|
死者のための音楽
|
|
さとる/ホラーというよりは幻想文学
|
乙一氏の別ペンネームであるとのこと。ホラー・幻想文学とも言うべき作品が集められている。『黄金工場』『鳥とファフロッキーズ現象』に見られるおぞましさ、得体の知れなさにそれらしさを感じ、とてもクセになる。最近はすっかり中田永一名義での恋愛小説の印象が強くなっているけれども、こういった仄暗い作品ももっと読ませて欲しいと思わずにはいられない。このクセのある恐怖や感覚の異常というものも、氏の作品の驚異的な点であったと、デビュー作を思い出さずにはいられない。山白朝子名義での更なる活躍を期待せずにはいられない作品集である。
|
|
|
ロードムービー
|
|
さとる/スピンオフ短編集
|
全く前知識なしに読んだのだが、『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフ短編集とのこと。しかし1名以外は気付かずに読んだのだが楽しめたので未読の人でも大丈夫なはず。こういった他作とのリンクを探すのも辻村作品の楽しみである。収録作としては、表題作は話のひっくり返し方が見えてしまう。しかし、『雪の降る道』と合わせて、比較的初期の辻村作品に感じた子供を描く上手さの感じられる作品になっていると思う。最近の辻村作品では縁遠くなった、あたたかくも現実と隣り合わせのままならなさもあるエピソードが楽しめてよい。
|
|
|
首の姫と首なし騎士
|
|
さとる/レーベル的には異色作となるか?
|
このレーベルとしては珍しく硬質な感触の文。しかしキャラには魅力があり、デビュー作としては驚異的な抑制の効き具合、バランス感覚のよさを感じる作品だった。このまま筆力が伸びていけば、かなり読み応えのある物語を生み出してくれるのではないかと期待される。キャラたちの今後も気になるので是非、続きを読みたい。楽しみな新人さんです。
|
|
|
寮の七日間
|
|
さとる/共通設定があってもだいぶ個性のわかれた4編が楽しめる。
|
舞台が「紅桃寮」、404号室が「開かずの間」、解決までの期間が7日間という共通設定で物語が展開する青春ミステリアンソロジーだが、だいぶ個性の別れた作品となっている。一番ミステリとして楽しめ、作りも丁寧なのは緑川聖司『三月の新入生』だろうか。著者が児童文学の方であることを考えると、偏見かもしれないがとても納得のいく丁寧な語りだった。野村美月『桃園のいばら姫』は倒錯的な女子校での、一種サイコホラーじみた展開が楽しめる。他の収録作に比べて独特な世界が構築されている。「青春ミステリ」といわれると意外と型にはまったミステリを想像するのだな、と気付かされた、広義のミステリ作品が集まった一冊かもしれない。
|
|
|
こわれもの
|
|
さとる/珍しく前向きな印象……
|
最初、著者の作品としては、読んでいて普通だなという印象を持った。しかし、そこはやはり浦賀和宏。きちんとどんでん返しを準備してある。その方法などは、やはりありがちととられることもあるだろう。しかし、作中での、幸福の絶頂から突き落されるという描写と対比できる部分がその展開にあり、読んでいる側としてはなかなかはっとさせられる感じである。著者の作品は全体的にダウナー系のものが多いが、これは最終的に読んでいる側も救い上げられる感じがする。個人的にはなかなか好感触を持てた。
|
|
|
聖女殉教
|
|
さとる/どこか慌しい
|
