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奥ノ細道・オブ・ザ・デッド 奥ノ細道・オブ・ザ・デッド
成瀬 洋一郎/「風景も人も、そのまま放置がいいんだ。放置遊戯が一番」
 最近は『ワールド・ウォー・ゼット』やら『高慢と偏見とゾンビ』やら、ひとひねりしたゾンビ小説が刊行されるようになりましたが、これもその1つ。芭蕉=忍者説をベースに、側用人・柳沢吉保に仙台藩の調査を命じられた俳諧師・松尾芭蕉が、弟子の曾良をお供にして奥の細道を旅する話なのだけれど、行く先々にゾンビがあふれて死屍累々。風景を愛で、俳句を詠みながら、襲い来る屍僕(ゾンビ)の群れを蹂躙していくという怪作。そしてゾンビの解釈はかなり正統派。プロローグには予告編的なコミックも掲載されていて、これもなかなか良い感じです。 芭蕉がニンジャで、曾良が男の娘で、ゾンビの群れと戦って、腐女子大喜び!という言葉にピン…  全文読む 評価する

いとみち いとみち
成瀬 洋一郎/「……お、おがえりなさいませ、ごスずん様」
 相馬いとは高校1年生。 祖母に育てられたこともあって、津軽訛りがかなりきつく、それがコンプレックスで人見知りで口数の少ない子に育ったしまった。 祖母の影響で津軽三味線を習い始め、これはかなり上達したものの、股をがばっと広げる自分の演奏姿勢が恥ずかしく、最近は三味線を手に取ることもない。 そんな自分を変えようと彼女が始めたのが、電車にゆられて1時間ちょい、青森市内にただ1件のメイドカフェのアルバイトだった……。 人見知りでドジっ子、でも頑固者の少女が、バイト先で知り合った年上の人たちの間で(見守られながらも)もまれ続け、(失敗を繰り返しながらも)なんとか克服しようと頑張る青春バイト小説です。 …  全文読む 評価する

神明解ろーどぐらす 神明解ろーどぐらす
成瀬 洋一郎/「似合わないとか勿体ないとかって気持ちを恋愛に持ち込んじゃダメ」
 よくコミックやライトノベルに「帰宅部」というものが登場しますが、たいていの場合、それは“ありえないもの”の代名詞だったり、放課後の学校で遊ぶ口実にすぎなかったり、単に一般の定義通り“学校が終わって家に帰る”だけであったりします。 しかし、この作品の場合、愚直なまでに“学校の門を出てから家に着くまで、いかに愉しく下校するか”を追求しています。その、今までありそうでなかった視点をとことん追求する姿勢に拍手。ここまで徹底されたら、素直に笑って受け入れるしかありません。 また主人公の、不器用で鈍感かつ非力でありながら、常にまっすぐで躊躇わないで突き進む姿勢にも好感を抱きました。これならハーレム・エン…  全文読む 評価する

犬とハサミは使いよう 犬とハサミは使いよう
成瀬 洋一郎/『人が作り出した本を、人は支配することが出来ないのだ』
 父親の転勤で引っ越しする家族と別れて東京に残った理由が、「岡山に引っ越したら新刊の発売が1日遅くなる」というくらい、読書マニアの春海和人だったが、強盗事件に巻き込まれあっさり死んでしまう。そして、これで死ぬなら仕方がないかとすんなり諦めた和人だったが、気がつけばダックスフンドの身体に意識が乗り移っていて……という、犬になってしまった読書マニアと、S趣味な執筆マニアの同居もの。 表紙イラストやタイトルから想像するより斜め上の展開が繰り広げられ、一気に読了。意外なものが伏線になっていたりして唖然。 本好きが本に埋もれては狂喜乱舞し、本が読めなくなっては狂いそうになる話が好きな人にはお薦め。 西尾…  全文読む 評価する

