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不思議の国のアリス 不思議の国のアリス
るる /「語り」の物語
 金色にかがやく午下がりにルイス・キャロルが少女アリス・リデルに語って聞かせた物語を、「語り」の口調で翻訳する、というやり方は、意外なことにこれまでなかったように思います。詩人の矢川氏による語りの文体は、金子國義氏のイラストとあいまって、完全に新しい独自の世界を作り上げています。  全文読む 評価する

一握の砂・悲しき玩具 一握の砂・悲しき玩具
るる /歌人啄木
 啄木の肖像を見る。やはりこの人には、「ローマ字日記」の作者ではなく、「一握の砂」や「悲しき玩具」を詠んだ歌人であることが似合う。繊細で、薄幸そうな肖像。そういう意味でも、確かに生まれながらの歌人だったのだ。  全文読む 評価する

謎のギャラリー 謎のギャラリー
るる /伝説の作品
 比較的最近出たばかりのアンソロジーに収録されている作品を、別のアンソロジーに収録するというのは異例のことでしょう。ジェラルド・カーシュ「豚の島の女王」は、それほどまでに収録したかったであろう熱い思いに恥じない、間然するところのない傑作です。ほかにも、編者北村さんの熱い思いのこもった作品ばかり。「エリナーの肖像」など、かつて北村さん自身が「発見」し伝説となっていた作品を、新たに紹介しているなど、興味は尽きません。  全文読む 評価する

朝日新聞の正義 朝日新聞の正義
るる /正義と真実
 情報操作や一面的な報道の仕方、というものに真っ向から切り込んでいる。無記名の記事だからこそ、主観が入っていないと感じがちだが、新聞というのは「記者」という個人が書いているものの集まりなのだ。たまたまその記者の中にモラルのない人間がいれば、とんでもないことになる。真実のためにと盲信して、自分の中の正義が真実かどうか問わないやりかたは、朝日新聞だけでなく、自分自身も含めて広く反省すべき点だ。だが一面的な記事は、人間なのだからある程度は仕方がないともいえるが、会社ぐるみの情報操作というのは、自分の正義を世界の真実だと押し付ける独裁者だ。 朝日と本書のどちらが正しいか、の答を出すには、本格的に自分で…  全文読む 評価する

大密室 大密室
るる /新密室
 『大密室』と名は付けられていますが、「新密室」ともいうべき作品集だと思います。「密室」という言葉から通常受けるイメージどおりの密室に、真正面から取り組んだのは有栖川氏ただ一人でした。ほかの作品は、あるものはとんちんかんであり、あるものは不完全燃焼であり、あるものは新しい方向を模索しています。新しい方向を向いた作品の中でとりわけすばらしかったのは、貫井氏の作品でした。トリック=神の御業と定義することで、自らを神と思い込む驕りと対比させた、テーマ型密室の傑作だと思います。  全文読む 評価する

愛の詩集 愛の詩集
るる /「幸福になりたい」
 大胆なタイトル。多用される「〜だった」や「〜いた」などの言い切りの文体。 犀星に迷いはない。たとえ迷いについて詠った詩があっても。詩人としての自信に満ち溢れた犀星がいる。  全文読む 評価する

ブラウン神父の童心 ブラウン神父の童心
るる /ワンダーランド
 巻き起こる奇妙な事件と奇妙な論理。不思議の国のブラウンといった感じだ。ありえない発想なのに、どこまでも理にかなった理屈。幻想の国に迷い込んだみたいだ。幻想の国で謎を解くのは、ハンプティ・ダンプティ——チビでまんまるの神父だ。  全文読む 評価する

御手洗潔のメロディ 御手洗潔のメロディ
るる /お買い得
 笑いと感心を同時に受けられる文章なんてそうはない。「IgE」を読むと、御手洗の奇人ぶりとそれに振り回される石岡くんたちにに大笑いしながらも、奇行すべてに隠されていた意味を知り感嘆してしまう。これは、本格ものではない「SIVAD SELIM」や「さらば遠い輝き」、あるいはアメリカ時代の「ボストン幽霊絵画事件」では味わえない魅力だ。 もちろん「SIVAD SELIM」や「さらば遠い輝き」にはまた別の、小説としての詩的な魅力があるわけだし。 さらに解説を島田さん自身が書いているというお得な一冊です。  全文読む 評価する

甘えんじゃねぇよ! 甘えんじゃねぇよ!
るる /
 以前は、吉田戦車を読んだことがない人でも、誰もがかわうそくんを知っていました。今もみんな知っているようです。知ってるんだったら読めばいいのに、と思うのですが、なかなか読んでくれません。この本にはかわうそくんは出てきませんが、入門編にはぴったりだと思います。文庫だから読みやすさも抜群です。  全文読む 評価する