若き天才芸術家・ミケランジェロの物語、一応の完結。読者としてはいきなり最終巻ということで、驚きを隠せない。ロレンツォが死に、リフィアはメディチ家に養女として迎えられるが、リフィアとジュリオの出生の秘密が大きくその運命を動かしていく。物語の大きなポイントであった、リフィアの出生の秘密に関するひと騒動が、一応の解決を見せる。その点に関する物語の流れ、そして実際にあるミケランジェロ作の木像と絡めたエピソードは、非常に上手いと思える。しかし、ミケル、リフィア、ジュリオの三角関係が以外にもあっさりと片付いてしまった点や、主人公であるはずのミケルの影が薄い物語の展開など、不満に思えるところもあり。全体的に…
|
|
|
マリオネット園
|
|
さとる/微妙……
|
シリーズ第4弾。流氷館での事件をまとめた小説を出版社から出してもらえることになり、編集者を研究会の面々に紹介することになったカケル。そこに現れた女子高生の持ちこんだ不可解な手紙の暗号に、研究会の面々は取り組むことに。一方、モリサキメグミという女性を探し、後動は廃園となったレジャーランドを訪れていた。 暗号解読と、お馴染みとなった建物トリックがメインとなっている一作。全体的にあまりスマートではないという印象を受けた。特に、今回の事件の際の人の動きには、かなり疑問を感じるものがあった。キャラクターに関する難点は第1作から変わっておらず、少々読んでいて白けるところがある。どちらかというと、本格ミス…
|
|
|
東方ウィッチクラフト
|
|
さとる/ドタバタのなかにしんみり
|
シリーズ第3作。 前作で柾季の未熟な面が浮き彫りにされたが、今回の話でその柾季に成長が見られたように思える。 柾季の通う御堂学園の、歴史研究会メンバー殺人未遂の犯人に挙げられてしまった一子は、柾季と研究会の合宿に参加して疑いを晴らそうとする。 研究会メンバーのある人間関係に問題が生じているのだが、それに柾季たちが絡んでいく。しかし、前2作に見られたような、めちゃくちゃな幼稚な干渉の仕方はしていない。今回の件は柾季自身にも何か思うところがあるのではないかという展開を見せ、内容もただ楽しいだけではなく、しっかりとした中身、主張を伴っている様に思えた。 主役たちの魅力も増し、今後のシリーズの展開が…
|
|
|
魔女の結婚
|
|
さとる/あのキャラの出生の秘密が
|
シリーズ第3作。 今度はエレインは盗賊の頭を自分の運命の相手と思いこむ。しかし、今回は前2作とは少々異なっており、前半のほうで早くもエレインは自分一人が舞い上がっていることに気付く。こういったところに、さりげなく主人公の内面の成長が、ほんの少しではあるが見られるようである。 今回の目玉となっているのは、エレインの保護者的立場になってしまったマティアスの出生の秘密である。そのことが明かされることによって、わけのわからないタイプであった彼に、血肉がついたように思える。キャラに深みが出ただろう。そして、マティアスもまたこのシリーズの主人公であると思えるようになる。今後この主人公二人が、どう絆を深め…
|
|
|
イリヤの空、UFOの夏
|
|
さとる/楽しめる一冊
|
猫の地球儀などでお馴染みの著者の最新作。 戦争が身近な、パラレルな現代日本が舞台。新聞部員の浅羽直之が、UFO目当てでの張りこみの最終日深夜学校のプールに忍び込むと、そこには先客がいた。イリヤと名乗る奇妙な少女との出会いから物語が始まる。 戦争が身近で、月イチで防空訓練が行われたりという設定だが、それでもそこにいる少年少女は等身大の存在。だから、こういった世界設定が好きという人でなくとも、楽しんで読めるのではないだろうか。バックになにかスケールの大きな設定があるようだが、ボーイ・ミーツ・ガールと銘打ってあるだけに、主人公たち二人に焦点が合わせられている。それがかえって作品を上手くまとめている…
|
|
|
死神見習い修行中!