はたらく魔王さま! はたらく魔王さま!
成瀬 洋一郎/「魔王サタン! 何故あなたが幡ヶ谷のマグロナルドでバイトしているの!」
 ありがちなファンタジー世界にて、勇者との戦いに敗れ、異世界へと逃れた魔王サタンと腹心の悪魔大元帥。彼らがたどり着いたのは現代日本の東京。そして、魔力のほとんどを失ってしまった彼らは、魔力復活の手段を探ると共に、日々の糧を稼がなければならないことに……。 六畳一間の安アパートで捲土重来を期する魔王主従の、地に足をつけた生活ぶりがステキです。その貧乏生活のリアルさとか、どんなにいがみ合っていても最低限の礼儀を忘れない魔王と勇者の会話とか、みんなマジメにやっているのにどこかかみ合わないところから生まれる小市民的な笑いが、『聖☆おにいさん』が好きな人などにお薦めしたいポイントです。  全文読む 評価する

傷だらけのビーナ 傷だらけのビーナ
成瀬 洋一郎/ノーテンキ少女の立てこもり
 いけ好かないオヤジの部下になった弓使いのビーナが、そのセクハラ上司と二人で辺境の寂れた砦に出張することになったけれど、気がつけば何千という魔物の大群相手に籠城戦をするはめに陥って……。 ちょっと東南アジア的な雰囲気の世界の、流浪の果てに傭兵隊に拾われた世間知らずな田舎娘の物語。あまりの能天気さに、こいつアホちゃうやろか?と周囲に思われたり、理不尽な扱いやら鉄拳制裁を受けたりしながらも、次第に要領よく傍若無人な上司のあしらい方を覚え、いつしかその実力を認めさせるようになっていきます。 なんかおどろおどろしい表紙に引いてしまったりするけれど、読み始めてしまえば悲惨な境遇をものともしないビーナの、…  全文読む 評価する

子ひつじは迷わない 子ひつじは迷わない
成瀬 洋一郎/「冷たい言葉は生きているだけで日々その語彙を増やせる」
 高校生を主人公にした「日常の謎」系青春ミステリの連作短編であり、安楽椅子探偵もので、ボーイ・ミーツ・ガールもの。生徒会に持ち込まれる謎の数々を、隣の部屋で読書三昧の幽霊文芸部員が、漏れ聞こえる話の内容だけで解決していきます。 持ち込まれる謎に辟易しながらも、一刻も早く解決することが他人とできるだけ関わらないで済む方法だと答えを告げる探偵。迷惑がられていても、ありがた迷惑だとわかっていても、たとえそれが嘘でも人を助けずにはいられないワトソン役。そして他人には無関心なんだけれど、他人と関わっていくことが面倒を避ける道だと仮面をかぶる少女の不思議な三角関係でもありますね。一方的にワトソン役が嫌われ…  全文読む 評価する

放課後探偵団 放課後探偵団
成瀬 洋一郎/「答えというのは、いつだって一番単純なんだよ」
 まだ単行本も出ていない作家まで含めて、創元推理文庫が若手作家による青春ミステリのアンソロジーを出しました。 にわか高校生探偵団というか『理由あって冬に出る』のシリーズの似鳥鶏がその番外編で。あの妹さんは登場してませんが、こっちの妹さんが登場してます。 マジシャン女子高生が謎を解く『午前零時のサンドリヨン』の相沢沙呼も同じ登場人物でバレンタインデーの謎を解決します。 他には梓崎優、鵜林伸也、市井豊。いずれも高校生か大学生を主役にした「日常の謎」系の青春ミステリです。部活で、サークルの打ち上げで、卒業式で、高校生たちが日常で遭遇した不思議な事件の謎が解かれ、ほんのり甘酸っぱかったりほろ苦かったり…  全文読む 評価する

