コメント・書評 |
社会のルールに飼いならされてしまった私たちが手にすべき書
yukkiebeer
Feb 20, 2010 5:02:10 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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朝日新聞WEB版で著者が2002年から2007年にかけて連載したコラムで取り上げたトピックを再度見つめ直してまとめたものです。 ローマ字綴りや人名漢字の決まりごとには説明のつかないおかしな点が多いこと。 電車の軌道幅に様々な違いのあることがきちんと顧みられてこなかったために人の命を大きく左右する可能性があること。 風俗店やヘアヌード写真集など性を取り締まる法律にも納得できない点が様々あること。 2006年に突如として社会問題化した電気用品安全法につけられた摩訶不思議なおとしまえのこと。 そして公職選挙法に厳然と残る矛盾点が引き起こす悲喜劇。 そのどれもが、読者の日常生活に深くかかわることでありながら放置されてきたことを著者は分かりやすく、かつ、鋭く指摘していきます。
そしてなんといっても著者の大きな怒りの矛先は、こうした奇妙なルールを作って知らん顔を決め込んだ司法・立法・行政の三権だけではなく、第四の権力である報道に対しても厳しく向けられるのです。 例えば、2004年10月の中越地震の際、時速200キロで走行していた上越新幹線が脱線しました。そのときにメディアは新幹線安全神話が崩壊したという視点で報道を行いましたが、著者はこの視点を強く批判しています。 時速200キロの列車が脱線して怪我人が一人も出なかった、それほどの安全がなぜ保たれたのか。それは列車が走っていた橋脚が地震に耐えられるように支柱の補強工事がされていたのです。 こうした安全対策がきちんと機能したことの中に、明日の悲劇を防ぐヒントを見つける。それが本来報道機関のある姿なのでしょう。その視点が欠けたメディアのもろさに著者はいらだちを隠しません。
そしてさらには、矛盾に満ちた規則に対して私たち市井の読者があまりに寛容であることの危うさ。 馴致されてしまった私たちが明日を生きるヒントがこの書にはあると思います。
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