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考えの整頓
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arayotto/歩きながら考えてみる
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雑誌「暮らしの手帖」に連載されていた27篇のエッセイ(というか考え方)。著者・佐藤雅彦さんの対象の捉え方、思考・分析の妙にはいつもいつも惚れ惚れします。両手がふさがっているなか、地図を持ち歩くにはどうすればいいか。道を教えるおまわりさんの姿から導きだされる、その創意と工夫の発見を綴った「おまわりさん10人に聞きました」蓋の蝶番の近くにある小さな針金を手で押さえることによって、オルゴールは蓋が閉まっていると思い込んで音を鳴らさない「〜と、オルゴールは思い込む」読者を次々とふるいにかけながらも、該当しない読者をも最後まで読まざるを得ない思いにさせる「ふるいの実験」は、ミステリーを読んでいるような巧…
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死神の精度
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arayotto/やさしい死神
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死を前にした人物に接触して、その人物が死を実行するに相応しいかどうかを調査する死神を主人公とした連作短編集「死神の精度」1週間後に死を控えた人物として、電機メーカーの苦情処理係の女性、ヤクザ、殺人犯、床屋の女主人などが登場しますが、なかでもラストの2編、殺人犯と旅をする「旅路を死神」と、床屋の女主人と1週間を過ごす「死神対老女」がお気に入りです。「旅路を死神」は、東京から青森まで殺人犯と車で移動するロード・ノベル。その旅路で出会う人々との、ささやかなやりとりのひとつひとつが、けっこう心に染み入ってきます。そのひとつ、仙台で出会った青年がこんな風なことを語っています。「人間独自のつらいことのひと…
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絶叫委員会
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arayotto/コトバ宝探しの名人・穂村弘
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寿司屋で食事中,ドアが開きひとりの女性が飛び込んできて,いきなりひと言。「こんばんは、やどかりなんですけど」寿司屋でやどかりって、なに?女子社員がパニクって叫んでいる。「バーベキュー、バーベキューって何回やっても駄目なんです」美容院でシャンプー中、上空から降ってくる美容師さんの、例の,あの,コトバとは?内気で内向的な高校生二人が初デート。共に口下手なので会話が始まらない。これじゃダメだと意を決した女の子が、家族、部活、ペット、将来の夢などを一気に話しだして、さてひと息の後、発したコトバは?出だしの魔にとり憑かれた校長先生が,運動会開会の挨拶で発した第一声とは?買ってきたパネルヒーターを持って電…
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高砂コンビニ奮闘記
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arayotto/明日は我が身?
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フリーランスとなっていつのまにか15年が経ちました。細々と足し算の仕事を積み重ねてきましたが、さすがにここのところ不調です。(不況と書くべきですが、あえて不調とコトバを変えてみました)。はて、この先、どうしたもんかいな。子どもも高校に入学したばかりだし、住宅ローンもたんまり残ってるし、明日の生活を想像すると、背筋が寒くなるほどトホホです。てなことをフリーランス仲間が集まると、∞(無限)プチプチのように際限なくぼやきあっています。先日も東京のフリーデザイナーと同じことをつぶやき合ってきました。彼曰く「ま、最悪はコンビニででも働くわ」と。お互いひきつった笑いを交わして別れましたが、私には到底無理で…
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ザ・ニッポンレビュー!
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arayotto/ガイコクジンになったつもりで読んでみる
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指を尻にぶち込むカンチョー、まぶたを一本の指で下にひっぱり舌を突き出すあっかんべー、ハンカチを鼻の下で結ぶという変装(ドロボー)、露出の多い女性を見たら鼻血を出す、浜辺でスイカを棒で叩く、さて、これらの共通点はなんでしょう。日本人のあなた、ちょっとだけ日本人であることを忘れてみると…見えてくるかもしれません。実はこれ、外国人が日本のアニメを見たとき、いったいなんだろう、と思った日本の不可思議ポーズや文化だそうです。海外の(日本好きが集まる)掲示板を集めた「ザ・ニッポンレビュー!」に載っていました。私たち日本人としてみれば、昔からあったりまえの、マンガやアニメに出てくる描写や表現なんですが、外国…
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脳ブームの迷信
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arayotto/一番効果のある脳トレはこれだ!
