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さよなら、そしてこんにちは

さよなら、そしてこんにちは(光文社) 荻原 浩著
税込価格: ¥1,575 (本体 : ¥1,500)
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出版 : 光文社
サイズ : 20cm / 244p
ISBN : 978-4-334-92574-1
発行年月 : 2007.10
利用対象 : 一般

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内容説明

テレビ番組の健康コーナーを日々チェックしながら仕入れに追われる、スーパーの食品売場責任者。若い妻と愛娘にクリスマス・パーティーをねだられる住職…。プロフェッショナルの悲哀を描く短編集。

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コメント・書評

ああ、はずかし、この人生。されどカッコヨシ。
空蝉
Jul 27, 2009 1:59:58 PM
評価 ( マーク )
★★★★★

人生、生きていればいいことも悪いことも半分半分、いやもしかしたら良いことなんて嫌なことのさらに半分もないのかもしれない。世の中には数えきれないほどの職業があり、一生縁がない職種がほとんどで、このせわしい世の中、自分のことで手一杯になっている私たちは、人それぞれに苦労があるように職種それぞれにも独特の苦労があるということを忘れがちだ。
どんな人だって喜怒哀楽をもち、どんな人生にも哀愁湛えるドラマがある。
これはそんな彼らの、もしかしたら私たち読者のうちの一人を描いた人生劇場、ほんのワンシーンを連ねた短編集である。

涙もろい上に笑い上戸で、娘の成長を空想することで必死にポーカーフェイスを守る葬儀屋。
特撮のレンジャーもののお兄さんに人知れず熱を上げる隠れファン専業主婦。
不登校になった息子とそのために引っ越してきた家族の、田舎暮らしのドタバタ劇。
腕に自信があるのに客も取材も入らない昔気質のすし屋の親父。
スローフードのいい加減な取材に本音を叫べずフラストレーションだらけの料理研究家。
スーパーの明日の陳列のネタを先取りせんと、TV局関係者のコネ取りに奔走する店長。
愛する妻と娘のためにXmasをサプライズせんとこそこそ奔走する寺の住職・・・

つまり、人にはおおっぴらに出来ないちょっとした、けれど本人にとってはものすごく重要な秘密をそれぞれ抱えている。
彼らはどれもありふれた、けれど全く関係のない職業で、抱える問題も全く違う。けれど、言ってみればその職種に、立場にあるまじき秘密を抱えていて、それでもなんとか頑張っていこうと必死になっているのには変わりない。
「みっともない」「いい年をして」「それでもお前は○○か!」
と世間様に後ろ指指されようとも人にはどうしても譲れないものがある。人には治せないこともあれば、どうしようもないこともある。 人間だもの(笑)
ああ、いじらしい!なんてかわいい! わかるわかる、そうなんだ!
そんなエールを送りたくなる、もしくは一緒に涙してみたくなるちょっとした、けれど重大な小さな事件がここにある。
彼らの思いは報われることもあれば悲しみに打ちひしがれることもある。円満に解決したり崩壊したり、人生色々、男も色々、女も色々、職業も、立場も、大人も子供もみんな色々・・・それぞれが他人(ヒト)知れぬ思いを込めて悶々と悩みながら生きている。きっとその先に進むことは必ずしも楽なことばかりではないし辛いことも多いけれど、それでも進めるのは哀しき「さよなら」があればその先に新しい「こんにちは」があるからだ。

彼らは可愛そうな自分を必死に隠す。顔で笑って心で泣いて、例えば家族のため、愛する恋人や友人、自分のプライドや大切ななにかのために。カッコいいじゃないか!
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