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新編シアーズ博士夫妻のベビーブック
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高杉親知/豊かな育児のために
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内容豊富で読みがいがある育児書だ。育児書を一冊買うならこれが良いだろう。 近年は育児もファッション化して、商業主義的な育児雑誌が増えつつある。広告主である企業と密着している本が多く、また子育てに対する総合的な視点に欠けているため、くだらない記事が少なくない。そんな折り、この「ベビーブック」を書店で見付け、その科学的・総合的でありながら子育ての楽しさに気付かせてくれる優しさに大いに感銘を受けた。著者の小児科医ウィリアム・シアーズと看護婦マーサ・シアーズは八人の子(内一人は障害児、別の一人は養子)を育て上げた夫婦であり、実際の育児の経験に基づいているので信頼できる。本書の重要な点は、アメリカで書か…
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はじめてのドイツ語
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高杉親知/ドイツ語はSOVなのだ
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ドイツ語の本質的な語順が、日本語と同じ SOV (主語-目的語-動詞) であって英語のような SVO (主語-動詞-目的語) でないことを Emmon Bach が示したのは、実に 1962 年のことである。しかし今なお日本のドイツ語教育でこの重要な発見が生かされているとは言い難い。教科書の出だしから ”Ich studiere Deutsch” などと、ドイツ語の語順が英語に似ている印象を与えている。本当は、語順からすれば、ドイツ語は英語より遙かに日本人に親しみやすいはずなのだ。下手に英語の語順に惑わされるより、最初から日本語との共通性を言うほうがずっと良い。 本書はドイツ語の入門書でありな…
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世界言語文化図鑑
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高杉親知/翻訳の質が低い
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コムリー編だけあって内容は信頼できるのだが、翻訳にかなり不満が残る。特に中国語の漢字の同定をしていないのは問題だ。気付いた点を挙げる。61 頁「マンダリン語では、zhu が高調を伴って発音されると“豚”を意味し、降昇調を伴って発音されると“君主”を意味する」: それぞれ「猪」と「主」である。68 頁「マンダリンは中華人民共和国の公用語であり、“共通語”を意味する Putonghua とよばれている」: 「普通話」である。他の部分では誤って「普通語」と書かれている。71 頁「マンダリンでは、同じ音節が四声によって全く異なる意味になる。fan 高調“航海”、fan 上昇調“問題”、fan 降昇調“…
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全国アホ・バカ分布考
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高杉親知/柳田国男も喜ぶだろう
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愉快で知的で、言語地理学の最高の入門書ではないだろうか。1990 年、「探偵! ナイトスクープ」のプロデューサーだった松本修は、番組内で関西の「アホ」と関東の「バカ」の境界を探ったことから日本全国の方言調査をすることになる。そこから導かれたのは、かつて柳田国男が「蝸牛考」で日本語に導入した、古形が周辺に残るという方言周圏論だった。一時期、過小評価されていた方言周圏論だが、本書で示された「アホ」、「バカ」等の分布はこれに見事に当てはまり、素晴らしいと言う他はない。結論の特番が日本民間放送連盟最優秀賞を受賞したのも納得だ。最近の言語学者は文法中心で、あまり語源の探求をしない。しかし言語学の素人であ…
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「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった
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高杉親知/一次情報に当たれ
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何気なく手に取ったが、なかなかの掘り出し物だった。分量が少ないのが残念である。書名に出ている「エコノミック・アニマル」は、かつて日本の経済力に対する批判の言葉として、新聞やニュースでたびたび目にした言葉であるが、英語では批判の意味合いは無いという。驚いて英語辞書 (The American Heritage) で animalを調べてみた。すると確かに、語義の一つに A person having a specified aptitude or set of interests (特定の能力や関心を持つ人) とあり、例として、音楽の天才を musical animal と評した文が挙げられてい…
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帝国以後
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高杉親知/先を読むとはこういうことだ
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エマニュエル・トッドの魅力は、その射程の長さにある。本書をアメリカ批判と単純に受け止めるのは、それに賛成であれ反対であれ、誤りである。本書はアメリカの覇権が数十年以内に消滅すると予測するが、決してここ数十年にのみ通じる理論ではない。特に興味深いのは、家族制度が社会を規定するという考えだ。例えば子供の内のただ一人が家督を相続する直系家族は、世界的には少数派であり、日本、韓国、ドイツ、ユダヤ等に見られるだけである。この家族制では世代が垂直的であり、兄弟は平等ではない。それが社会に反映されると序列や血統や継承にこだわる国家が生まれる。日独の奇妙な連帯感はここに由来するのだ。一方、兄弟が平等で結婚後も…
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5万年前に人類に何が起きたか?
