|
ドナービジネス
|
|
亜津木もなか/医療は一体どこに行くのか
|
医療は一体どこに行くのか。何の為の医療なのか——そんなことを,この本を読んで強く思った。進んだ医療技術は,本当に人類に幸福を呼ぶのだろうか,とも。 私は思う。そこまでして生きたいのかと。他人の命(身体)を買って,奪って,その可能性を未来を踏みにじって,そこまでして自分を(あるいは家族・恋人を)生かす事に,一体どれだけの意義があるのだろうと。こんなことを思うのは,私がまだ,臓器移植とは無縁の人生を歩んでいるからだろうか。そう言いたい者は,そう言ってくれて構わない。だけれど,私は,私が臓器を提供する事も,貰う事も拒否すると確信している。例え,我が子の為でもしないだろう。勿論,これは私の勝手な思い…
|
|
|
地球環境報告
|
|
亜津木もなか/無駄がなくて読みやすい一冊
|
環境問題の現状を克明に綴った一冊である。書かれたのは1998年だから,今はさらに状況は悪化しているだろうと思うと,本当に絶望的な気分になる。それほど,この本に記されている事実は,衝撃的だった。 もはや環境問題は未来の危機ではない。現在の危機である。目を逸らしていては,自分自身の未来すら危うい。しかも,現状を見る限り,解決の見込みは無い。この本も解決策を提示などしてはいない——当然だ。全人類が,この問題を正しく認識し,解決に向けて何らかの努力をしない限り,環境問題が解決するはずがないのである。 どうか,すこしでも環境問題に興味の有る人は,特に学生の人は,本書を手にとってみてもらいたい。無駄がな…
|
|
|
チグリスとユーフラテス
|
|
亜津木もなか/綺麗なラストがいい
|
何より,第四章の「レイディ・アカリ」がよかったです。「人が生きるのに意味なんか無い、だから、全ての生きる意味を否定されても傷つかない」そう言ってのけるアカリ。彼女の影響で一気にルナが変わっていく過程がすごく気持ちよくて、よかったです。 読んでる最中は、「もうちょっと展開が早ければなぁ」とか思いましたけど、最後まで読んでみると、これでよかったのかな…とても面白かったです。 特に、ラストの一ページの文章は、「綺麗」の一言につきました。「死体」って言葉まであんなに綺麗に書けるなんて、作家さんって——新井さんってすごいですね。あれだけでも、ほんと良い本読んだなぁって感じるのでは。 とにかく、一読に値…
|
|
|
片目のオオカミ
|
|
亜津木もなか/まさに癒しの1冊
|
最初読んだ時は全然つまんないじゃん、とか思ったんですが……1年たって読み返してみると——面白かったです(笑)。なんであんなにつまらないと思ったんでしょ、私。すごく疑問です。 動物と心を通じる事のできる少年と、人間を嫌っている狼の心の交流(?)を描いた童話。無言の静かな雰囲気の中、少年の過去と狼の過去が互いの目を通して語られます。 まさに癒しの1冊。30分かからず読めるので、重い気分の時に読んでみると良いかも。
|
|
|
くますけと一緒に
|
|
亜津木もなか/ぬいぐるみが怖い
|
くますけが可愛いけど、怖い。しばらくはぬいぐるみを抱けそうにないです(笑) 。始め、やたらと可愛らしい文体にかなり戸惑いましたけど、ホラー、なんですね。ちょっと私の好みの文体からは外れた文体だったので、そこのところは何でしたけど、話の内容自体は、決して軽薄な感じは無く、面白かったです。難しい事は考えずにさらっと読めるので,通勤・通学のお供にどうぞ。
|
|
|
雨のことば辞典
|
|
亜津木もなか/雨の多い国だから
|
霖雨,秋霖,梅雨,時雨……「雨」に関する日本語(漢語)って,すごく綺麗で,見ているだけで穏やかな気分になれると思いませんか?この本は,その「雨の言葉」ばかりを沢山集めたものです。「雨ってじめじめしていて嫌」とか,「やっぱ晴れのほうが良いじゃない?」と思うかもしれませんが,例えば夜,大雨の降っている時。電気を消して,窓を開けてその側に座って,そして目を閉じてみてください。冷たいしっとりとした風と匂い——すごく気持ち良くありませんか?そう感じることの出来た人は,ぜひこの本を手にとってみてください。嫌いな雨も,どこか楽しみになってくるはずです。
|
|
|
きみよわすれないで
|
|
亜津木もなか/優しく,でも残酷な
|
「壊音」とほぼ同時に,この本を手にとって読んだ。 読んでいて,最初に感じた事は「優しい」という事だった。篠原一の特徴ともいうべき,剃刀のように鋭い言葉の感触は,この本ではほとんど感じられない。むろん,無いわけではない。だが,「壊音」では「壊れていく事」に対する悲しみが,ほとんど描かれていなかったのに対し,この作品ではその,「壊れていく事」に対する深い悲哀が,中心となって描かれている。その性質の違いが,「優しい」という第一印象に繋がったのだろうか? ピアノの調律師の「おじさん」に,どうしようもなく惹かれていく「私」。ふたりきりの静かな時間。でも,いつまでもふたりきりではいられない。壊れていく—…
|
|
|
動物画の描き方
|
|
亜津木もなか/お買い得です
|
この内容で1000円を切っているのだから,すごい。 私は,結構昔から動物画ばかり描いてきたのだけれど,これを読んで,いかに自分のデッサンの仕方が拙く,動きのない動物画になってしまっていたのかを痛感したものだ。 普通の動物画を描く時のポイントだけでなく,動物をディフォルメする時のポイントなども載っているので,漫画を描く人,特に動物の出てくる漫画を書く人にはぜひともお薦めしたい。 絵を描くのが好きな人なら,まず買って損はないだろう。
|
|
|
自閉症だったわたしへ
|
|
亜津木もなか/とにかく読んでみて
|
——自閉症。私はこの病気をかなり勘違いしていました。 私の中ではずっと、自閉症≒ひきこもりだったんです。だから、この本を読んでひどいショックを受けました。そして、あまりにも「自閉症」が、世間に正しく知られていないことにも。 著者のウィリアムズさんは、そういう無理解さから、自閉症の正しいケアを全く受けられなかったのです。 とにかく、自閉症が何なのかよく分からない人には、ぜひ読んでほしい本です。感覚的な文章で、多少分かり難い所もありましたが、一読する価値はあると思います。
|
|
|
壊音
|
|
亜津木もなか/退廃の中の危うい美
|
正直言って,あまり内容的には面白いとは思えなかったのだが,「だったら,自分で書いてみろ」と言われればまず書けないだろう。音の羅列,表れては消える意味。行間に浮かぶ「鳥」の幻影。廃墟の中に幽鬼のごとく浮かんでは消えてしまう,そんな少年達の息吹。そういったものが,独特の匂いをこの小説に与えている。 静かな夜に,何も考えず,ひたすら書かれた言葉をなぞるように読んでみたい。そうすればきっと,音が聞こえるはずだ——現実の軋む,微かな音が。
|
|