コメント・書評 |
優しい眼差し、分かりやすい解説、スリリングな展開
GTO
Dec 14, 2009 7:48:10 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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宇宙論を通して、科学とは何か、科学の発展はいかにして成し遂げられていくのかを分かりやすく伝えてくれる良書である。 科学とは(特に物理学は)、この世界を数学で記述することである。そして、その式はシンプルでかつエレガントであるべきである。また、その理論はよく言われるように検証(あるいは反証)可能でなければならない。そのため、実験や観測というテストに耐えなくてはならない。 科学の発展は、これらの試練を耐え抜いた時に起こるだが、さらに大きな壁となるのが人の心(先入観や偏見)である。第I章では、宇宙論が神話から、そして宗教から解き放たれて進んできた様子が、詳述されている。現在の我々からすると、なぜ天動説から地動説に切り替わるのにあれ程時間がかかったのかと思いがちであるが、宗教的な面よりも観測データに合わないことや重力の説明がつかなかったこそが、大きかったことが分かる。
それゆえ、近代科学はニュートンの登場を待たねばならなかったのだ。しかし、それですべてが終わったわけではない。それまでの常識を覆し新たな権威となった人は、わずかな矛盾に目をつぶり自説に拘泥しがちである。多くの天才たちもまたそれを逃れることができなかったことが分かる。さらに、現在に至っても政治や国家といった障壁が消えたとは言えない。 現在に近づくにつれ、科学者一人一人の人柄にも触れ、社会情勢の中で翻弄される姿も語られ、そのスリリングな話運びに捕らえられて、一気に最後まで読まないではいられなかった。科学が理論と技術、観測・実験が三位一体となりながら発達していく壮大なドラマが味わえる。 著者サイモン・シンの素晴らしいところは、過去の科学者たちに対する優しい眼差し(尊敬の念)である。現在の知見を持つ我々が、過去の科学者たちの誤りを一笑に付すことは簡単である。しかし、この本を読むことで、それぞれの時代が持っていた条件を考えれば、彼らが当時の最高の知性であったことが納得できる。 |
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