|
|
さとる/いい雰囲気が漂う
|
フィンはおじの借金のカタに、謎の男のところに身売りされる。相性の悪い死神希望の少女までそこに加わり、死神であるという身売り先のマスターの元で死神の修行をすることになったフィン。この物語は、全体的に主人公の成長がメインになっているのだろうと思われる。 ラストが少々すっきりしないものがあったが、フィンに本をもらった少年の存在が、この物語全体をすっぽりと心温まるほんわかした空気で包んでしまっている。なかなか上手いという印象を受けた。詰め込みすぎという感じもするが、雰囲気が勝っているのではないだろうか。
|
|
|
ブルー・ポイント
|
|
さとる/イメージは沸きにくいが
|
いつのまにか不思議な世界に入りこんでいた穂積。善行を積むことによって得られる青ポイントだけが外へのパスポートであるという世界で、穂積は太守と呼ばれる女に逆らい、脱出を試みつづける。そして最終的に穂積はこの世界の真相を知る、というストーリー。 この設定事態はさほど珍しくないのではないかと思える。ただ、この世界に入ってくるあたりのエピソードが語られず、またその世界についてもさほど詳しい説明がないので、どうもこの小説の世界観に入りこみ難かった。この世界に来る際のエピソードは、後半に大きく関わってくるものであるからしかたがないとしても、もう少しイメージが沸きやすい文を書いてもらえればと思った。全体的…
|
|
|
ラスト・ビジョン
|
|
さとる/説明不足かも
|
電撃ゲーム小説大賞選考委員奨励賞作家の第二作。クラスメイトの高井深奈の故郷である離島に招待された主人公初乃たちが、その島での事件に巻き込まれる。その事件の最中、高井が初乃たちをこの島へ呼んだ理由が徐々に明らかになっていく。 最初は孤島の研究所という設定や実際に書かれているその雰囲気から、森博嗣のすべてがFになるを髣髴とさせるものがあるが、実際にはSFである。SFとしては、どうも盛りこんだ要素をスマートに処理しきれていないという感じがあり、雑な印象を感じる。おそらく説明不足な点などもあり、読者には理解が及ばないということが多いのではないだろうか。書いている著者の頭の中には設定等がすべて入ってい…
|
|
|
Missing
|
|
さとる/前作よりキャラに魅力が
|
シリーズ第2弾。今回は呪いのFAXという都市伝説に絡めた物語となっている。 呪いのFAXを受けた文芸部のメンバー木戸野亜紀の周辺に、次々と不可解な出来事が起きる。そこにはなにか獣の影があり、また魔女の異名をもつ十叶詠子の言葉もそれを暗示していた。 前作に比べて、ずいぶんとキャラクターの書き方はしっかりしてきている様に思える。後は組織や詠子などの設定を、どこまで上手く料理することが出来るかではないかと思われる。 都市伝説がネタであるため、割合気軽に楽しめるかもしれない。読者が想像しやすい話であろう。その設定や雰囲気などから、どうしても先達との比較をしてしまうのだが、そういう意味で、この作者だか…
|
|
|
サンクチュアリ
|
|
さとる/もう少し楽しませて欲しい
|
著者第4作。ケガが原因で自分の人生の大半を占めていた陸上から離れることになった主人公が、友人に誘われた秘密パーティでドラッグに手を出してしまう。 この著者の作品は、その雰囲気が大きな力を持っていると思われるが、デビュー作から一向に文章を書く基本的な技術が改善されていないようである。訴えかけるものはあるものの、その文章の書き方などのせいで、ある意味独り善がりな感がある。惹きつけられる人は惹きつけられるであろうが、広い層の固定ファンは得られないのではないだろうか。 ヒロインがどうも人形のような印象を受ける。主人公の内面はよく書かれているのだが、ヒロインに関しては、実際どういった考えをし、行動して…
|
|
|
東方ウィッチクラフト
|
|
さとる/シリーズのテーマが見えてきたか?