断絶への航海 断絶への航海
成瀬 洋一郎/「ほかならぬ自分が戦わなければならなくなると、戦い取る価値のあるものなんて、びっくりするくらいわずかしかないもんです」
 宇宙の彼方の植民惑星を舞台に、「無尽蔵の資源とそれを活用する技術が与えられ、しかも過去の思想や因習に囚われない世界に放り出されたとき、人間はどのような世界を構築するのだろうか」という思考実験をおこなった作品で、ホーガンがたびたびテーマとした、保守的で硬直しきった組織と自由闊達な人々との対立を背景に、かろうじて理解可能な程度に異質な思考をする文明と接触した顛末を描いた長編。 旧世界ではダメ人間とレッテルを貼られたような人々が新世界に適応して活き活きと動き出す姿と、旧世界のエリートが空回りする姿を笑い飛ばしながら、文明(価値観)の対立、教育の重要性、社会秩序と統治機構などについて考えていくハード…  全文読む 評価する

一鬼夜行 一鬼夜行
成瀬 洋一郎/「文明開化だか何だか知らぬが、そんなことで俺達がいなくなると考えるのは底の浅い人間ならではだ」
 江戸幕府から明治政府へと移行して5年。 文明開化の世の中でもオバケは出る。獣だって住処を奪われれば人里に降りてくるのだから、妖怪だって今までいたものがいなくなるわけではない。 小春は百鬼夜行からこぼれ落ち、迷子になった小鬼。その小春に居候されてしまうのが、妖怪より怖いと言われる古道具屋の喜蔵。この2人がなんの因果か、次々と起こる妖怪騒動に巻き込まれていくというか巻き起こすというか。小野不由美の『東亰異聞』よりはユーモアがあってほんわりしていて、宮部みゆきの『霊験お初捕物控』あたりの時代小説と比較すると妖が前面に出ている……そんな雰囲気の話です。 人づきあいが悪く、いつも不機嫌そうな喜蔵と、簡…  全文読む 評価する

ななめカンナヅマ ななめカンナヅマ
成瀬 洋一郎/「何かの支度を調えるには賢さが必要だ。しかし始めるのは、いつも愚かさだ」
 忘れられ消えていく神を故郷へ送り届ける役目を与えられた巫女の神無妻七芽と、その旅を司る名簿の神クレクレが乗った時の小舟は、さまざまな世界を流れてゆく。 今回、彼らの小舟が辿り着いたのは、子供ばかりが住む楽園だった。この地に七芽の宿す神を求める者がいるのだろうか……。 日本昔話とピーターパンを足して割ったような感じで繰り広げられる、ハイパー巫女の痛快アクション。でも、七芽はあくまで八百万の神を宿して運ぶのが役目であり、最後に大暴れするのは彼女が運んできた風の神“空気のジャック”であり、彼を求めた反逆児タウロとなります。巻が重なっていけば、それが良いアクセントになるのでしょうが、もう少しハイパー…  全文読む 評価する

六百六十円の事情 六百六十円の事情
成瀬 洋一郎/『カツ丼は作れますか?』
 ビートルズネーチャン、単語3つをセットにする家出少女、万引き少年、ニート……社会の枠からはみ出しかけて宙ぶらりんな男女たち、それぞれを語り手にした前半は、よくある連作形式の青春群像劇かと思ったけれど、それぞれの物語に通りすがりの人間として登場していた老人が語り手になった途端、ばらばらに見えていた物語が一気に集約し、食堂のテーブルに置かれたカツ丼で話がまとまる構成に引きずり込まれて一気に読了。そのままもう1回読み直して、伏線やら登場人物の立ち位置を確認しながら新たな視点を楽しませてもらいました。 入間人間は、「社会の常識」と呼ばれるものからちょっとはみ出したヘンな人たちを描写するのが巧いのだけ…  全文読む 評価する

円環のパラダイム 円環のパラダイム
成瀬 洋一郎/「僕たちは生き延びた。だから、次はもっと上手くやる」
 「創造者」と呼ばれる存在がいた。 それがまだ存在するのか、何を考えていたのか分からないけれど、彼らの造ったシステムは今も生きている。 そのシステムによって地球を無数の欠片に分割されてしまった人類は、否が応でも何万年という歳月の間にゲートワールドに呑み込まれてきたさまざまな異世界やその住人と接触せざるをえない。しかし、それは生身の人間が生き延びることのできる世界ではなかった。 ゲートと呼ばれる一方通行の小さな門によってつながった幾つもの世界を渡り歩いてきた高校生・赤羽玖朗と紀野国可耶が辿り着いたのは、生徒会長・小此木エリスが指揮する<学校>と呼ばれるコミュニティだった。 その欠片では、共生する…  全文読む 評価する