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100ページにも満たない本ですが、中身はその何倍も、濃く、考えさせられました。「脳が活性化される」「ストレスに強くなる」「脳に効く」とかの、ゲームソフトや食品、サプリメント周辺に漂う脳ブームにうっかりと乗せられてしまっていた自分自身の愚かさに愕然です。著者の藤田一郎氏は、認知脳科学者。それをすれば、それを摂取すれば「脳に良い」「脳に効く」かのように、メディアがうたいあげている脳トレゲームやギャバ、DHAなどの脳ブームに、ちょっと待て!、と警鐘を鳴らしています。例えば、・脳トレの効果を証明するための対照実験の不適切さ・計算問題を解くことで増える血流量と、脳の機能向上との因果関係・脳機能研究分野で…
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バンクーバー朝日軍
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arayotto/100年前の栄光に心踊る
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まもなく始まるカナダ・バンクーバー冬季オリンピック。浅田真央ちゃんや高木美帆ちゃん、上村愛子さんの活躍がとても楽しみだ。そのバンクーバーで、今から100年ほど前、カナダ西海岸を熱狂させた日系人野球チームがあったという。その名も、バンクーバー朝日軍。読売ジャイアンツよりも20年も前に、カナダで結成されたらしい。その結成から活躍、解散までを綴った「バンクーバー朝日軍」という本がある。著者は、父が初代エースだったテッド・Y・フルモトさん。いやぁ、面白かった。ほとんど資料は残っていないらしく、試合の描写は、当時の選手のプレイスタイルを参考にしたフィクションらしいが、それでも映像が浮かんでくるような臨場…
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横道世之介
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arayotto/毎年読みたい傑作
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迂闊だった。こんな展開になるとは。吉田修一は好きで、ずっと読んできたが、この本は、単なる作者の若かりし日々の思い出を描いた青春小説だと思い、ちょっと敬遠していた。タイトルだって主人公の名前そのままの横道世之介ときたから、飛んだり跳ねたり好いた惚れたの毒にも薬にもならない、ほんわか青春物語と思っていた。ところがどっこい。もっと早く読んでおくべきだった。世之介はイイ。流されながらも、周囲の人を不機嫌にさせず、カッコよくないけど、なぜだかいつも近くにいたくなり、正直に生きている姿は魅力的だ。彼女の祥子ちゃんは フシギちゃんで、付き合うには辛いけど見ている分には楽しい。世之介を取り巻く脇役のみんなもい…
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うつから帰って参りました
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arayotto/帰る場所はあるのか
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ちょうど社会人として働き始めた80年代の終わりから90年半ば、一色伸幸さんの書くドラマには楽しませてもらいました。「私をスキーに連れてって」を始めとするホイチョイ3部作や、「病院に行こう」「僕らはみんな生きている」などの、バブル時代ならではの能天気さやおちゃらけさに、仕事の辛さを忘れたものです。2000年前後になってそういえば最近一色伸幸のクレジットを見ないなと思っていたら、うつ病で薬に溺れていたんですね。(薬といっても違法なものではなく、市販薬や処方薬の過剰摂取)このエッセイは、シナリオが書けなくなり、薬に頼らざるを得なかった自身・一色伸幸さんのうつ病回顧録です。私のように平凡に毎日を生きて…
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贖罪
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arayotto/運命のでどころ
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二字熟語のタイトルが続く、なんだか初期の真保祐一のような、湊かなえ。デビュー作の「告白」が抜群に面白かったため、「少女」「贖罪」と一応目を通している。「少女」は、最後まで読み通すのがちょっとつらかった。いまではもうすっかり内容さえ忘れている。で、三作目「贖罪」。一気読みの面白さはあったが、なんか釈然としないのだ。手記や手紙文という「告白」パターンにどうも馴染めないし、4人ともうひとり(被害者の母)の誰の感情に歩み寄ればいいのか分からなかった。被害者の母の、4人に対する思いは、強引で身勝手だろう、と思えるし、4人のその後の原因・要因を「あのひと言」に委ねるには、これまた無理あるし、ラスト近くの章…
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スコーレNo.4
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arayotto/震える一冊