|
善き魔女を目指す男子高校生滋賀柾季と、彼の使い魔になってしまった観凪一子のコメディ第2弾。ダンサーである柾季の母に弟子入り志願をしてきた女性が現れるが、どうもそれにはいろいろ裏がありそう……というもの。 前作ではそれ単品で終わっても何の問題もない、読みきり作品の雰囲気があったが、今回の話で作品の雰囲気はシリーズもののそれとなったように思える。もちろん話自体はこれ一冊で完結しているのだが、シリーズものにはお約束の伏線などがちらほらと見られる様になってきたのである。 観凪一子の受難の物語なのかと思っていたが、どうも一子の視点を通しての柾季の成長が、このシリーズのメインとなるようである。使い魔が人…
|
|
|
月の人魚姫
|
|
さとる/どうにも落ちつかない
|
コバルト文庫でお馴染みの作者の読みきり作品。 どこかメルヘンの印象をもつ世界観でのSFで、舞台となる惑星は人魚と呼ばれる海の民と、陸に住む陸の民とに別れている。主人公は海の民の王の末っ子イルで、物語はイルが助けた陸の王子に求婚をされることから始まる。 あらすじからするに、SF版人魚姫という感じである。それだけではなく、実際には二つの民の事情や、政治関係の事件などが大きく絡んできている。 軽く楽しめる一作ではあるが、著者のわりとしっかりした作品を読んだことのある者には物足りないものがあるだろう。好きなものを詰めこんだようだが、それだけにそれのある必然性の感じられないものがいろいろあって、全体的…
|
|
|
アリア系銀河鉄道
|
|
さとる/綺麗な印象を受ける一冊
|
紅茶好きの宇佐見博士が、不思議な世界に迷い込んで、そこで起きた事件を解決するといった短編などが5本収められたもの。 ファンタジー的な舞台設定でのミステリ。当初はこれできちんとした謎解きが期待できるのだろうかと、少々心配ではあったが、なかなかしっかりと論理的な解決が成されていた。 なんでもありという印象のあるSF・ファンタジーの世界でも、きちんと世界設定が成されていれば、その中でも論理は成り立つのですね。その特殊な舞台設定などに、多少は疑問を感じるところもあったことにはあったが、全体的には良くまとまっていて、幻想的な美しさがあった。読後感の良い、優しい印象もあるミステリだったと思う。
|
|
|
禁断のインノチェンティ
|
|
さとる/悲劇を予感させる展開か?
|
薫風のフィレンツェの第2巻にあたる。リフィアのいる湯治先に乗りこんだジュリオは、リフィアに一目惚れしてしまう。ミケルをはじめ周りの人々が慌てる中、ミケルたち三人の運命を左右する事態が近付きつつあった。 リフィアの出生の秘密が明かされることによって、早くもとてつもない悲劇の訪れが予測されます。悪意がないにもかかわらず、三人のういういしい恋愛関係はしかし大きな悲劇を招きかねない状態に。特にリフィアに対するジュリオの想いは大きな不安要素となっています。今までの榛名作品とは少々違った不幸さが見られ、これからどうなってしまうのかと先が気になって仕方ありません。そんな展開なものだから、また今までになく朴…
|
|
|
青空の下の密室
|
|
さとる/読みやすい一作
|
第3者の立ち入りが不可能な状態の屋上で教師が刺殺体で発見されその傍には謎の血文字が。その1ヶ月後同じような血文字をそばに書かれた状態で別の教師が殺される。その事件の謎を、翔太と友人達が集まって解いていこうとする、といったもの。 富士見ミステリーと、ミステリからは少々外れているのではないかと思われる文庫からの発売だが、実にまっとうなミステリーです。そもそも著者が本格ミステリで活躍中の作家さんということで、文章も安心して読めるものでした。 著者が若い人むけにと気を遣って書かれた作品なだけあって、わかりやすくすっきりとまとまった一作です。若い人むけということでされたのであろう設定が少々不自然に感じ…
|
|
|
魔女の結婚
|
|
さとる/ますます楽しく
|
