コメント・書評 |
この本の何よりの魅力は、破天荒な男、「陣内」でしょう
homamiya
Jul 1, 2008 1:16:45 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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グラスホッパーに続く、私にとっては2作目の伊坂幸太郎作品。 コレは面白かった!グラスホッパーはイマイチだったけど、あそこであきらめなくてよかった!!
5つの短編。それぞれの中での起承転結がきっちりと書かれているだけでなく、5つの物語が連動し、ある物語で「なんだろう?」と疑問に思った事が、別の物語の起承転結の中でうま~い具合に明らかにされる、という、つなげ方も見事。
この本の何よりの魅力は、破天荒な男、「陣内」。 わがままとも無神経とも言えるほど、自分だけの正義で動く男。友人いわく「あいつは常に何かを主張している」。 著者は、家裁調査官に取材したおかげで、当初考えていたのとちがう話になった、とあとがきで書いていたが、陣内の強引な、でも愛すべきキャラクターと、陣内が就く職業、「家庭裁判所の調査官」の仕事がうまくマッチして、陣内が発するこの仕事に対する考え方など、ストーリー運びにあわせて上手に披露され、面白い。
5つの短編は、年代が前後する。陣内が18or19歳の大学時代から、32歳の家裁調査官となっている時代まで、様々な年齢の陣内について、陣内の友人・知人が語るすすめかたになっている。 語り手となるのは、陣内の大学の友人・鴨居、家裁の後輩・武藤、1話目で知り合う盲目の青年・永瀬、瀬の彼女・優子。
皮肉でコミカルな文が小気味よく面白くて、爆笑ではなく、いちいち「にやり」と笑ってしまう。
●銀行強盗の人質となり、緊迫した空気。陣内が見事な歌声でそれを和らげる。 「前に観た映画で、同じような場面があったんだ」と言うから、友人・鴨居も、当然、繊細で美しい映画なんだろうと思い、「何の映画だ」と訊ねると・・ 「確か『死霊のはらわた』の二作目だ。『死霊のはらわた2』だったかな」
ここは、にやり、でしょう。
家裁調査官についての記述。
●飲み屋で「少年法は甘い」「調査官は少年を甘やかしている」とからむオジさんたちに、陣内は、少年は一種類じゃないから、いちがいに決めつけるな、と反論。それでも 「駄目な奴はどうやったって駄目なんだよ。更生させるなんて、奇跡みたいなもんだな」と言われるが、 「それだ」「そう、それだ」 「俺たちは奇跡を起こすんだ」 「少年の健全な育成とか、平和な家庭生活とか、少年法とか(略)全部嘘でさ、どうでもいいんだ。俺たちの目的は、奇跡を起こす事、それだ」 ・・・・かっこいい。 「そもそも、大人が恰好良ければ、子供はぐれねえんだよ」
そう言った陣内が 「奇跡?そんなもの起こるわけないだろうが。適当に少年の調査をして、報告書を書いて、どんどんやっていかないとキリがねえよ」とアッサリ転換。自分の発言に責任を持たないのは、日常茶飯事だ、というミニオチ付き。
だけど、陣内は奇跡を起こす。4編目の「チルドレンII」で、このセリフを実現する。 「チルドレンII」のこの奇跡と、5編目「イン」で、それより前の話で持たせられたある疑問の回答が示されるところが、いちばん好きだ。
2006年に源孝志監督により映画化されているが、DVDが出ている。映画も面白そうだ。 |
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