コメント・書評 |
執着と、純粋の、紙一重の差を描く秀作
mayumi
Jul 7, 2009 9:45:52 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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タイトルで、江戸川乱歩の「人間椅子」を想像したのだが。 それは、近くて遠かった。
主人公は、生まれついての影の薄い男。 物語の合間、合間に、存在感が薄かった故のエピソードがはさみこまれるのだが、なんというか圧倒される。限りなく0に近いような存在なのに、妙な圧迫感がある。 それは、彼が抱えている閉塞感なのだろう。
ともあれ、彼は昔一度一緒にコーヒーを飲んだだけの女性に執着する。 その執着の仕方は、不気味だ。異様なのに、そこにある気持ちは純粋である。彼女への彼の思いは、澄み切っていて曇りもよどみもない。
が、純粋すぎる水の中では、生物は生きていけないのだ。
そういう意味で、主人公が熱帯魚屋を営んでいるのは、皮肉である一種のメタファーなのかもしれない。
執着される彼女は、彼女で問題をかかえていて、それが暴発し、その場に彼が居合わせたことで、物語は悲劇的に終わる。 が、不思議な爽快感があった。
不気味なのに、心地いい、妙な作品だった。
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