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おせっかいなゴッドマザー
創元推理文庫
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コメント・書評 |
シンデレラの妖精は、ニューヨークでは困りもの
うみひこ
Nov 29, 2008 6:08:21 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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金曜日の夜、会社主催のクリスマスパーティで初めて気持ちを打ち明けあったカップルが、次の日のブランチの約束をする。土曜日、待ち合わせのコーヒーショップで、どきどきしながら彼を待っていると、ふいに向かいの席に、ディズニーのシンデレラの魔法使いそっくりの「フェアリー・ゴッドマザー」なる人物が現れて「はーい、お待たせ、この恋は任せて」と、言ってきたら、あなたならどうするだろう。あなたが魔法世界の住人でなくても、ちょっとそれはいらぬお節介と思うだろう。いいから、ここから先は私たちに任せておいて、向こうへ行って、と。でも、お人好しで幸せな気分になっているこの物語の主人公ケイティは断り切れなかった…。 このフェアリー・ゴッドマザーって、何者?と思われるだろう。外見は、ディズニーのシンデレラに出てくる、あの典型的なちょっとふっくらした魔法使いのおばさんを思い描くと良いようだ。でも、彼女は魔法使いではなく、文字通り、名付け親の妖精。そう、元々はグリム童話の『眠り姫』に出てくる、悪い魔女のかけた魔法は解けなかったけれど、代わりに百年の眠りの魔法をかけて姫の命を助ける名付け親の妖精のことなのだ。けれども、このニューヨークの魔法世界では、どうも独自の魔法で恋人同士を結びつけるシンデレラ型の妖精としての役割を担っているらしい。しかも、なんだか、はた迷惑な古いロマンス観の持ち主のようなのだ。 ニューヨークで魔法を作る会社で働く、まるきり魔法にかからない特殊体質=イミューンであるケイティは、やっと研究職の大魔法使いの男性のハートを射止めたところ。でも、魔法界はまだ、黒魔術使いの一派との闘いが続いていいるので、なかなかこの恋は発展しない。今回のデートも、彼が会社に呼び戻されてお流れになってしまう。そんな二人を取り持とうと、ゴッドマザーがいらないお節介を焼くから、デートの度に二人は、奇妙な事件に巻き込まれてしまう。彼の両親に招かれて、郊外の村で過ごすという、ロマンチックかつ緊張する夜も、なんだか調子が狂っていく…。 初めてのクリスマスプレゼントを選ぶお買い物場面や、パパラッチも出現するようなセレブ御用達の高級レストランでのディナーやら、わくわくする大晦日の仮装パーティなど、いかにも、ニューヨークで暮らす普通のOLらしいケイティの生活が繰り広げられる物語の中に、ふいにグランドセントラルステーションの駅の地下に棲む龍の群が現れたりして、魔法世界がニューヨークの景色に入り交じって行く情景がたまらない。 ところで、この二人の恋人同士、はっきり言って、真面目すぎるのが玉に瑕のような性格なのだ。だから、読み進めていくうちに、ゴッドマザーでなくともお節介を焼きたくなるほどやきもきしてしまう。 そのせいか、どうやら二人の恋にも一波乱あって、次回はケイティの故郷テキサスが舞台になるらしい。田舎町での普通の生活の中に、隠された魔法世界がどのように現れてくるのか、その有様を期待しながら楽しみに待っていようと思うのだ。
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