コメント・書評 |
不思議な安らぎと懐かしさを感じた作品。谷口ジローの絵の雰囲気が、とても素敵です。
東の風
Nov 6, 2009 6:15:07 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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忘れ難い漫画『孤独のグルメ』(扶桑社)でタッグを組んだふたりが、自分の好きなようにのんびりと歩く散歩の面白み、散歩の楽しみをテーマに描いた作品。一話八頁の作品が、全部で八つ、収められています。「エジソン電球」「品川の雪駄(せった)」「古絵本」「ヒッピー祭り」「真夜中のゴーヤ」「犬と軟球」「ハーモニカ横町」「目白のかき餅」の八つの話。
話の主人公は、東京の吉祥寺に住んでいるサラリーマン、上野原(うえのはら)。彼が東京界隈をぶらりと歩くうちに、なんか面白そうな店を見つけて立ち寄ったり、妙に心地よい路地裏の魅力を発見したりするという、ただそれだけの話です。ただそれだけの話なのに、これがいい味出しているんですね。東京にまだ、こんな店や空間が残されていたんかなと。ホッとするのとともに、不思議な安らぎと懐かしさを覚えました。
巻末の「原作うらばなし」で久住(くすみ)昌之が語っているとおり、作画・谷口ジローの絵のタッチ、雰囲気を持った絵の魅力が素晴らしいですね。なかでも、「第五話 真夜中のゴーヤ」の中、主人公が歩く夜の町の絵は見事だったなあ。人みな寝静まり、明かりがぽつぽつと灯る通りの絵が、詩情をたたえて描かれている。本の中にすーっと誘いこまれるような気持ちに気分になりました。
残念だなあと思ったのは、セリフの字がちっちゃくて読みづらかったのと、絵の魅力はやはり薄まってしまっているんだろうなってこと。文庫版サイズに縮小している本の制約上、これはどうしても仕方ないことなのですが・・・。逆に考えれば、オリジナル本を大幅に縮小していながら、これだけの絵の魅力、絵のたたずまいが残されているのは貴重なのでしょう。八つと言わず、せめてあと四話くらい、作品を読みたかったなあ。それが一番、残念だったかも。 |
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