並んでいる。勿論、それが全てではないのだから驚かされる。長編にはいわゆるドキュメンタリーが多く、常に丹念な調査に基づいているので、実に興味深い。それに対して短編にはモデルがあるのかどうかは分からない。しかし、何等かの調査によって明らかになった一部分を切り取っているような気がしてならない。 今回は短編を7つ集めたものである。吉村の短編作品を読むのは久しぶりだったが、確たる特徴がある。それは、ストーリーが分かりやすい反面、短編だから仕方がないのだが、突然結末を迎えることになるのだ。つまり、起承転結があるようで、印象としては…  全文読む 評価する

神様のサービス 神様のサービス
ドン・キホーテ/接客サービスを事例を交えて解説する
「サービス」という日本語には多くの意味を持たされている。日常的に最もよく使われているのが「タダ、無料」という意味であろうか。一方で、第3次産業(こういう産業分類も過去のものとなってしまった)におけるサービス産業には、きわめて多様なサービスが存在する。 本書におけるサービスとは、最初に定義がなされていないのだが、内容から推して接客における態度や心構え、気のきかせ方、などが含まれている。顧客に対して所定の役務を行うことがサービスであるが、所定の役務とは何か、これも例を出すにしても多様過ぎる。 本書ではコンサルタントとして活躍している著者が、豊富な事例を提示して接客におけるサービスのあるべき姿を読…  全文読む 評価する

無影剣 無影剣
ドン・キホーテ/異彩を放つ痛快時代劇三田村元八郎シリーズ
 三田村元八郎シリーズの竜門の衛、孤狼剣に続く第3弾である。タイトルに剣が付いているからと言って、剣豪に関するストーリーではない。竜門の衛では江戸町奉行所の同心、孤狼剣では大岡忠相の家臣、そして今回は吹上御所御庭者支配、そして勘定奉行配下支配勘定道中方という肩書である。 このシリーズは、すでに完結しているものを改装して再出版しているものである。したがって、ストーリーそのものが大きく変わることはないが、多少加筆修正があるとのことである。 毎回役が変わることが読者にとってはどうなのかである。上田のシリーズ作品では、通常は同じ役柄であるが、毎回違うのもなかなか面白いものだと思う。その方が活躍の幅が広…  全文読む 評価する

還るべき場所 還るべき場所
ドン・キホーテ/カラコルム山脈を舞台とする山岳小説
本書は文庫本にして1冊であるが、600頁を越える大作である。ジャンルはと言えば山岳小説である。しかも、主たる舞台はパキスタン、インド、中国の国境紛争が未解決の地であるカラコルム山脈である。その中のK2、ブロードピークなどが連なる世界でも有数の山岳地帯である。 夏山でも体力的に厳しいところであるが、冬山登頂を目指す主人公たち山男の物語である。トレーニングで国内やアラスカにも赴くが、目指すはカラコルム山脈である。エベレストも話題には出てくるのだが、それよりはK2の東壁からの登頂が目標であった。 エベレストとカラコルム山脈とでは、かなり離れている。エベレストはヒマラヤの真ん中であるが、カラコルム山脈…  全文読む 評価する

東京ひとり散歩 東京ひとり散歩
ドン・キホーテ/自分なりの東京発見を促す書
 タイトルの通り著者が東京を一人で散歩した際の記録である。中央公論と東京人に連載した際の20編以上を集大成して新書としたものである。当初あまり期待していなかったのだが、都内の自分の知っている場所が登場するので引き込まれてしまった。 都内のどこに行くかは著者の選択だが、大きく4つに区切っている。「見知らぬ東京」、「お江戸今昔」、「密かな楽しみ」、「よそ者たちの都」の4つである。どういう区切り方にしてもそれなりの場所を提供してくれるのが、東京と言う世界に冠たる大都市である。 「見知らぬ東京」では、日本橋兜町の東証や墨東奇譚の向島などに赴く。かと思うと周辺に森ビルの貸しビルが林立する愛宕山に行く。「…  全文読む 評価する