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宮下奈都「スコーレNo.4」日曜の午後一杯かけて読み終える。惜しい。読み終えてしまうのがもったいない。ずっとずっと「スコーレNo.4」の世界に浸っていたい。本を読んでこんな想いに浸るのはいつ以来だろう。思い出してみる。そうそう、ロバート・R・マキャモン「少年時代」以来だ。夏、一杯汗をかいた後、ゴクリと飲むビールが、喉を通過し、食道をつたい、胃に落ち、血管や神経の隅々に染み入っていくのが感覚的に分かる。ぷはぁと思わず漏れる吐息にひとときの幸せを感じる。「スコーレNo.4」の1頁1頁1文1文ひと文字ひと文字が視神経から脳へと伝わり、胸のずっと奥に染み渡っていき、うわぁと潤む瞳に幸せを感じる。なんて…
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人を喜ばせるということ
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arayotto/まったくサプライズな本だった
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「おくりびと」の脚本を書き、好きだった「料理の鉄人」「カノッサの屈辱」や「ニューデザインパラダイス」の企画や構成を手がけていた、小山薫堂「人を喜ばせるということ」を読んだ。気になる人だから期待して読んだ。内容は、サプライズによって人を喜ばせ、人生を楽しく豊かに生きようというもの。始めの数10ページは読んでいてとても心地よかった。小山氏と小山氏を取り巻く人々の楽しい毎日が、うらやましく、ポジティブで笑いや驚きに満ちあふれ、さぞ充実し、仕事にも活かされているんだろうな、という想いだった。が、段々と徐々に次第にじわーと、不愉快な想いが沸き上がってきたではないか。サプライズ?なんだそれ。サプライズとい…
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幻の1940年計画
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arayotto/ビッグウェーブを待ちわびて
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今からおよそ70年前の1930年代から40年。日本国民はどんな生活をしていたのか、ちょっと想像してみよう。五・十五事件、満州事変、二・二十六事件、国際連盟脱退、そして、うわぁ、耳をふさいでも聞こえてくるぞ、ざっざっざっざと軍靴の足音が。太平洋戦争前夜ということで、日本国民はど~んよりと暗く貧しく自由も娯楽もなくつつましく夢も希望もなく生きていたんだろうなと、勝手に思い込んだりしていたが、どうも東京あたりでは、そうではなかったようだ。指南役「幻の1940年計画」によると、1940年、帝都では四つの巨大プロジェクトに沸きあがっていたという。東京オリムピック(オリンピックではなくオリムピック)、万国…
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愛と日本語の惑乱
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arayotto/日本語はモンスターだ
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言葉をいじって遊んでこねくり回しての清水義範がまたやってくれました。主人公のコピーライターが、愛人との破局を引き金に、変幻自在神出鬼没正体不明永遠不滅の「日本語」に襲われていく狂気小説。いや、小説というよりも、壮大な日本語エッセイなのかもしれません。NHKがモデルの放送用語委員会でのやりとりは、作家自身の体験から出ているエピソードなのでしょう。字幕は算用数字表示にするか漢数字表示にするか、なんてのはどっちでもいいとは思うが、読んでいるうちに、日本語とはなんて、厄介な「生き物」なんだと身震いさえしてしまいました。横書きなら算用数字か、縦書きなら漢数字のように決めてしまうことで、5里霧中や100人…
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予想どおりに不合理
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arayotto/予想以上におもしろい
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テレビの雑学番組でこんなことを言っていた。薬の有効成分は、本当は3割程度の量で充分だが、それだけの量では薬を飲んだという満足感や安心感が得られないため、残り7割ほど(安全な)添加物を加え、飲み応えのある量にしているのだとか。有効成分が一切ないのに、例えば小麦粉などを、白衣を着た権威ある医師(らしき人)から処方されると、よく効く薬と思い込み、病気も直ってしまうプラシーボ(プラセボ)効果というものもある。まったくもって人間てのは、理性的合理的な顔をしながら、なんて不合理にできているのだろう。でもその不合理は予想外なんかじゃなく、予想どおりでもあるのだ。ダン・アリエリー「予想どおりに不合理」2008…
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「企み」の仕事術
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arayotto/映像が浮かぶ詞