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高杉親知/本当に突然変異が起きたのか?
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大人になるまで言語に接しなかった人は、その後も言語を習得できず、また知能が著しく低いことが知られている。言語無しでは人間の知能はあり得ないのだ。従って 5 万年前に起きた人類の行動の劇的向上は、言語の誕生によるとするのが最も信憑性がある。言語発生以前の人類は、道具を使う野生動物に過ぎなかった。言語を持って初めて、人類は生態系から抜け出したのだ。また、言語能力は生まれつきであることも知られている。赤ちゃんは大して苦労せずに母語を習得できる。これは現代人が遺伝的に言語を話せるように出来ていることを意味する。この主張自体は目新しいものではない。本書の新しい点は、言語の誕生とそれによる技術革新がホモ・…
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虚妄の成果主義
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高杉親知/経営者こそ査定されよ
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成果主義が給与削減のための方便であるのは周知の事実だ。成果主義を導入して、社員の給与合計が増えた会社など一つもない。これだけでも社員のことを考えてのことではないと分かる。だが成果主義の本当の問題はそこにあるのではない。未来傾斜原理に反するから、成果主義は有害なのである。未来傾斜原理とは、現在だけでなく未来も大切にするということだ。成果主義を導入する最近の経営者は、そもそもなぜ人が集まって仕事をするのか知らないのだろうか。人々が協力すれば、一人一人より大きな力を出せるからこそ協力するのである。そして今協力するには、未来でも協力し合っていることが確信できなければならない。裏切られる可能性があるとこ…
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製造業が国を救う
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高杉親知/日本の製造業はよく耐えた
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原著は 1998 年発行だが、いささかも古さを感じさせない。それどころか、アメリカの IT バブル崩壊を示唆していた著者の慧眼に驚かされる。日本でもしばらく前まで、製造業はもう古い、これからはソフトウェアとインターネットの時代だと言われていたが、それがいかに無知な意見であるか、本書を読めば分かるだろう。日本は何もしなくても石油と食料を輸入しなければならない国である。そのためには何かを輸出せねばならない。この役を担えるのは製造業だけである。ソフトウェア、インターネット、金融、マスコミなどの第三次産業は基本的に国内産業であり、輸出は難しいのだ。アメリカですらソフトウェアの輸出量は微々たるものであり…
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日本語誤用・慣用小辞典
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高杉親知/さすが国広氏
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一般向け日本語本にありそうな無粋な題名だが、意味論の好著が多い国広氏が著者なので買ってみた。氏が本書で見せる分析はやはり鋭く、類書とは比較にならない出来である。単に何かを誤りと決めつけるのではなく、言葉の実験をして語の意味を抽出するのが意味論のやり方で、知らない人にとっては新鮮だろう。特に「ほとんど」の項、および「準備」と「用意」の項は興味深い。昔流行したせりふに「ほとんど病気」というのがあり、従来は誤りとされてきた。その理由として、否定が続いていないから、とする人がいる。しかし国広氏は、「ほとんど」が点的性質を持つ形容詞の前で使われ、その一点に非常に近いことを意味することを明らかにする。その…
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漢字と日本人
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高杉親知/漢字は悪か?
