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回想の太宰治
講談社文芸文庫
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コメント・書評 |
回想というより記録集といった感じがする
JOEL
Jun 10, 2009 12:36:25 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★
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太宰のもっとも近くにいた人の回想録なのだから、よほど太宰の人となりを知ることができるものと期待した。節目節目にどういう言葉を発したのか、どんな表情を浮かべたのかなど、太宰像がくっきりと立ち上がることを願って。
ところが意外や意外、本書はまるで太宰に関する淡々とした記録集のような感じになっている。筆致は極力抑えられ、身の回りにどういうものを置き、どういう行動をとったのかなどが克明に記してある。これだけのものが残せるとは、よほど聡明な奥様だったのだろう。
でも、太宰ファンにはいささか物足りない。やはり、太宰という、その人を知りたいものだからだ。奥様が太宰について触れるときには「太宰は・・・と思う」、「太宰は・・・だったに違いない」など推量が多い。そばにいる奥様にも、思ったほどその時々の心情を吐露してはいなかったのだろうか。
太宰の故郷である津軽へ帰ったときの様子など、非常によく観察し、記録している。研究家には貴重な資料となりうる。
『駈込み訴え』を奥様に口述筆記で、少しも言いよどむことがなく言い終えたところに太宰の天才ぶりを見ることになる。ただ、奥様の姿勢は一貫して情に流されず、淡々としている。あたかも自然観察者のように。
太宰が文筆家のわりには蔵書を持たず、井伏や亀井勝一郎などに借りるところが多かった点など、新たな発見となった。私にとっては、作家は蔵書で埋もれているイメージだったから。
太宰は、天性の作家だったのがよく分かった。ほかの作家と比較されるのを好まず、自己愛的である。この点は、奥様の書きぶりからもうかがえる。
本書は、本書で味わいがあるが、太宰の作品を読み、評論を読み、この回想録を読み終えても、まだ未消化なものが残った。その渇望は檀一雄によって解決されることになる。 |
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