15×24 15×24
成瀬 洋一郎/「人生はたしかに短いけれど、急いで終わらせるには長すぎる」
 死にたがりの17歳を追いかける10余人の追跡劇は、紛失した携帯電話を探すヤクザや予知能力があるという老婦人もかかわってますます混沌とし始め、静かにしかし大きくなっていくのでした。アメリカのTVシリーズ『24』を彷彿とさせる刻一刻と状況が変化する24時間の物語ですが、テレビと違ってリアルタイムで進行しない分、15人の視点が小刻みに切り替わることで緊迫感を盛り上げています。 だんだん登場人物の立ち位置がはっきりしていくことにより、<17>と名乗る正体不明の心中相手の存在が物語の中で大きくなり始めます。<17>とは誰なのか、本当に死にたがっているのか? 今後、自警団やヤクザ…  全文読む 評価する

15×24 15×24
成瀬 洋一郎/「運命がわたしを思考させる。わたしの思考が運命を選択していく」
 積極的に死ぬつもりはないけれど、誰かが心中相手を探しているなら付き合って死んでも良いと思っていた高校生が、インターネットの自殺志願者の掲示板で知り合った相手と心中すべく大晦日の街に出た。ところが携帯電話が盗まれたことから、遺言めいたメールが発信されてしまい、それはカーボンコピーされて瞬く間に広がっていく。 大晦日の東京を舞台に、死のうとする者と制止しようとする者、総勢15人の17歳の少年少女が右往左往する24時間の物語。 さまざまな登場人物が入れ替り立ち替り自分の視点で語る物語のパッチワークです。制止する側にも真剣に止めようとする者もいれば面白半分の者もいるし、止めるふりをして自殺させようと…  全文読む 評価する

パズルの軌跡 パズルの軌跡
成瀬 洋一郎/「1バイトのバグにも五分の魂」
 凡庸な大学生である綿貫基一はなんとか卒業して凡庸な会社の凡庸な新入社員となったが、不登校の天才美少女・穂瑞沙羅華は森矢沙羅華となって平凡な女子高生としての日々を送っていた。 そんな2人のもとに持ち込まれたのは、資産家子息の失踪事件の調査だった。量子コンピュータの権威である沙羅華の力でバージョン・アップしたいというのだが……。 宇宙創生から神の創造まで、さまざまな巨大プロジェクトをSF的発想で描いてきた機本伸司の新作は「失踪者の捜査」。確かに巨大プロジェクトは登場するけれど、それは沙羅華たちが創りあげていくのではなく、あばいていく方なので「プロジェクトX」的な物語を期待していると肩すかしになり…  全文読む 評価する

マジカルパンプキン44キロ マジカルパンプキン44キロ
成瀬 洋一郎/「何かあったら必ず教えて。この佐々木童子が見届けてあげる。すべての謎と、すべての不思議を」
 木村航の新作は『ミラクルチロル44キロ』の外伝というか後日譚というかスピンオフ小説で、大好きな男の子に告白するために、学校の畑で育てているオバケかぼちゃより体重を軽くしたいと願っている小学4年生の女の子の物語です。『ミラクルチロル44キロ』とは直接の関係はありませんので、チロルチョコの話を知らなくても面白く読めると思います。 キャラクター的には、『ミラクルチロル44キロ』に引き続き登場する謎のコタロー少年はもちろん、悪魔の張った結界さえ無視する新キャラのトーコちゃんのゴーイング・マイウェイっぷりが恐ろしいくらい良い味を出しています。 作品全体の雰囲気としては、今までの木村航の作品に見受けられ…  全文読む 評価する

