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荒野

荒野(文藝春秋) 桜庭 一樹著
税込価格: ¥1,764 (本体 : ¥1,680)
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出版 : 文藝春秋
サイズ : 20cm / 506p
ISBN : 978-4-16-327040-1
発行年月 : 2008.5
利用対象 : 一般

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内容説明

恋愛小説家の父と暮らす12歳の少女、荒野に新しい家族がやってきた。「恋」とは、「好き」とは? うつろい行く季節の中で、少女は大人になっていく…。ファミ通文庫「荒野の恋」に第3部を新たに書きおろし1冊にまとめた。

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コメント・書評

その後は貴方のお気に召すまま
空蝉
Nov 21, 2008 9:22:47 AM
評価 ( マーク )
★★★★★

日記でも何でも、こうして文章に自分の気持ちを一度書き起こして読み返すとき、奇妙な違和感をかんじることはないだろうか?これほど伝えたいことがあるのに、あんなに沢山の気持ちと色々な『私』が混在しているのに、言葉にするとなんとあっけない、たった数えるほどにしかならないのだと、少しがっかりしたような安心するような寂しいような気持ちになる。
きっと女という生き物そのものが、そうなのだと本書にて思い知る。

幼き小学生から大人一歩手前の高校生へと成長する少女・荒野。そして書くこと以外全てに無関心、陽炎のような、しかしやたらと女にもてる恋愛小説家の父。荒野の同級生・悠也を連れ子に義母となった女・蓉子。

少年は荒野・・・アメリカ留学という自由をめざし少女もとを立ち、残された少女は彼に恋をしていたのだとようやく気がつく。純粋に慕っていた「おばさん」は父の愛人の一人だったこともようやく気がつく。彼女に好意を抱いた男子や女子の存在も、なにもかもが「少女」の成長にしたがってようやく降りか掛かってくる事実ばかり。追いかけるしか出来ない成長と中の少女はいつだって置いてきぼりなのだ。

12歳から16歳へ。様々な出会いと別れと経験を経て大人になっていく荒野が、私には・・・いや、全ての女性に等身大に感じられるに違いない。きっと誰もが同じ匂い、空気、色に染まったことが一度はあるに違いないからだ。

そしていつしか「少し大人」になった彼女は 「ただいま」ではなく「お帰り」と迎え入れるようになる。そのアルバムを辿るような彼女の物語が時には生々しく時には初々しく、少しむず痒くなるように感じられるからおもしろく、最終ページの後彼女がどのような人生を歩むのか?それは私たち一人一人の今後の人生から育つ想像力に委ねられるのだろう。そう思うとなんだかワクワクするのだ。

単なる成長物語ではなく、少年少女の青春物語ではなく、どこか等身大の自分自身としてこの物語を心に留めていたい。そう思わせる一冊である。
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