コメント・書評 |
おおらかな時間SF、ではないでしょうか。辻褄合わせに汲々とする作品が多いのですが、それは本末転倒。やはり話が求める時間、というものがあります。それがうまく合った稀有な例。日本の古代史が大嫌いな私ですが、今回は素直に脱帽です。
みーちゃん
Jun 20, 2009 8:13:40 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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恐るべきレベルの高さをもった作品で、出版された年にこの作品を読んでいたら、私のその後の読書計画は大きな変更を余儀なくされたにちがいありません。無論、時間SFのもつ難しさはあります。でも、私が読む限り、小川はそれを矛盾なく描くことに腐心してはいない、そんな気がします。
むしろ、小川は辻褄合わせに気づかうよりは、そこは軽く飛ばしてでも自分が書きたいことを書く。時間SFというのは、それを描く手段であって、けっして目的ではない、私は小川の姿勢をそう読みましたし、そこを評価したいのです。SF読みでもない私がいうのもナンですが、ハインライン『夏への扉』に匹敵する作品が、初めて日本にも現れた、私はそう言いたくなってしまいます。
舞台は各章のタイトルに見るようにいくつかの時代、場所を動きますが、基本は西暦248年の耶馬台国です。小川はここで邪馬台国畿内説を採っているようですが、時間SFという頭がこちらにあるせいか、それが取り立ててどう、とは思いません。今私たちがいる時間とは別の流れ、という風に思えるからでしょう。
主人公は女王・卑弥呼 彌子です。年齢ははっきりしませんが、20代半ばでしょう。処女、と断りがあります。で、彼女の従者で彼女を慕うのが14歳になる幹という少年です。で、お供一人を連れて海を見に行った二人が、見たこともない怪物に襲われます。そこに忽然と現れ救ったのが“使いの王”ことオーヴィルです。
オーヴィルは2300年後の世界から、自分が愛した女性サヤカを救うために過去に時間航行したメッセンジャーと呼ばれる知性体でした。彼らは人類が知識化したほとんどすべての情報を保持し、かつ太陽系奪回軍の参謀総長である知性体サンドロコットスのバックアップを受けています。
オーヴィルが最初にたどり着いたのが西暦248年の日本、というわけではありません。彼らは未来の地球を破壊することになった増殖型戦闘機械との戦いに相次いで破れ、最後にたどり着いたのが卑弥呼のいる世界でした。無論、もっと過去に遡ることも可能ですが、どうもこの世界こそが攻防の鍵を握る、そういうことになります。そして・・・
私の大好きな恋愛ドラマが始まります。そして二人の間に立ちはだかるのが、伊支馬こと高日子根です。この男がどのような存在であり、またカッティがどのようなものであるかは、小説を読んでお確かめください。
Cover Designはハヤカワ・デザイン、Cover Illustrationは撫荒武吉、カバー後についている内容紹介は
西暦248年、不気味な物の怪に襲 われた耶馬台国の女王・卑弥呼を 救った“使いの王”は、彼女の想 像を絶する物語を語る。2300年後 の未来において、謎の増殖型戦闘 機械群により地球は壊滅、さらに 人類の完全殱滅を狙う機械群を追 って、彼ら人型人工知性体たちは 絶望的な時間遡行戦を開始した。 そして3世紀の耶馬台国こそが 全人類史の存亡を懸けた最終防衛 線であると――。期待の作家が満 を持して挑む、初の時間SF長篇
で、書き下ろし作品だそうです。時間の流れがよくわかる Contents を写しておきます。
Stage-448 Japan A.D.248
Stage-001 Triton A.D.2598
Stage-448 Japan A.D.248
Stage-002 Earth A.D.2119
Stage-448 Japan A.D.248
Stage-003 Oulu A.D.1943
Stage-448 Japan A.D.248
Stage-004/410 Laetoli B.C.98,579
Stage-448 Japan A.D.248
Stage-Ω Japan A.D.2010
以上です。
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