コメント・書評 |
「泣く子も笑う!」だけじゃない。大人のカタイ頭をやわらかく、カタマッタ顔を笑顔にしちゃうんです。
wildcat
Oct 5, 2009 11:32:38 PM
|
評価 ( ★マーク )
★★★★★
|
「だ る ま さ ん が」の次はなーんだ。
・・・
・・・
「こ ろ ん だ」しか思いつかない、そこのあなた!
想像力が枯れてませんか!?
といいましても、ワタクシもそんな頭のカタイ大人です。
たまにほぐしてやらないと、 頭も顔もカッチカチになってしまいます。
これは、ファーストブックだから、赤ちゃん用だと思うでしょう?
いえいえ、それだけじゃないんですよ。
ここには大人の凝りをほぐす力があるんです。
本書に出会ったのは、『この絵本が好き!2009年版』がきっかけでした。
この『だるまさんが』は、国内絵本の第2位だったのです。
本書の他に、『ふしぎなでまえ』、『だるまさんの』、 『なつのおとずれ』の評価も高く、 かがくいひろしさんご自身も、「絵を描いた人」の第2位でした。
『だるまさんが』、『だるまさんの』、『だるまさんと』は、ファーストブック3部作。
3冊とも絶妙のリズム感と語感を持っています。
「だるまさんが」の次には、擬音語、擬態語しか来ません。
「だるまさんの」の次には、一文字の名詞しか来ません。 (最後はオチが付いていますが。)
「だるまさんと」は、お友達が登場します。
リズムの関係上、お友達の名前はだるまさんと同じ文字数なんです。
やっぱり、擬音語、擬態語が大活躍です。
そうですねぇ。リズムの違いを例えると、こんな感じです。
「だ る ま さ ん が/の/と」は、一定のリズムの「ポク、ポク、ポク、ポク、ポク、ポク」なんです。
ページをめくると、「チーン」なんですよ。
ここで、聞き手の反応を見たりしながら、余韻を楽しんで、 また次に行くのです。
テキストはシンプルですが、見せる/魅せる工夫は、 シンプルな絵本ほどやりがいがあり、奥が深いのだと思います。
だるまさんの表情豊かな絵と簡単が言葉だけで、 日本語の奥の深さとか、おもしろさとか、あたたかさとか、 みーんなみんなつめこんでいる気がします。
この言葉遊びは、 語順や語形の違いで、主格、所有格、目的格を表す言語にはできない、 日本語らしい遊びなんだぞ!!・・・ってちょっと嬉しくなります。
(タイピングミスを助詞で多発している悲しさは、ここでは不問。)
豊かな擬音語擬態語は日本語だけです。
(英訳するときに結局単純な動詞しかなくて悔しい思いをすることも、ここでは忘れる。)
おもしろいのは、言葉だけではありません。
本書のだるまさんは、今までのだるまさんのイメージをひっくり返しました。
ひっくり返ったけれど、転んでるだけじゃないんです。
だるまさんは、カタイと思っていませんか?
ところが、違う音がします。
もっと質感があって柔らかい音です。
だるまさんは、実は、伸縮可能で、恥ずかしがり屋です。
表紙のだるまさんはいつも赤面していますでしょう。
ちょっといたずらが好きで、お友達も好き。
助詞はまだまだあるし、擬音語擬態語だって、まだまだある。
3部作といわず、まだまだ、出せるよねと思うのですが・・・。
残念ながら、本書は、3部作のままなのです。
著者は旅立ってしまわれたから。
このニュースを知ったのは、インターネット上でした。
関連記事のリンクで、インタビュー記事をはじめて読みました。
笑顔がとっても素敵な写真が掲載されています。
人形劇をなさっていたのですね。
リズム感は、そこから生まれたのだと思いました。
50歳で講談社絵本新人賞。
きっと同世代の仲間のおじさんたちを大いに勇気づけたのではないでしょうか。
もっとたくさんの作品を読んでみたかったなぁと思います。
作品の表紙はどれも、まあるくて、あたたかいですね。
著者の笑顔とおんなじですね。
ファーストブックで使われるのは、 シンプルな言葉とわかりやすい絵ですが、 それでも、著者のお人柄は、しっかりと出るんだなあと思いました。
本書の読み聞かせをすると、子どもが笑って嬉しくて、 いっしょに笑って元気になると思います。
自分で黙読しても効果ありです。
くすっとするだけでもいいじゃないですか。
そこまでの元気もないほどに、疲れてしまったときも、 本書の一番最後のページを開いてみてください。
鏡があるとよいでしょう。
おんなじ顔をしてみてください。
おんなじ音を出してみてください。
そうしたら、頭が疲れていても、心が疲れていても、 ほぐれていくのではないでしょうか。
|
|
|
| 現在の投票
はい:7人(100%)
いいえ:0人(0%) |
|
|
|