古事記を旅する 古事記を旅する
ドン・キホーテ/古き伝承の時代を旅して味わう
 古事記に書かれている場所への赴く旅行記である。著者は古事記に関しては造詣の深い人で、これまでにも著書は数冊上梓している。古事記に書かれている事柄は、神話あるいは伝承である。神々の行いや生い立ちが描かれているのだが、本書ではこの縁の地を歩いて確かめ、記述されているということである。 神話あるいは伝承ということは、そこに書かれていることは証明ができず、確かなこととは言えないということである。そんなあやふやな地に行ってどのような意味があるのかと思われるかもしれない。後年、その神話をもとにして碑を建てたり、神社を建てたり、人々のこのような営みによって神話は補強されている。したがって、その地を訪れると…  全文読む 評価する

烈風 烈風
ドン・キホーテ/政治家と官僚の政策実現過程での関係を考える実例
 高杉良の筆になる小説であるが、舞台が官庁でしかも実話をモデルにしているので、物語の全容は記憶している読者も多いと思われる。自民党が野党になり、細川連立政権が誕生した際、細川政権の大臣が局長に退任を迫り、ついにはそれが実現してしまった話である。省庁内部の権力闘争だけではなく、政治家が介入してきたことで渦中の局長を支える官僚たちが猛反発し、一時は大騒ぎになった事件である。この種の官庁物、しかも通産省を取り上げて先鞭を付けたのは、城山三郎の『官僚たちの夏』であろう。たしかに破天荒の主人公と周辺にいる官僚たちは皆個性的に描かれていた。喰い付くように読んだ記憶がある。 官僚たちの考え方や仕事の中身を伝…  全文読む 評価する

竜門の衛 竜門の衛
ドン・キホーテ/新装の三田村元八郎シリーズ
 本書は上田秀之が10年以上前に著した時代小説・三田村元八郎のシリーズであるが、新装版での再版である。上田の小説は登場人物の位階や身分によってその面白さが出てくる。筋立てはどれも大きな違いはない。つまり、将軍家の跡目相続の暗闘を描いている。今回もそれは共通している。というより、順序からいえば、これ以降の小説が本シリーズを踏襲しているという方が正確であろうか。 三田村元八郎は江戸町奉行所(南町)の同心である。同心にも役目が色々あるのだが、三田村は定町廻り同心と言って区切られた区域を巡回し、警戒に当たる同心である。時代は徳川吉宗の時代であるが、問題はその後継者である。順当ならば吉宗の長男である家重…  全文読む 評価する

知的創造のヒント 知的創造のヒント
ドン・キホーテ/アイデア創出に関する随筆
 文学者の外山滋比古氏が著した随筆である。一見するとハウツーものと勘違いしそうなタイトルであるが、本書は、外山氏が知的創造をする際に、自分の経験と知識を中心に読者へ考え方を披歴したものである。 アイデアを出すことはあらゆる場で求められることであるが、それが直ちに出てくるほど簡単ではない。色々な思考を繰り返して苦しみ抜いた後でなければ、良いアイデアが出てこないということは、多くの人が経験上知っていることであろう。ただし、こればかりやっていても、やがて同じ所へ戻ってきてしまうので、休むことも必要だと説く。 とくに睡眠の効果について縷々述べているのが面白い。睡眠をとることによってごちゃごちゃと詰め込…  全文読む 評価する

還らざる道 還らざる道
ドン・キホーテ/長寿シリーズの秘訣
 このところ間隔が空いている浅見光彦シリーズである。さすがの内田康夫も歳を取ったせいか以前のように回転しない。長寿シリーズであるが、振り返ってみると、様々な工夫があって、読者を飽きさせない仕掛けがいくつもあることに気付かされる。 小説の導入部はとくに重要な部分であろう。いきなり浅見が登場するものもあるが、今回はヒロインの周辺で生じる事件を最初に出して、読者を惹きつけている。このパターンは、数えたわけではないが、比較的多いのではなかろうか。そこで取材旅行に出ていた浅見が偶然この事件に遭遇し、ヒロインとの接点となる。 この辺りの導入部は、ヒロインが毎回異なることもあって飽きることはない。その裏をか…  全文読む 評価する

