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ニューロマンサー
ハヤカワ文庫 SF
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コメント・書評 |
きれいな小説
伊藤計劃
Feb 21, 2002 1:01:00 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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テクノロジーが、政治とかエリートとかのてっぺんだけじゃなくて、どぶ底レベルの人間から変えてゆく。そういう認識を、コンピュータが生み出す人間の新たな認識の地平とからめて描き出した…というインパクト、いわば「最初にやったもん勝ち」の衝撃を取り払ってみれば(それもかっちょよくて凄いことなんだけど)、この小説に残るのは「場所」の印象、静かにまぶたに残る空間の雰囲気、だったりする。
冒頭のチバシティこそごちゃごちゃしてて猥雑だけど、あとはイスタンブールのエキゾチックな感じ、空港ターミナルのあの雰囲気、人気のない高級リゾートの、塵一つない奇妙な清潔さ、熱心に清掃された漆喰の廃虚のような無人空間、がらんとしたプール。そんな「場所」と、奇妙に歪んだドアとかグロテスクなホログラムとかの「オブジェ」が現代美術のような「妙な感じ」を残す。 思えば、サイバースペースにしてもこうした「場所」の印象たちの一つにつらなるものとしての役割が大きかったのかもしれない。
ぼくにとってこの本は、猥雑でブレラン的なチバシティのステロタイプなイメージよりも、リゾートやお城のがらんとした廃虚感に身をゆだねる(バラードの風景の乾いた心地よさに近い)「きれいな小説」だ。 |
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