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ショコラティエの勲章
ミステリ・フロンティア
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コメント・書評 |
スイーツが好きな方にも、そうでない方にも、それぞれに楽しめるミステリーです。
拾得
Apr 24, 2009 11:46:09 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★
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書名と版元名とから、「スイーツを素材にしたミステリーか」とまではすぐに想像できる。しかし、では具体的に「甘い物」の何がどう謎解きになるのか、までは思いつかなかったので、スイーツには詳しくないにもかかわらず勇気を出して手にとってみた。実際、文中に出てくるお菓子の名称があまりわからなかったので、やっぱり蛮勇だったのだろう。 内容は、「有名菓子店を舞台に、愛憎入り乱れての殺人事件が・・・」といったものであれば、2時間ドラマでもお目にかかれよう。しかし、その「何でもあり」のごった煮は上手に回避して、スイーツそのものに由来する謎の提供を試みている。おそらく、「日常の謎」派に括られるスタンスといえるだろう。 本書の語り手・進行役は、老舗和菓子店「福桜堂」の売り子の絢部あかり、20代半ば。父親は同店の工場長。そして、本書の実質的な主役といえるのが、その2軒先にある「ショラドルイ」の長峰シェフ(中年?)。あかりは洋菓子を好み、長峰シェフは和菓子を好む、というスイーツを通した引力が、ご近所さんをこえて二人をつなぐ。最初の「万引き事件」をのぞき、扱われるのは事件というよりも、菓子と人をめぐる「謎」である。結婚祝いに送られたケーキ、ある糖尿病患者のチョコレートへのこだわり、などなど。スイーツは甘い。しかし、その裏にひそむ人の性や人間関係は決して甘くはないのである。第一話を「菓子は何も語らない。 だが菓子は、いつも人に何かを問いかけ、心の裡(うち)を語らせる」と締めているが、まさにその通りに話が展開する。 探偵役といえるのは長峰シェフで、二人が協同もするわけだが、シェフ自身も謎の対象といえよう。様々な側面が少しずつ明かされてはいくものの、なぜショコラティエになったのかという来歴を含め、むしろその姿は謎めいていく。と同時に、菓子職人としての魅力と気迫とはますますはっきりしていく。また、あかり自身の「和菓子職人の娘で洋菓子好き」という、ややこしい立場も本書では十分に活かされているわけではない。この二人の「心の裡」があかされていくのは、次作に乞ご期待というところか。 「スイーツ」にくわしければ、もっと楽しめるのだろうし、ここでもうまく紹介できるのかもしれないが、さほど関心がない方でも十分に楽しめるということでご容赦を。
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