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脱線して説明している部分が多いので初学者には読みやすいだろうが、内容にそれほど新味は無い。漢字運用に関する考察はむしろ古いくらいである。著者の高島俊男氏は、漢語には漢字を、和語にはかなを用いるべきで、また訓読みの使い分けはくだらないと主張するが、この意見は軽率である。鈴木孝夫氏が<a href="/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=00665928&volno=0000" target="_blank">「日本語と外国語」で示したように、音訓両用は日本語の漢字運用の生命線であり、日本語話者が漢字の意味を把握できるのは訓読みによって日本語の概念と漢…
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英語音声学入門
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高杉親知/歯茎後部破擦音
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時々無機的な文章があり読みづらいかも知れないが、英語の発音を精密・的確に説明しているので大いに読む価値がある。気に入ったのは [tr] と [dr] を破擦音に分類していることだ。英語を学ぶ者なら [tr] の発音が単に [t] + [r] でないことは気付いているだろうが、類書を見ると [tr] は [t∫] に近く聞こえると書いているだけのことが多く、今一つすっきりしなかった。本書では、[tr] は歯茎後部の無声破擦音であり、音声学的には一個の音である、とはっきり書いてある。それを知らないで [t] と [r] を発音すると、どんなになめらかに両者をつないでも正しい発音とはならない。その…
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〈物〉と〈場所〉の対立
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高杉親知/形容詞に切り込む
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日本語の種々の知覚形容詞を分析した意味論の良書である。個人的には、物と場所の対立を軸に据えた章より、形状形容詞の考察などの方が面白かった。例えば我々は「細長い」という語を単に「細い」+「長い」だと思っているが、そうではないことを著者は明らかにする。「細い石」、「長い石」とは普通言わないのに、「細長い石」は問題ない。この違いは、「細い」や「長い」は元々一次元的な形状を持つ物(ロープなど)に対してのみ使われるのに対し、「細長い」はそのような制限がなく、物体が一次元的な形状を持つことを表すからだ。また色形容詞の話では、古代日本語がアカイ・シロイ・クロイ・アヲイの四原色体系を持つのは知られているが、…
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シアーズ博士夫妻のベビーブック
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高杉親知/豊かな育児のために
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内容豊富で読みがいがある育児書だ。育児書を一冊買うならこれが良いだろう。 近年は育児もファッション化して、商業主義的な育児雑誌が増えつつある。広告主である企業と密着している本が多く、また子育てに対する総合的な視点に欠けているため、くだらない記事が少なくない。そんな折り、この「ベビーブック」を書店で見付け、その科学的・総合的でありながら子育ての楽しさに気付かせてくれる優しさに大いに感銘を受けた。著者の小児科医ウィリアム・シアーズと看護婦マーサ・シアーズは八人の子(内一人は障害児、別の一人は養子)を育て上げた夫婦であり、実際の育児の経験に基づいているので信頼できる。本書の重要な点は、アメリカで書…
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中国科学技術史
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高杉親知/中国科学史の貴重な資料
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中国史上の科学技術とその社会に対する影響をまとめた書で、古代中国の科学の実態を知るのに適している。内容は豊富で細かく、またある程度高度な記述もあり、古代中国の科学の素晴らしさに改めて気付くだろう。 しかし原書が中国で書かれたためだろうが、政治色が強いのが残念だ。例えばマルクスの唯物史観に基づき社会体制の変遷を奴隷制・封建制・民主制で捉えているため、古代中国を描写するのに奴隷制社会という語が頻出する。しかしマルクスの歴史観はヨーロッパの古代、中世、近代に基づくもので、そこでのみ一定の価値があるのであり、古代中国社会を奴隷制と認定するのは正確ではない。また現代の視点で、革新的な科学者を賞賛し保守…
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ワニと竜
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高杉親知/龍の真相
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龍は中国文化で最重要の神話的存在であり、皇帝の象徴であった。果たして龍のイメージはどこから来たのだろうか。「ワニと龍」は古代中国の隠された文化史を生物学・気象学の視点で解き明かす非常にわくわくさせる本だ。著者はワニの専門家で、書名が示すとおり、龍とは古代中国に生息していたマチカネワニ(学名 Toyotamaphimeia machikanensis)だったのである。気候が温暖な頃の生息地の北限は漢水だったらしい。約三千年前に気候が寒冷化した時に、黄河を中心とする当時の中国文明の領域から消え去ったため、その真の姿が忘れられて神話化され、人々の想像力をかき立てる存在となったのだ。本書によれば、そ…
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理想の国語辞典