紫色のクオリア 紫色のクオリア
成瀬 洋一郎/『物語はいつからはじまるのだろうか?』
 ガクちゃんが廊下で鉢合わせてして一緒に転んだ毬井ゆかりは紫色の瞳を持った中学生。彼女の秘密は、自分以外の人間がロボットに見えるということだ。 嘘っぽいと思いつつ適当に話を合わせているうちに、ゆかりには本当に人間とロボットの区別がついていないとガクちゃんにも分かり始めたのだが……。 うえお久光は巧い作家だと思います。キャラが活き活きとしていて軽妙な言葉のやりとりが心地良いというだけでなく、しっかり面白い「物語」が紡げるということ。ただ、著作の大半がライトノベルの長編シリーズなので、いきなり読み始めるには辛いかもしれません。ですから、この作品のように1巻ですっきり完結している作品は貴重な入門書か…  全文読む 評価する

鋼鉄のアナバシス 鋼鉄のアナバシス
成瀬 洋一郎/「あたしが指揮を執るんだもの。敵の戦車が何両だって、勝って見せるわ」
 1945年5月。ドイツはいまだ世界と戦い続けている。少しずつ歴史が改変され始めていた。 休暇を終え、ウクライナ地方に展開している原隊に復帰しようと列車に乗り込んでいたアキラ・クリューガーは、キエフのトラクター工場で勃発した捕虜の反乱に巻き込まれる。 そのアキラの命を救い、放置されたパンターに押し込んだ黒髪の少女は、彼に対して2人でこの戦車を動かすと宣言した。「あたしが指揮を執るんだもの。敵の戦車が何両だって、勝って見せるわ」と。 戦場を疾駆する新型重戦車と、それを駆る少年少女の物語。イカロス出版が新たに創刊させた新書判レーベル「AXIS LABEL(あくしずレーベル)」、その第一弾です。 あ…  全文読む 評価する

三匹のおっさん 三匹のおっさん
成瀬 洋一郎/「何か何気にすごい暴言を聞いたような気がする……」
 還暦になってもまだまだ元気なおっさん3匹が、暇つぶしに始めたのは町内限定の正義の味方だった!……という『三匹のおっさん』は痛快ご町内活劇。 おっさんたちが挑む事件は痴漢あり詐欺あり動物虐待ありと、大事件ではないけれど事件の当事者にとっては切実な問題です。3人は誰もすごい超人ではない普通の人なので限界はあって、決して世界全部を救えるわけでもないけれど、それでも自分たちの身の回りの人たちくらいは守ってやろうと頑張る姿がいかにも有川浩の作品という感じなので、今までの作品が好きな人なら期待して問題なし。 イラストに、じーばーマンガで定評のある須藤真澄をもってきたのも大正解。須藤真澄のあのゆるやかなテ…  全文読む 評価する

北辰群盗録 北辰群盗録
成瀬 洋一郎/「あの妄想は危険すぎる。根絶せねばならぬ」
 江戸から東京へと名前を変えた街の片隅で、酒代にも困るその日暮らしをしている男の前に、陸軍省の隅倉と名乗る男が現れる。 隅倉が与えようという仕事は、北海道の開拓地を荒らし回る群盗討伐に加われというものだった。 共和国旗兵隊を名乗る盗賊団の首魁は兵藤俊作、かつて矢島従太郎が五稜郭で共に肩を並べて戦った男。矢島は再び北海道の大地に足を降ろし、榎本武揚の掲げた共和国構想の幻影を追い続ける男との戦いに挑む……。 北海道を舞台にしたウェスタン活劇、つまり西部劇です。馬と銃の世界。襲撃。酒場での乱闘。追撃。罠。裏切り。そして決闘。けれども、本質はハードボイルドな冒険小説、かつての戦友との対決、夢を追い続け…  全文読む 評価する