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昭和の歌謡曲世界を築き上げてきた故・阿久悠の自伝というかエッセイです。なかでも印象に残ったのは、自作の「津軽海峡・冬景色」について解説。阿久悠はこんなふうに語っている。今まで日本の歌(歌謡曲)は、主人公である女のアップではじまり、一人語りを始めるのが多かった。それを景色入れ込みの引いたカメラから入って、風景のなかに立つ主人公の大きさを決め、人物のいる状況を出していくと。これを踏まえて「津軽海峡・冬景色」を聴いてみる(読んでみる)と、まさに映画だ。青森駅に降り立った女の遠景から始まり、海鳴りを聞く無口な人々が描写され、そして、カモメを見つめて泣く「私」がクローズアアップされ、最後にカメラは一気に…
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赤めだか
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arayotto/落語が聞きたくなる本
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テレビを見ていると、お笑い関係の番組にいろいろな落語家が登場している。名前を見るだけで、この人は落語界(出身)の人だとすぐ分かる。それだけ落語家は身近で、落語そのものも近い距離にあるものだと思い込んでしまっていた。でも、よくよく考えてみたら、私は真剣に落語を聞いたことがない。寄席に足を運んだこともない。熊さんはっつあん寿限無、という断片的な単語しか知らない。立川談志?もちろん、名前は知っている。でもそれは落語とは離れた分野でだ。毒舌とか破天荒とか、そんなイメージだ。だから、そのお弟子さんの談春さんのことも知らなかった。普通ならば手にしないジャンルだが、あまりにも評判がいいので読んでみた。結論。…
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体育座りで、空を見上げて
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arayotto/共感の力で一気読み
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記憶力のすごさ、も作家のひとつの能力だと思う。30歳も後半になって、こんなにも中学時代をリアルに描けるのだから。椰月美智子「体育座りで、空を見上げて」を読みました。椰月美智子という小説家は、わたしにとって最近注目の人です。タイトル通り、12歳の少女を描いた「十二歳」と、異色の短編集「未来の息子」を読んでみて、お気に入りリストにランクインしました。いま集中読みで、3作目がこの「体育座りで、空を見上げて」これは主人公の年代的には「十二歳」の続きという感じで、少女の中学入学から卒業までの3年間を淡々と綴っています。特にドラマチックな出来事などなにも起こりません。静かに3年間が過ぎていきます。それなの…
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センネン画報
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arayotto/この感覚は味わうもの
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コトバにできない思い、ってのがある。例えば、ニベアのふたを開け、香りをかいだら、なぜだか冬のにおいがした。なんていう感覚なんてコトバにしても伝わらない。でも絵だったら伝わるかも。そう、たしかに伝わってきた。理解(わか)る、というのではない。伝わる、という感覚。上のニベアの話は、マンガ家・今日マチ子「センネン画報」のなかからの1頁。これは、同名のブログが一冊の本になったもの。日々更新されるブログのマンガに触れるのが最近の楽しみのひとつになっている。それが一冊になったからには読まねば。描かれている殆どが、自分とはほど遠い世界である女子高生の話ばかりだから、我ながらどうかとも思うが、オヤジだって心魅…
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Story Seller
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arayotto/ストーリーセラー定食
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麻婆豆腐が目当てで注文したランチだったが、セットでついてきたシューマイやスープ、さらにはデザートの杏仁豆腐がめっちゃ上手くて大満足!って感じの一冊だ。小説新潮5月号別冊「ストーリーセラー」お目当ては伊坂幸太郎「首折り男の周辺」杏仁豆腐は、有川浩「ストーリー・セラー」スープは、道尾秀介「光の箱」シューマイは、本多孝好「ここじゃない場所」ちょっと変わった味の付け合わせは、佐藤友哉「333のテッペン」伊坂幸太郎「首折り男の周辺」は、いつもながら練り込みとひねりが加えられた構成とキャラクターが秀逸で、心地よい読後感で疲れた身体がほんのりと暖まってきます。誰かの役に立ちたい病だって?なるほど。新しい優し…
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超能力番組を10倍楽しむ本