魔女の結婚続編。自分を目覚めさせた魔術師マティアスの弟子となったエレインは、マティアスの仕事で訪れた町でダイルという男と出会う。エレインの中にある力を操ることのできる彼が自分を運命の相手だと言うのに舞い上がるエレインだが、彼はマティアスの依頼主と敵対する立場にある人物だった。 主人公はマティアスという感じになっております。エレインを目覚めさせた自分ではない第三者が、彼女と結びつきがあることを示唆する力をもって目の前に現れることによって、マティアスに余裕がなくなってきているようです。一件クールなようでとんでもなくやきもち焼きな彼には思わずニヤリとさせられます。少女小説としては見ていて楽しくなる…
|
|
|
深き水の眠り
|
|
さとる/不思議なくらい本当に普通な主人公
|
カナリア・ファイルシリーズを書いていた著者のコバルト文庫での新シリーズ第1作目。 平凡な女子高生がある日特殊な能力に目覚めて、しかも下僕のようなものまでできてしまう……となるとありがちな感じであるが、この作品でそういったありがちなものと違った印象を受けるのは、本当に本当に、驚くくらいに主人公が平凡なことである。こんなに特徴のない主人公というのも珍しいのではないかと思う。大体においては受身であり、なにか特別な使命感に目覚めてしまうなんてことはない。人によってはかなりのもどかしさを感じるかもしれない。 しかし、それだけにラストでの玻瑠佳との会話のところで変化が目に付くのではないだろうか。この主人…
|
|
|
月の光はいつも静かに
|
|
さとる/コンプレックスを持つ英雄が良い
|
マイナーだが、なかなかいい作家を抱えているのではないかと思える小説ウィングスの新人賞においてデビューした著者の初文庫。デビュー作に同一シリーズの短編を書き下ろしたものを収録している。 人質の姫と逃亡した元部下の近衛騎士を流民の血を引く遊撃隊隊長ダガンが追跡していく。自分とは違い、恵まれていたはずの近衛騎士アドリアンは、なぜ姫と逃亡したのか。追いついたダガンにアドリアンが吐露した心情とは。 話の中心となる人物たちは、どれも何らかのコンプレックスを抱き、進むべき道を迷っている。2篇の物語において中心となっている若者はもちろんのこと、その二人に尊敬されているダガンもまた例外ではない。英雄的立場にあ…
|
|
|
薫風のフィレンツェ
|
|
さとる/今後の展開が期待される物語
|
榛名しおりの新シリーズ。ルネッサンスのイタリアを舞台に、若きミケランジェロがロレンツォ・デ・メディチに見出され、芸術家としての道を進み出すあたりが書かれている。 今までの著者の作品に比べると、恋愛色が薄いように思える。主人公ミケルが今までになく朴念仁で、なによりも芸術に心を引かれているあたりがその理由とも考えられる。そのミケルに引かれていく人物が二人。このシリーズではどうも今までにはないアヤシサが漂っているようで、これから先どう人間関係が展開していくのかと心配してしまう。自分の目先のこと、自分を愛してもらうことに精一杯の状態の主人公たちが、今後どういう関係を築き、成長していくのが楽しみである…
|
|
|
Missing
|
|
さとる/もっと深く書いて欲しかった
|
第7回電撃ゲーム小説大賞最終選考に残った著者の、書き下ろしデビュー作。 常に黒づくめの格好をし、その態度とオカルトに精通していることから魔王陛下と呼ばれる空目恭一。彼があやめという不思議な雰囲気をまとった少女と出会うことから事件は始まる。やがて少女と共に姿を消した恭一。その現場に立ち会った友人たちは、神隠しに遭った恭一を救い出すべく、動き出す。 文が下手というわけではないが、少々インパクトに欠けるという気がする。表面をなでているような感じがして、どうも奥が見えてこない。雰囲気は悪くないので、もう少しひとりひとり、エピソードのひとつひとつを深く掘り下げていってくれればよかったのにというのが個人…
|
|
|
よもつひらさか
|
|
さとる/もう少し個性が欲しいか?