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高杉親知/日本語の感性を研ぎ澄ます
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国語辞典をひいて歯痒い思いをしたことは無いだろうか。語義を述べるだけで類義語との関係が不明確だったり、多義語の意味を列挙するだけで本質が分からず散漫だったりすることがある。本書はそんな国語辞典を批判し、真に役立つ辞書とは何かを探求した素晴らしい本である。 例えば接頭辞の「本」と「当」の違いは何だろうか。「本校」と「当校」は一見同じような気がする。だが、「本校の生徒に告ぐ」、「当校は部外者の立ち入りを禁じます」という文の違い、あるいは「本人」と「当人」の違いを考察することで、著者・国広哲弥氏は両者の相違点を巧妙にあぶり出す。「本」を使う時は話者の視点が内部にあるのに対し、「当」を使う時は外部に…
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外国語の水曜日
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高杉親知/外国語は世界への扉
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「学習法としての言語学入門」と副題にあるとおり、本書は外国語を学ぶ際に本来感じるべき言語学的な楽しさを教えてくれ、実利や流行を超えた外国語学習ガイドとして役立つ。文章も軽妙で分かり易い。著者の黒田氏は東工大で教鞭をとっているため、第二外国語を学習する大学生の好奇心や戸惑いの例が多く出ており、読者は共感を持てるだろう。著者のロシア語への偏愛もまるで恋を語るようで、読んでいてほのぼのする。言語学の良い入門書だ。誰でも楽しめるが、やはり外国語を学ぼうとする人に特に読んで欲しい。
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きっと変えられる性差別語
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高杉親知/日本語
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思考には言語が必要だ。この自明の事実が、現代フェミニズムの前に立ちはだかる巨大な壁だ。言語を用いて思考する以上、言語は思考を規定し、制限し、無意識の慣習へと導こうとする。それに気付かない限り、真に自由な思考は有り得ない。まず壁が存在することを知らねば、それを乗り越えることは全く不可能である。 例えば「女医」という単語を考えてみよう。それに対応する「男医」が無いのは何故だろうか。「女流作家」の場合も同様に、「男流作家」とは言わない。つまり医者も作家も男が本流であり、女は亜流だと宣言しているのだ。「女医」という言葉を使う人に悪意は無いだろうが、暗黙の内に女性は例外的存在だと見なしているのだ。それ…
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レイバー・デバイド
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高杉親知/日本はどうなるか
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アメリカの中流階級の凋落を詳細に記す労作だが、残念ながら日本の労働環境についての言及が少なく、欲求不満が残った。 アメリカでは80年代以降、株主の力が強まったために中流労働者が二分化し、少数が高収入を得る一方、大多数は解雇に怯え、全てを自己責任にされて不安な人生を送ることになった。そのような変化は今後、不況の日本にも訪れると一般に考えられている。しかし生産性向上のためとはいえ安易にアメリカの仕組みを模倣すると、公共サービスの質の低下や犯罪率の増加など、良くない面も取り込んでしまう。これを回避するために我々日本人はアメリカから何を学び、何を避けるべきかを考える必要がある。本書はアメリカの労働環…
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ビジョナリーカンパニー
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高杉親知/安易な市場主義を克服する理想主義
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長く存在し続ける企業の秘密は何だろうか。ずっと利益を出し続けることは言うまでもないが、それは必要条件であって十分条件ではない。また、同じ環境で同じ時期に創業されたにもかかわらず、一部の企業だけが長く成功する理由は何だろうか。本書は、それを多数の実際の企業を比較することで明らかにする労作だ。 我々現代人が市場資本主義の中で生きているのは明らかだ。そして近年、日本の不況と共に市場万能主義の隆盛が著しい。しかし本書で明かされるように、市場で生き続ける強い企業の目は市場ではなく自らが打ち立てた理想に向いているのである。例えばソニーを考えてみよう。ソニーが創業された時、創業者達は利益率や投資効率を考え…
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軌道エレベータ
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高杉親知/ロケットを捨てる日
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ロケットの次に我々人類が使うであろう技術、軌道エレベータの分かりやすい解説書だ。ロケットは大量の燃料を消費し、また多段式の場合、高価な装置をどんどん捨ててゆくので、環境が重要になるこれからの世界には適さない。そこで登場するのが本書で紹介される軌道エレベータだ。詳しくは本文を参照されたいが、規模が壮大でかつ我々の意識改革を要するという点で、正に夢の技術だと言えるだろう。本書はその人類の夢への優れた入門書だ。 惜しいのは、分量がやや少ない点、および本書が概説に終始していて細かい計算や問題点を省いている点だ。例えば軌道エレベータには荷物のコリオリ力がかかることや、非同期軌道スカイフックは燃料を供給…
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新世紀未来科学
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高杉親知/SFと科学をつなぐ