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arayotto/番組の品質管理
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透視にダウジングに予言に、さらには超能力捜査…昔も今も変わらずオカルティックな番組は人気があるようです。行方不明者や犯人の居場所を言い当て、居並ぶゲストたちが「おお〜」なんて驚嘆の声をあげ、それにつられて視ている我々も「すごいね」なんて、呟いている。でも、ちょっとだけ冷静に考えてみましょう。10回透視をして、そのうち(偶然にも当たった)一回だけの内容をオンエアしているのだとしたら。当たらなかった9回は全く無視されているとしたら。しかも、その唯一の「当たり」を周辺から盛り上げる盛り上げる。仰々しいテロップ!美辞麗句を並べたナレーション!思考を誘導する音楽!ゲストたちの神妙かつ驚愕の表情!こんなの…
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新世界より
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arayotto/今私たちに欠けているものは
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上下合わせて1000ページ強。にもかかわらず一気読みだ。未来というと現在からの連続の先にあるもの、すなわちもっともっと文明・科学が進んだ世界というイメージがあるが、「新世界より」の1000年後はそうではない。ある事件によりリセットされた新世界なのだ。「ある事件」の原因(要因)を封じ込めからリスタートしたその世界は、表面上はとても牧歌的で、プリミティブだが、その奥底にはとても深い秘密が隠されている。かつてトンデモ科学の世界で、「人類は核戦争で一度滅んだ」なんて説があったが、この「新世界より」で描かれる「ある事件」は、核戦争なんかよりも、ある意味もっともっと恐ろしい。まったく同質ではないが、「誰で…
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胸の中にて鳴る音あり
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arayotto/偉人よりも凡人にまず目を向けろ
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いま小学校ではどうなのかな。私が小学生の頃は、授業や夏休みの課題図書でよく偉人伝なんかを読まされたものだ。野口英世とかキュリー夫人とか。ま、偉業を成し遂げた人々の苦悩と努力と成功を学ぶことはいいのだが、あまりに今の自分とは遠い人の話しにリアリティを感じなかったのを覚えている。そんな現代の小学生中学生、だけでなく大人にもお勧めしたい人物ルポがあります。新刊が出るたびに必ず読む上原隆の新作「胸の中にて鳴る音あり」だ。毎回すぐ隣にきっといるであろうフツーの人のフツーの生活をとてもステキな文章でつづっている。石川啄木の【呼吸(いき)すれば、胸の中にて鳴る音あり。凧よりもさびしきその音!】(悲しき玩具)…
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尾崎放哉句集
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arayotto/言葉に力にやられた
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「咳をしても一人」うーん、なんなんだろう、このあっけなさ。たった7文字なのに、たまらなく切ない気分になってしまう。「咳をしても」の「も」がさらに孤独感を増幅させている。咳だけでなく、笑っても、泣いても、怒っても、何をしていても「一人」。たまらない。「わが肩につかまって居る人に眼がない」これはどういった状況なのだろう。誰かが作者の肩に手を置きつかまっている。それはなぜか。それはその人に眼がないから?作者とその人との関係は?なぜそのような状況に?句にうたわれている状況を映像化してみるが、なんかとても痛い。明治から大正を生きた、尾崎放哉という俳人の句を読んでみた。季語にとらわれない自由律俳句をいくつ…
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透明人間の買いもの
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arayotto/透明人間でなにが悪い
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冒頭からいきなり大きくうなずいてしまった。「もののけ姫」以降の宮崎アニメって正直微妙。ときたから。他にもあるぞあるある。うなずきの数々が。初めての店で注文するメニューは「私も」、とか、大河ドラマの主役は正直誰でもいい、とか、普段着はユニクロで充分とか。この本は、「私」のことを綴った本なのか。作者・指南役は「私」の毎日をのぞき見ているのか。失礼な奴だ。と、「透明人間の買いもの」を手にした多くの読者は驚いていることだろう。そうなのだ。現代の消費の主役は、この本に書かれてある不特定多数の、マスコミなどに話題することのない透明人間たちなのだ。私であり、あなたであり、彼や彼女たちなのだ。今まではこんなこ…
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竹取物語
