コメント・書評 |
フルマラソンをちゃんと完走したい人に最適の一冊
悠々楽園
Feb 12, 2010 4:47:18 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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Qちゃんこと、あの高橋尚子。オリンピック2大会連続メダルの有森裕子。世界陸上金メダルの鈴木博美。千葉ちゃんこと千葉真子も教えを請うた。 誰もが知る日本一のマラソン指導者であるあの小出監督が書いた本である。
マラソンは苦しい。苦しいけど楽しい。 楽しさのミナモトはいろいろあるだろうが、「生涯に一度はフルマラソンを走ってみたい」という人は少なくないだろう。いくばくかの苦しさや困難を乗り越え、少し前の自分ならゴールするなど思いもよらなかった距離を走り切り、完走するという夢が達成できるかもしれないという期待は大きなモチベーションになるだろう。 逆に、レースに出てはみたものの、途中でリタイヤするようなことになると、その悔しさは決して小さくはない。レベルは人によるだろうが、自分なりに努力をしてきたのならなおさらだ。 何回走ってもタイムがいっこうに縮まらない、というのもけっこう落ち込む。 そういう人に、この本はまず大いに役立つにちがいない。
多くの市民ランナー向け指導書同様に、この本も初心者からベテランまでどのレベルのランナーにも役に立つように工夫されてはいる。 マラソン・レースといっても、10km、ハーフマラソン、フルマラソンなど距離はさまざまだ。挑戦したい距離に合わせて細かな練習方法と、レース前の調整方法が記されている。
さらに、他の本にはあまり書かれていない特徴がある。 レースに向けたトレーニングやコンディショニングさらにはレース当日の走り方といった、「マラソン大会を走る」ことにかなりの重点が置かれている点である。小出監督ならでは、という本だといえる。
わたしが特に面白いと思ったのは、シドニーでの高橋尚子、世界陸上での鈴木博美のレース前10日ほどのコンディショニング・メニューである。トップシークレットといってもよいようなコーチングの核心である(今回初めてオープンにしたそうだ)。 この二人のメニューがコースの特徴やレース展開によってどのように違ったか--まるで今これからまさに大きなレースに臨もうとするコーチと選手のやりとりが、目の前で展開されているかのようなワクワク感が味わえる。 「そうか、そんな作戦があのレースの前に練られていたのか」という、あたかも歴史の1ページの謎が解けていくような歓び!
小出さんの指導の基本は決してしち面倒くさくない。たとえば、ランニング・フォームについて聞かれた時の監督の答えは「結論から言うと、基本的にフォームは気にする必要はありません」ということになる。 あるいは練習方法のポイントさえきちんと押さえておけば、1日30分のランニングでも、ちゃんと完走できる、といったことが書かれている。「がんばり過ぎ」はいけないと書かれている。時間がないとあきらめていた多忙な会社員も、この本を読んでもう一度チャレンジする甲斐が十分あると思う。
今月末には東京マラソンが行われる。 昨今のマラソンブームは、ヒートアップとどまることを知らず、東京マラソンに至っては3万2千人の募集に何と27万2千人以上の応募があったそうだ(フルマラソンの部)。宝くじ並みの確率にもかかわらず出場権を手にした3万人余りの幸運なランナーたち。その中には「勢いで申し込んだら当たっちゃったので、とにかく走ってます」という方もいるかもしれない。そんな人は今からでもこの本を手に取れば、少なからず役に立つに違いない。 とはいえ魔法の本ではない。完走にせよサブフォーにせよ、目標が達成できるかどうかは、あなたのこれまでとこれからの努力次第であることに変わりはない。 |
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