鬼切り夜鳥子 鬼切り夜鳥子
成瀬 洋一郎/「ヌエちゃんの式神は、おまえのためなら命をかける」
 鬼切り夜鳥子シリーズもついに完結編の5巻です。ついでにいうと、おにぎり夜鳥子にもなってます。いや、むちゃくちゃおにぎり握るのが早いというだけですが。 蝴蝶の罠にはまって式神使いの夜鳥子は消えてしまい、残されたのは走るのが取り柄の普通の女子高生・駒子だけ。その駒子が仲間たちと力を合わせ、安倍晴明復活を企む式神や蝴蝶の野望を阻止しなくてはいけなくなります。鍵となるのはお好み焼き屋の娘、三ツ橋。彼女のお腹の中に宿ったものこそ、死者をも蘇らせることのできる禍星ノ神子だというのですが……。 アクションありエログロあり友情も恋もある「鬼切り夜鳥子」のシリーズもこれでおしまいかと思うと寂しいもんです。適当…  全文読む 評価する

鬼切り夜鳥子 鬼切り夜鳥子
成瀬 洋一郎/「私、妊娠したみたいなんですよぉ」
 学園を舞台にした鬼の封印話である『百鬼夜行学園』からスタートした「鬼切り夜鳥子」シリーズも、ついに最終章(の前編)! 鬼切り夜鳥子2である『京都ミステリーツアー』では修学旅行先での対決、続く『みちのく血煙慕情』では過去に遡って生前の夜鳥子と求道の因縁話と、バラエティ豊かな物語を展開していましたが、その集大成であり、さまざまなキャラクターや伏線が一点に集中していきます。 桂木駒子と三ツ橋初美の柔肌に浮かび上がる謎の文様。桂木駒子と幼なじみの久遠久のクリスマスデートは成功するのか? 金髪で京都弁という謎の転校生、金尾・キャサリン・ミズクの登場はクリスマス前の街に大事件が起きる予兆だった!……とい…  全文読む 評価する

愛とカルシウム 愛とカルシウム
成瀬 洋一郎/「錯覚だ。あたしはもう死んでいる。死んでなきゃヘンだ」
 間もなく19歳の誕生日を迎えようという藤島環は、身体が石化していく難病HDS。介護施設しおかぜ荘で暮らしているが、回復する見込みのない自分の身体に環は見切りをつけ、できるだけ他人と関わらないようにしながら毎日を過ごしている。 「元気をだしたいひとへおくる、青春小説」というあおり文句で、双葉社のWEBマガジンで連載していた小説が1冊にまとまりました。 連載していたときは「どこを読むと元気が出るんだ?」と思うくらい、未来の見えない18歳の少女の達観と葛藤が伝わってくる話でした。身体は少しずつ動かなくなっていくだけで回復しそうにない。家族の負担にもなりたくないし、制度が変わってこの介護施設もいつま…  全文読む 評価する

ハルカ ハルカ
成瀬 洋一郎/「大きな炎が空を焦がしてる。真っ黒な雲の中に、燃えてる邪馬台国が見えた……」
 時空を超えてハルカと張政が再会したのもつかの間。窮地に追い込まれた“新たなる巫女”壹与によって、張政とハルカは駄犬ベッピーと共に、またまた21世紀から3世紀の邪馬台国へと召喚される。攻め寄せる狗奴国の大軍勢! けれど、それはまだ冒険の始まりに過ぎなかった……という、古代と現代日本を行き来して、高校生張政と巫女ハルカが大暴れする冒険活劇『ハルカ 天空の邪馬台国』の正統派続編にして完結編。 原題と過去を行き来するボーイ・ミーツ・ガールの冒険譚。 面白いけれど、唯一の欠点は前作を読んでいないと面白さ半減ってとこかな。 それでも水準以上だと思いますが、ついに乗っ取り憑太との因縁に決着がつくのか!………  全文読む 評価する