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arayotto/竹取物語とラブアタック
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意味?そんなの関係ない!恥ずかしい?そんなの関係ない!目的?そんなのひとつしかない!あの娘をゲットするだけさ!40代から50代の方々よ、関西ローカルで始まり、のちにネット放送となった「ラブアタック」という番組を覚えているだろうか。毎回かぐや姫と呼ばれる女性(多分女子大生)が登場し、そのかぐや姫への愛の告白権利を得るために、数名の男子学生がいくつもの過酷でアホらしいゲームを勝ち抜いていくという視聴者参加番組だ。液晶でもなくプラズマでもないブラウン管の中では、意味も羞恥もものともしない若者たちが一心不乱に、時おりカメラを意識しながら走り回っていた。可愛く魅力的な女子学生がかぐや姫の回では、男子学生…
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坊っちゃん
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arayotto/夏目漱石初体験
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もしかして、もしかすると、自分は過去、夏目漱石の「坊っちゃん」を読んでいないのでは。読んでいたとしてもそれは、小学校か中学の教科書に載った一文だけの可能性が高い。いや、それだけでは読んだとは決して言えない。あまりにも有名だから、読んだ気になっていただけなのかもしれない。今回あらためて(初めて)読んでみて、自分が知っている(つもりだった)「坊っちゃん」とあまりにも異なっていたからそう思う。「坊っちゃん」とは、学校の先生になった若者の話。ここまでは正しい。しかし、それ以外がまったく異なる。先生と生徒が、反発しながらも、勉学に運動に、ああだこうだとやり合い、最後にはお互い信頼しあうという、よくある学…
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うめめ
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arayotto/回覧板にしたい写真集
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よほどでない限り写真集は買わない。書店でパラパラと眺めて、ああキレイとか、自然てスゴイな、とか呟き、記憶の片隅にとどめて、終わり、である。が、梅佳代(この名前がまず、いい。梅さんでもなく、佳代さんでもなく、うめかよ、である。「うめ」かよ、と突っ込んでしまうほど、うめかよらしさのある名前である)の「うめめ」は、レジまで足を運ばさせてしまうパワーがある。なんといっても、被写体とうめかよさんの良好な関係性が、もうそのまんま滲み出ているナチュラル感がたまらなくいい。おじさん、おばさん、お嬢ちゃんにボクちゃん、そしてワンちゃんネコちゃんと、登場人物らは、なんと生き生きと愛らしく、マヌケで警戒心がなく、す…
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映画篇
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arayotto/映画篇を読むと観たくなる
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もしも、もし、自分がレンタルビデオ店の店員で、お客さんが「ローマの休日」を借りようとパッケージを持ってカウンターに現れたなら、こう尋ねるかもしれません。「もしかしてお客さん、金城一紀の『映画篇』読みました?」この作家の物語り方(ものがたりかた)は、とてもステキです。ゾンビーズシリーズにしろ、「対話篇」にしろ、物語りを紡ぐ一文一文に、登場人物に対する愛情が見事に注がれているからです。そして今回の「映画篇」は、その愛情が「映画」というものにも惜しみもなく向けられています。しかも、収められている5つの物語どれもが、とてつもなく優しく、切なく、力強く、愛らしい。優れた小説の条件のひとつに「連鎖」がある…
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早稲田古本屋日録
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arayotto/古本とは古い本ではなく、心をふるわせる本のこと
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紙の魚と書いて、「しみ」と読む。英語では、シルバーフィッシュ(銀色の魚)というそうです。さて、この「紙魚(しみ)」、いったいどんな生き物なのか、分かりますか。ご存知でない方は、「紙魚(しみ)」という言葉から、さあ、想像の翼をどうぞ広げてみてください。よそ見をしながらほお張ったたこ焼きのソースがジーンズに落ち、「まあ、ジーパンだから目立たないからいいや」と指でこすってできた「シミ」のこと?若かりし頃トースト娘を目指して小麦色に焼いた肌の無理がたたり今になって現れてきた顔の「シミ」のこと?それとも文字から素直に読み取って、「魚」の一種のこと?私がこの「紙魚」について知ったのは、「早稲田古本屋日録」…
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