コメント・書評 |
どの視点からでも感情移入できる一冊。
オレンジマリー
Apr 24, 2009 12:38:32 AM
|
評価 ( ★マーク )
★★★★★
|
久しぶりに、続きが気になる、気になって仕方が無いっていう書籍に出会った気がする。 地下鉄の中、授業中の休憩時間、寝る前のひと時、いたるところでどんな時でも本書を 開いては、没頭した。どの視点からでも感情移入することができる珍しい一冊だと思う。
始まりは、痛ましい事件の幕開けからだった。 そこで起こった不思議な出来事から展開される、さまざまな事。妻である直子の気持ち、 娘としての立場の気持ち、そして夫である平介の言いようの無い嫉妬心。 自分がこの登場人物の立場だったら…やはりこう思うだろうという流れなので、妙に リアリティがある。平介の、色んな事に対する心情が、対応が、一般的なのである。 だれもがそう思うだろうね、言うだろうなっていうポイントを突いている。
そして吹き出してしまった箇所があった。 平介が札幌に行った際に時計台を見た時の感想である。ああ、私も正しく同じ事を 感じていたっけと懐かしくもあり、可笑しくもあった。知っている地名や場所が 出てくるだけで、その情景が脳裏に浮かんできて面白さが増す。自分が辿った道のりを、 平介も物語の中で辿り、同じことを思っているというのは妙な感覚だった。
そして娘の成長。 それと共に失っていくものがあり、心が痛む。 いつしか娘は高校に入り、当たり前の事だけど色んな経験をしていく。 そんな輝かしい青春時代を送っているのを見届ける、平介の心情と取ってしまった 行動、読者としては複雑ながらも納得がいってしまう。
平介が努めて誠実にしている姿、それに報いようとしている妻、直子。 様々な葛藤が渦巻き、そして苦悩して、逃げ出したくもなり、苦渋の決断を下す。 物語の終盤では、うっすらと読んでいる字が滲んできたくらいだった。 それが一番の道だろう、だけど苦渋の選択だねと同情してしまう。 そして途中で発生した謎解きも面白い点の一つだと思う。
映画にもなったという名作。 東野圭吾の作品の中でも本書は読者に近い、現実味の中で味わえる面白さを体験 できる一冊だと思う。本書をきっかけに東野圭吾の書籍を買うようになったという 友人も結構いたくらいである。 |
|
|
| 現在の投票
はい:4人(100%)
いいえ:0人(0%) |
|
|
|