戦争は女の顔をしていない 戦争は女の顔をしていない
成瀬 洋一郎/「真実というのは我々が憧れているものだ。こうでありたいと願うものなのだ」
 大きな戦争というものは、それだけで社会構造を変革してしまいます。 それは通常社会の担い手とされている成人男性の多くが戦場へ赴くことになり、工場や公共交通機関など、それによって欠員が生じたシステムをそれまで員数外扱いされていた人々が埋めることになるからです。こうして「男女平等」「マイノリティの権利向上」といった方面に波及するわけですが、ソ連の場合、国土が戦場となった第2次世界大戦においては、100万人以上の女性が兵士として戦場にいました。 アメリカやイギリスなどでも女性ばかりの部隊はありましたが、通信員であり、輸送員であり、前線に出るということはありませんでした。しかし、ソ連の場合は前線に投入…  全文読む 評価する

レインツリーの国 レインツリーの国
成瀬 洋一郎/「・・・重量オーバーだったんですね」
「……重量オーバーだったんですね」 なんということのないセリフだけれど、物語の中で読むとかなり重い。気づかない悲しみ、気づいてやれなかった後悔が、そのまま伝わってくるのです。 昔、大好きだった本がある。 今も忘れられないくらい好き。 でも、あの結末には納得できない。 気まぐれに、昔好きだった本のレビューをインターネットで検索し、その結末について誰か何か書いていないかと探していた伸之は、自分と同じような感想を書いているサイトを見つける。 でも、自分とまったく同じ意見でもない。レビューを書いた女性らしきサイトの管理人と、男である自分の感覚の違いだろうか。 自分が忘れられない本を、自分と同じように好…  全文読む 評価する

神様のパラドックス 神様のパラドックス
成瀬 洋一郎/「ただの適当やない。やるだけやって、その先を適当にやるんや。最初から適当なのとは違う」
 ごく普通の大学や企業から物語が始まり、それがやがて「宇宙」とか「救世主」を創るという、とんでもなく破天荒なプロジェクトに発展していくというのが、機本伸司が得意とするパターン。マッドサイエンティストの怪しげな実験室ではなく、環境の整った最先端の研究施設の中で、傍目には怪しい実験が繰り広げられます。 今回の『神様のパラドックス』も直球ど真ん中で来ました。 宇宙、救世主と来たら、もう次は神様を創るしかありません!○ アプラDT社の研究者・小佐薙は崖っぷちに立っていた。 なんとか開発に成功した光解析型量子コンピュータ“久遠”は、世界トップクラスと自負する性能だったが、量子コンピュータの世界は、さまざ…  全文読む 評価する

図解第三帝国 図解第三帝国
成瀬 洋一郎/戦史からオカルトまで
 1933年から1945年のドイツにおける組織・人物・歴史を解説するというコンセプトでまとめられた図解。 とにかく要人たちの略伝からスペイン内戦の経緯、果ては南極の秘密基地説まで、むちゃくちゃ広くカバーし、かといってその内容もおざなりにならず、必要最低限のポイントを押さえてありますし、地図や写真、図表類も豊富です。また、「ナチスがUFOを作っていた」というような珍説奇説についても、概要を紹介するだけでなく、誰が言い出し、誰が広めたかというような関連情報まで紹介してある丁寧な作りです。 何か第三帝国に関して調べ物したいときに使う最初のガイドといった位置づけでしょう。  全文読む 評価する

マップス・シェアードワールド マップス・シェアードワールド
成瀬 洋一郎/「SFってのは、『校舎の屋上から宇宙へ飛び立とうとする心』」
  1986年にスタートしたSFコミックがありました。絵は荒削りでしたが勢いがあり、その勢いで銀河系規模の大事件にまで話を広げておいて、見事に話を収束させてしまったスペースオペラの傑作『マップス』です。 平凡な高校生・十鬼島ゲンはある日突然、女宇宙海賊リプミラやスペースパトロールの襲撃を受ける。ゲンこそ、2万年前に消えてしまった“さまよえる星人”最後の子孫であり、その身体には秘宝「風まく光」への手がかりが隠されているというのだ。この争いに、宇宙人のテクノロジー奪取を画策する米ソ諜報部が介入するに至り、ゲンはリプミラやガールフレンドの星見らとともに宇宙へと旅立つことを決意する。およそ2…  全文読む 評価する

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