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昼が夜に負うもの  ハヤカワepiブック・プラネット

昼が夜に負うもの(早川書房) ヤスミナ・カドラ著
藤本 優子訳
税込価格: ¥2,205 (本体 : ¥2,100)
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出版 : 早川書房
サイズ : 19cm / 472p
ISBN : 978-4-15-209075-1
発行年月 : 2009.10
利用対象 : 一般

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内容説明

アラブ系で金髪碧眼の少年ユネスは、謎めいた美少女の出現を機に、親友たちと恋のさや当てを始めた。しかし戦争の影が母国に迫り…。歴史の闇に埋もれたアルジェリア戦争を背景にして、少年の成長と愛を描く。

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コメント・書評

民族対立も三角関係も乗り越える友情に
かつき
Jan 5, 2010 12:25:22 PM
評価 ( マーク )
★★★★★

女性名のペンネームで『カブールの燕たち』『テロル』と、
悲しい紛争とテロの物語を優美に紡ぎだしたカドラの新作は
故郷アルジェリアを舞台にしたアラブ系の青年の物語。

1930年代から始まり、二つの世界大戦、
60年代の独立戦争と、アルジェリアの歴史をたどる。

主人公のユネスは9歳。
アラブ系だが、美しい顔立ちとブルーの瞳で
人々を虜にする魅力的な少年だ。
彼の父親が貧しい農民から、一気に最貧困層へと没落し
困窮から彼の兄夫婦にユネスは養子に出される。

伯父のマヒは、パリで薬学の教育を受け、
現在も薬局を営んでいる。裕福な家庭だが子どもがいない。
フランス人の妻ジェルメーヌがアラビア風の発音ができず、
ユネスは「ジョナス」というフランス風の名前に
自然に変わっていく。

ここで彼はアラビア人社会からヨーロッパ系社会へと
コミュニティを変えていく。
彼は隣人と親しみ、学校に慣れ、新しい社会に適応する。
その間にもアラブ系の伯父を圧迫する事態が起こるが
彼らは切り抜けていく。

やがてリオ=サラドに居を移したジョナスは、
シモン、ファブリス、ジャン=クリストフという
ユダヤ系やヨーロッパ系の友人とは特に仲良くなり、
4人はまるで「フォークのさき」だった。

しかしエミリーという美しい女性に4人がそろって恋をし、
友情は微妙に変化し、そこへアルジェリア内の紛争から
民族間の感情、対立が生まれ、彼らは元のままではいられなくなる。

ジョナスは幼いころからおとなしい性格だった。
ヨーロッパ人系の社会でもアラブ系であるため
主体的な行動を起こせないことがあったのかもしれない。
彼はやがて恋を失い、友を失っていく。

唯一、彼がアラブ系の少年をかばって、
ヨーロッパ系の事業主に訴えるシーンは印象的だ。
「大昔のことですが、ソザさん、あなたや、
曾お祖父さまのさらに先代のかたよりもまえの時代、
あなたのいる場所に建った人間がいました」で始まる
自由を訴えるセリフは、心に切々と響く。

そして現代までドラマは続く。
「人生はノンストップの列車のようなものだ。
走っているところに飛びのるか、
ホームで通り過ぎていくのを眺めているか」
と回想する、80を超えたジョナスが思うことはたった一つだ。
「つねに自分のパズルには欠けているピースがある」。
幸福も感動も埋めることができないピースは、友に会うことだけ。

美しく、豊かで、抒情的なジョナスの物語は
フランスでもベストセラーになった。

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