海神の晩餐 海神の晩餐
るる /船の上の生活
 「船が好き」といっている若竹さんなら、タイタニックの話は書かずにいられないでしょう。ミステリ作家がタイタニックについて書くなら、フットレルは避けて通れないでしょう。 書かれるべくして書かれた本書は、だからこだわりがいっぱいで、何度も読み返したくなります。  全文読む 評価する

迷宮 迷宮
るる /ミステリーホラー
 従来、怪奇ミステリーとか幻想ミステリーというと、カーの『火刑法廷』に代表されるようなもののことを言っていたように思う。その主なものは、ミステリー作家が書いていた。 怪奇・幻想ミステリーに対する、ホラー作家の側からの回答が本書だ。一番の違いはやはり解決編だろうが、もっと根本的に、文章の“血”が違うといっていい。ホラー好きで知られる綾辻行人氏の文章でも、伏線とかロジックとかを意識してか、どうも堅く理知的な感じがする。解決編で言えば、麻耶雄崇氏の作品では、謎の突き放し方がかえって一種カタルシスをもたらす。しかし、倉阪氏の文章は、解決は、どうも、気持が悪い。おさまりがつかない。読者を不安に、不快にす…  全文読む 評価する

吉里吉里人 吉里吉里人
るる /中だるみを乗り切る軽めの文章
 風刺小説というのも、生真面目に風刺すると、途端につまらないものになってしまう。中巻では、国家・政治の矛盾をひとつひとつつぶさに風刺しているため、飽きがくることは否めない。それでも面白く読ませるのが、井上ひさし氏の面白おかしい文章の力だと思う。 生真面目に風刺するために、敢えて真面目でない文体を取ったのでしょう。  全文読む 評価する

新潮日本文学 新潮日本文学
るる /愛の劇場
 福永武彦というのは、今読むと、純文学と通俗の融合、みたいなことを考えていたのだろうか。文章やテーマはともかく、ストーリーがなんだか昼のメロドラマみたいだった。考えることがみな大げさで楽しい。大げさだからすぐにわかる。だから読者も一緒になって考えることができる。——一緒になって考えるべきである。そんな小説を書こうとしていたのかもしれない。  全文読む 評価する

二千万ドルと鰯一匹 二千万ドルと鰯一匹
るる /悪女はかっこいい?
 悪女VS.悪女の壮絶な戦い。毒気を出し合い、最後にはどちらも滅んでしまうのではと心配した。が、そこは玄人の悪女VS.素人の悪女、勝敗は明らかだった。 アルレーの完全犯罪は、緻密な計画を立ててその設計図どおりに動くタイプではなく、口先で言いくるめて計画を先に進めるタイプのものだ。完全犯罪というよりは、どうしても行き当たりばったりに見えてしまう。『わらの女』ではそこが気になっていた。女がもう少し冷静に行動していれば完全犯罪は成り立たないのだから。けれど本作品の場合は、口先のごまかしも、女と女の口げんかみたいで、納得させられてしまう迫力があった。 口車を使うのは、完全犯罪としてはあまりいい出来では…  全文読む 評価する

帰って来た木枯し紋次郎 帰って来た木枯し紋次郎
るる /ヒーロー
 木枯し紋次郎は読んだことがなかった。「帰って来た」を最初に読むのは邪道の気もしたが、とりあえず読んでみる。 無敵の渡世人が、年を取り、さらに宿を持つ。これは一歩間違えれば、長年のファンが見たら嘆きと憤りを爆発させるような設定なのではないだろうか。 しかし読んでいくと、そこかしこに、渡世人と一般人の埋めるべくもない隙間についての言及がある。宿を定めることで、かえって渡世人、アウトローとしての魅力が増しているのではないか、と推測する。正編を読んだことのない人間の世迷言ではあるが。  全文読む 評価する

ムーミン・コミックス ムーミン・コミックス
るる /なかなか味わいのある
 生活に根ざしている。批判精神に富んでいる。ムーミンたちって、結構エゴとか悪意だとか持ってたりするんだ。原作小説はここまでリアルではなく、もっと幻想的だった気もするけれど。あらためて小説も読み返してみたい気持ちにさせられる。 同じ漫画でも、『スヌーピー』の物語は、もっとスマートに哲学してるって感じだったのだが、『ムーミン』はもっと生々しい感じがした。友達、と家族、の違いだろうか。  全文読む 評価する

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