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方舟
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コメント・書評 |
ファンタジーの現在形
プジタ
Feb 5, 2002 1:59:00 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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この作品には印象的な決め台詞、決めゴマがたくさんある。水没したTVカメラに記録された少女の「世界の終わりだから…」という言葉、精神的に追い詰められて「…ホラもうすぐ手が届きそう」とにこやかに水死体に手を伸ばす主婦、方舟の上で「この期におよんでまだ希望だと…おまえらみんなバカか!!」と絶叫する若者。これらは「終末もの」の王道、もっと言えば「手垢がついて古い」と言われかねない台詞・イメージなのに、読むものの心にまっすぐ届くのはしりあがり寿の特殊な画風のせいだろうか。 そう、ここにあるのは夢物語、とっくに失われたファンタジーだ。僕らは世界の終わりを想像することで今まで何とかやってきた。それはおそらく太古の昔からそうだったのだろう。世界はいつか滅ぶものとして芸術作品のなかに描かれつづけてきた。だが、僕らは気づき始めている。そんなに都合よく世界は終わってくれないらしい、ということに。美しい世界の終わりは夢物語で、月曜日にはまた学校・会社が始まるのが現実だ。 しりあがり寿は最良のファンタジーを提供できる数少ない漫画家である。彼はこんな世界の終わりを信じちゃいないはずだ。
「さあ、未来を失ったからにはとびきり美しい『終末』を描こう。こうなった上は、ただしばしの眠りについて、まどろみの中で二十一世紀をむかえよう。」(あとがきより) |
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