政権交代狂騒曲 政権交代狂騒曲
ドン・キホーテ/かくも大混乱の小泉以降の日本の政治
ベテラン政治評論家の浅川が、最近起こった政権交代劇とその前後の自民党政権のどたばたぶりと民主党新政権のがたがたぶりを淡々と描いたものである。まだ5年ほど前のことであるが、これを読むとつい最近のことのように思い出す。 つまり、この5年間政権交代を挟んで、政治の混乱ぶりと内閣の人材不足を感じざるを得ない。それが自民党あるいは民主党、どちらかに偏っていれば、どちらかが選挙で敗退して舞台から消えていくのであろうが、現在の状態ではどちらもこのままでは政権を担当することは難しいと考えても間違ってはないであろう。 この現象はつい最近まで継続している。復興相がまさかと思うような失言によって辞任したり、首相がだ…  全文読む 評価する

刃傷 刃傷
ドン・キホーテ/奥右筆シリーズ第8弾。エピローグに近付いていることを感じる。
 上田秀人の奥右筆シリーズ第8弾である。将軍の後釜を狙う勢力が蠢く江戸幕府であるが、すべての書面が通過する奥右筆という部署があり、ここの組頭が主人公である。主人公ではあるが、実際のヒーローは主人公の用心棒をつとめる隣家の旗本の次男坊である さすがに8作目ともなると、相当煮詰まってきている。物語は十一代将軍徳川家斉の後継者争いに関連して、何でも知りうる立場にある奥右筆組頭が邪魔な存在となる。それゆえに、この組頭は登城、下城途中何回も襲われている。相手は伊賀忍者、どことも知れない藩の藩士、上野寛永寺の僧兵であったりと、勢力に依頼された者たちである。 この第8弾では、身を守るために城中で刀を抜く羽目…  全文読む 評価する

指揮者の仕事術 指揮者の仕事術
ドン・キホーテ/指揮者は何をするのかを分かりやすく描いた新書の決定版
5月に指揮者の佐渡裕がベルリン・フィルを指揮したことが話題となった。テレビでも番組が編成されて放映されていたので、ご覧になった方も多いであろう。ベルリン・フィルを指揮することにどれだけの値打ちがあるのかどうかは分からない。しかし、テレビ番組を見ていて、指揮者が演奏家を指揮する実態が垣間見えたことは間違いなかった。 コンサートに出かけた聴衆には、ステージ中央の指揮台に乗り、聴衆に背を向けてオーケストラを指揮する姿だけしか、見えないのであれなら簡単だと思う人もいるかもしれない。しかし、実際は相当の準備と相手もプロである演奏家を相手にして、指揮をすることの難しさは理解できたのであろうか。 著者は音楽…  全文読む 評価する

名短篇ほりだしもの 名短篇ほりだしもの
ドン・キホーテ/傑作短編集シリーズ4だが、必ずしも小説とは限らない
 本書は北村薫と宮部みゆきが選んだ短編を集めたもので、本書ですでに4冊目である。よく長続きしていると思う。本シリーズでは、短編とはいうものの、すべてが面白いというわけでもない。しかし、本書に集められている短編はどれも傑作というか、興味を惹くものばかりであった。 12人の古今名作家が登場する。複数編が掲載されている作家もいる。これらはその作品の内容や作風を考慮して決められているのであろう。芥川龍之介、志賀直哉、里見とん、内田百けんなどの著名な人たちもいれば、宮沢章夫、石川桂郎、中村正常など、私の知らない人たちもいる。中には織田作之助や尾崎士郎などという名前もある。 シリーズ4冊目ともなると、多少…  全文読む 評価する

日本人のためのアフリカ入門 日本人のためのアフリカ入門
ドン・キホーテ/アフリカに対する日本人のステレオタイプ的な見方を改める良書
 著者の白戸氏は現役の新聞記者である。本書は白戸氏が南アフリカのヨハネスバーグへ特派員として勤務していた時代のアフリカに対する思いを描いたものである。日本からアフリカは遠い。とはいえ、一頃に比べると、近くなったのであろうか、観光客は大勢押し寄せる。しかし、満遍なく訪れるのではなく、観光地に決まってしまう点が特徴であろう。 本書はアフリカ入門というタイトルではあるが、アフリカ各国の地誌的な事情を報告するものではない。日本人はアフリカをどう捉えればよいかのヒントを与えてくれる新書である。 日本人のアフリカに対するイメージは、きわめて画一的である。マスメディアもそれに乗じてストーリーを作って放映して…  全文読む 評価する

page: 1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9  |  10  |  次へ→