コメント・書評 |
「ニート」への批判に基づく正しい社会理解に向けて
けんいち
Jun 11, 2008 11:51:24 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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いささか新書らしすぎるタイトルに乗れるのならそれが1番だし、そうでなくても、だまされたと思って一度手に取ってみてほしい。この新書は、時折あらわれる、新書とは思えないほどの内容が、新書のわかりやすさと値段で提供された、近年まれに見る、すぐれたものといっても過言でない。
何が優れているのか。
まず第一に、「ニート」という呼び方と、そう呼ぶメディア、さらには、とある現実の現象をそのように呼ぶことで社会的に位置づけようとするまなざしに対する、徹底的な批判精神と、その実践としての批判的検討が優れている。それは、どのパートにも言えることで、ここにはまず、言葉本来の意味で若年無業者への目線に立ち、その理解に努める姿勢がうかがえるし、さらに、わかりやすい理解の仕方ばかりが蔓延していくメディアへの危機意識とそれを表現していく社会学的説得力がある。
第二に、思いを1つにした3人による共同成果である点である。これはとりもなおさず、この3人が、持論を張るだけでなく、他の人びとがどのように若年無業者について語っているか、アンテナを張っていたことの証拠となる。というのも、この3人は旧知の仲ではなく、「ニート」をめぐるweb上のやりとりから出会い、本を作ることになったというのだから。しかも、そのこともあって出自を異にする3人が、それぞれの問題意識とスキルとを持って、「ニート」問題を論じ、いずれもきわめて水準が高いのだ。
これらを総合して、本書はすぐれた「ニート」論であると同時に、出色の新書でもある。それはとりもなおさず、本書がすぐれた書物であることにほかならない。どのような角度からでもニートに興味のある人は、ぜひ手に取り、一読してほしい本である。 |
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