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そろそろ旅に
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コメント・書評 |
作家になるまでの道草珍道中
かつき
Jun 24, 2008 5:42:34 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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直木賞をとってしまうと、その後パッとしない作家が多いなか、 松井今朝子はまだ進化し続けています。 それまで歌舞伎や江戸文化の蘊蓄がうるさいところもあったのですが そういったところがさらりと物語に溶け込んでいます。
本作の題材は十返舎一九。 駿河の同心の息子だった彼が作家になるまでの 道草いっぱいの珍道中。
十返舎一九こと重田与七郎は、浪人から大阪の同心、 浄瑠璃の作者を経て、江戸で戯作者になります。 その間に大店の材木問屋、質屋の婿に入りますが いずれも自分の身の置き所がありません。
これらがすべて成り行き任せで 彼は心とは別の方向へ言葉を発してしまいます。 飄々と見えて、いつも自分の生き方に疑問を投げかけ 自分の身が疎ましく、鬱々としているのです。
読みどころは、彼が作家になるまでに すでに名を挙げている先輩たちの真似をしてみたり それを超えるためになにかをつかみ取ろうとしてみたり。 四苦八苦する様子を、まだ名を成してない、 同時代の滝沢馬琴や式亭三馬らとともに描いていきます。
馬琴はのちに一財産作り、士族の身分を買い取るほどになりますが 若いころの苦労が、そのとっつきにくい人柄とともに描かれています。 その物語も松井今朝子の筆で読んでみたい。
また江戸時代の版元、本屋の事情なども織り交ぜられ、 江戸文化最後の華やかな時代が感じられます。
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