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背信の科学者たち
ブルーバックス
論文捏造、データ改ざんはなぜ繰り返されるのか
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ウイリアム・ブロード著
ニコラス・ウェイド著
牧野 賢治訳
税込価格:
¥1,197
(本体 : ¥1,140)
出版 : 講談社
サイズ : 18cm / 358p
ISBN : 4-06-257535-3
発行年月 : 2006.11
利用対象 : 一般
出荷可能時間:
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コメント・書評 |
科学活動の理想と現実を認識させた力作。
銀の皿
Mar 15, 2010 4:17:56 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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科学研究の不正行為を初めて真正面から取りあげて書かれた書物の一つである。原著の出版は1983と、もう随分昔になってしまったが、今でも高い評価を下してもよい、本質をついた内容であり、数あるブルーバックスの中でも古典になりそうな一冊だと思う。 1988に化学同人から出版された全訳の、本書は改訂版。出版から25年以上たったので、それ以後日本も含めてまたあらたな事例も発生し、状況も変化した。そのため訳者が30ページ以上の補足・解説をつけている。 論文の改竄・捏造の事例を多数紹介しながら、普遍的な問題を提起していく。著者らはサイエンス、ネーチャーといった科学誌の記者でもあったが、著書中にはこういった一流紙と言われるものですらシステム的に捏造を見いだせないことを指摘する部分も多くある。自らの職場にも厳しく、問題を提起した力作であると思う。 ガリレオやメンデルにまで遡っての、古典的なデータの改竄や不正の事例も多く紹介されている。メンデルやミリカンが仮説に合うようにデータを曲げてしまったことは、もちろん「良い行動」ということはできない。しかし、それをしたからこそ注目を集め(それでもメンデルは再発見されるまで埋もれていたのだが)知識を一歩進めることができたという一面も無視はできない気がする。追試をして確証を少しずつ蓄積していく時間と努力があれば、間違った仮説は淘汰されていくだろう。現代の科学の問題点の一つは、その時間と努力を待つ余裕がない、拡大し続けなければいけないという社会的な強迫観念のようなものすら感じてしまう状況にもあるのではないだろうか。
最終章に述べられている総括的な著者の言葉は、今でも耳に辛辣である。曰く: 「ボスに率いられる論文工場のような組織では、真理のためよりも個人的な栄光のために研究を行う傾向が強い。それはまた、研究結果を評価するための正常な仕組みに悪い影響を与える。P301」 「科学はプラグマティックだが、科学者は他の人たちと同様、レトリックやプロパガンダといった説得には弱いのである。P302」
著者らは、硬直した科学観を放棄せよ、と提言する。科学は1)社会的なもの、 2)歴史的なもの、そして3)人間の合理的思考の文化的な一つの表現であるという認識である。科学は論理的であり、非イデオロギー的であると、3)ばかりが強調されすぎたことに問題があった、という指摘はかなりうなずける。 論理的で、イデオロギーに左右されない、という理想の姿を追うのは決して悪いことではない。しかし、現実で科学を動かしている1)や2)の力をないがしろにするのもいけない、ということであろうか。科学も「汝自身を知れ」というなのだろう。(こうして古典の言葉の価値の再発見をまたしてしまった。)
科学研究に携わる人、これから携わりたいと思う方には、研究活動の場所を自覚するためにも読むことをお進めしたい。現状にがっくりきて意欲を喪失するかもしれないが、人間社会である限り、これが研究以外の世界にもあたりまえに存在する状況であると考え、真正面から科学の本性を見つめて、それでも、と真実を追いかけて欲しいと心から思う。 |
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