|
今邑彩の短編集。ホラーなど、様々なタイプの作品が収められている。一つ一つ、無難な出来の作品ではあった。典型的な展開の話が割合見られたが、その内の幾つかは雰囲気が良いためにそれでも楽しめた。 しかしこれといった特徴のある話ではなかったことか残念に思える。かなりの作品が、オチが読めてしまうというのはやはりどうかと思える。今邑彩作品でよく思うのだが、少々インパクトにかけるという印象がある。 これが今邑彩だといえるような特徴ある作品を読めないものだろろうかと思う。文章自体は読みやすく、上手いと思えるので、個人的にはもう少しという感じである。
|
|
|
黄金の血脈
|
|
さとる/多少難点はあるものの……
|
今までライトノベルでSFモノを書いていた著者のミステリ。 ミステリ好きの高校生・橘みつきがストーカーに悩まされ探偵社を訪れるものの、留守。その帰りに出会った転校生・笠城拓海が探偵の身内らしいと知ったみつきは、のちに連続殺人事件となる事件の死体第1発見者となってしまうところから話がスタートする。 富士見ミステリー文庫にしてはなかなか上手くまとまった話ではないだろうかと思えた。ただ、ミステリというよりはサスペンス、でしょうか。この物語を構成する二つの事件。つまり、みつきのストーカー事件、そして連続殺人事件だが、前者はすぐに見当がついてしまうし、後者は少々読者にフェアな書き方になっていないような気…
|
|
|
Edge
|
|
さとる/ライトノベルにはもったいない
|
発売当初は、またホワイトハートが女性読者に受けるような話を出したのかと思っていたが、評判が良かったので読んでみると、とんだ思い違いをしていたことを知った。 はっきりいって、ホワイトハートの枠におさめておくのは惜しい。こう言っては悪いが、偏った読者層だと思えるホワイトハートではなく、もう少し広い範囲の読者に読んでもらうべきではと思える。 天才的なプロファイラー、そして超能力と、若い読者層を狙ったような漫画的な設定があるが、話の作りは非常にしっかりしている。頭に銃弾を受けたことがきっかけで記憶退行を起こした相棒の青年・藤崎の世話をしながらも、主人公は事件に関わる。その主人公と藤崎の、優しさと奇妙…
|
|
|
東方ウィッチクラフト
|
|
さとる/ある意味スタンダードな少女小説コメディ?
|
<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=01901936&volno=0000" target="_blank">『ウォーターソング』ウォーターソングでデビューした著者の第二作目。ノスタルジックなSF作品だった前作とはうって変わって、今回は現代のコメディもの。 隣の有名私立校の1年生の滋賀柾季に憧れる中学三年の観凪一子は、ごく普通の家庭に育ったごく普通の中学生のはずだった。しかしある日一子は憧れの柾季の正体が魔女であることを知り、何故か彼の使い魔にされてしまう。挙句立派な良き魔女を目指す柾季は、最近世間を騒がせている路上強盗事件を…
|
|
|
閉鎖のシステム
|
|
さとる/雰囲気は悪くないが
|
オーフェンシリーズでお馴染みの秋田禎信の初ミステリということである。しかし、はっきりいってミステリとしては問題点ばかりではないかと思わされる。きちんとプロットを立てて書いたのだろうかと疑問に思う。 作品は主に登場人物たちの会話で進んでいく。はっきりいって会話ばかりである。キャラクターたちにはもう少し建設的な会話をさせるべきだったのではと思わずにはいられない。いつだって、発展しかけても論悟のどうでもいい発言で、ただ無為に作品中の時間が流れていってしまう感がある。 ラストに関しては、読者に対し、真実についてのある程度の説明が欲しい。真実を提示して欲しいと思った。提示された情報等が、未消化なまま終…
|
|