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SFの成果を現実の科学技術に基づき平易に解説する良書だ。科学的な新規発想こそは SF の生命線だが、果たしてそれらがどの程度可能なのか、あるいは逆の視点で現代技術がどれほど SF に近づいたのかは SF 愛好者のみならず現代人の関心事の一つだろう。ともすれば未来は何でも可能だと思ったり、あるいは全て絵空事だと思ったりと両極端の人が多いが、SF が現実の科学に豊富なアイデアを提供してきた事実はもっと知られなければならない。 本書の巻頭は近年関心が高まっている軌道エレベーターで始まる。その後、大まかなジャンル分けに従って、過去の SF に現れた技術が紹介される。それは技術説明であると同時に SF…
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性差別をなくす英語表現辞典
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高杉親知/英語の最先端を学ぶ
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最初は膨大な単語に圧倒されるかもしれない。この本は女性差別的な英単語とそれに対する対策(代替語や言い換えなど)を辞書の体裁で並べたものだ。日本人が思う以上に英語は女性差別的であり、英語を両性平等的な言語に改革するのは相当な労力を必要とする。 日本と異なるのは、アメリカ人が英語のあるべき未来を見据え、改革の苦労を厭わないことだ。男を表す単語が人間を表すという he/man 問題など、日本語では考えられない困難もある。それらを克服しようとする努力を知ることは、近い将来我々が日本語改革に着手するときにきっと役立つだろう。 英語やフェミニズムに興味がある人だけでなく、広く日本語話者に読んで欲しい本だ…
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アリーテ姫の冒険
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高杉親知/やや空回りか
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「アリーテ姫の冒険」はフェミニズムの観点から、従来のただ救出されるだけのお姫様を否定し、自らの機知で危機を乗り越える魅力的な王女を描いた物語である。子供向けに作られているが、大人が読んでも面白い。 ただ、女性差別的発言を意図的に挿入してある部分が大げさで、かえって逆効果だと思う。例えばアリーテ姫の父である国王が「女は賢いと結婚相手がいない」と言う場面があるが、これを聞いた子供はそれが事実だと思ってしまうかもしれない。もちろん国王は否定的に扱われているが、やり過ぎて空回りしている印象がある。 また、アリーテ姫の言葉遣いが妙に女っぽい(〜だわ、等を使う)のは、翻訳者の不注意ではないか。原書の英語に…
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世界の言語と日本語
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高杉親知/日本語特殊論から抜け出そう
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日本語を特殊だと考える日本人は多い。しかしそのような人々は日本語を英語や他のヨーロッパ語と比較しているのであり、世界の様々な言語と比較しているわけではない。最近アジアの言語に対する関心が高まっているとはいえ、まだまだ欧米崇拝的な語学が幅を利かせている。しかし世界の言語は日本人が想像するより遥かに多様で、その中では日本語が特殊だとはとても言えないのだ。 この本は数多くの言語から興味深い例を取り上げ、読み進むうちに素朴な日本語感は必ず打ち破られるだろう。一方、英語を標準的な言語と考える人は多いが、英語の文法は世界的にも珍しいものを含むと知れば、英語が難しいと感じるのは無理ないと分かるだろう。幅広…
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現代英語正誤辞典
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高杉親知/英語を正確に知る
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この本は実に素晴らしい。チョムスキーの生成文法を元にした、現代英語の文法書だ。英語の勉強にはかなり力を入れているにも関わらず、この本を読むと私がまだ全然英語を知らないということに気付く。生成文法では、文法は禁止規則の集まりだと言えるので、この本にはやたらと誤文の例が出ていて役に立つ。全部で800ページ以上あり、4ページ平均4つの文法が出ているので、その量には圧倒される。しかし非常に有用なので、英語を学ぶ人には強くこの本を薦める。 今更チョムスキーか、という意見があるかもしれないが、生成文法は長らく英語を基盤に発展してきたため、英語を説明する切れの良さは他の理論では得られないだろう。
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従軍慰安婦
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高杉親知/「従軍慰安婦」問題を見極めるために
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男性社会の日本において、従軍慰安婦問題は受けて立たなければならない問題だ。最近は従軍慰安婦問題を消し去ろうとする論陣が多く、従軍慰安婦が軍の強制連行であったか否かが現在焦点となっている。この本によれば軍が連行したという証拠は多くはないがゼロではない。インドネシアのオランダ人少女を複数連行し慰安婦として働かせていたことで、1948年バタビアでのオランダ軍事法廷で11人の日本人が死刑を含む有罪判決を受けているのだ。なお、これは被害者がヨーロッパ人であったため綿密な調査が行われたが、アジア人への被害は連合国が追及することはなかった。これが現在もなお慰安婦問題が解決しない原因だ。 そもそも、強制連行…
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