コメント・書評 |
夢の中にいるような感覚の不思議なミステリー
ココロの本棚
May 27, 2008 3:18:53 PM
|
評価 ( ★マーク )
★★★★★
|
コンビニ強盗に失敗した伊藤は、気付くと見たことのない島にいた。150年もの間外界から遮断されてきた島の名は「荻島」。 嘘しか言わない画家。島のルールとして殺人を許された男。体重300kg、マーケットから一歩も動かない女性。そして、優午という名の喋るカカシ。優午は未来を知っている。知っているが未来のことは話さない。 その優午が殺されてしまう。未来を知る彼は、何故自分の死を防げなかったのか?
夢の中にいるような不思議な感覚。 伊坂さんの原点となるこの作品は、ファンタジー色の強いミステリーです。 島の住人たちは、夢の住人と同じように、リアリティのない世界の中で何も疑うことなく、淡々と生きています。 ふと、ミステリーであることを忘れてしまう穏やかな空間。ミステリーとしては非常にゆったりとしたテンポ。 基本的にスピーディーな展開が好きな私ですが、何故かこの独特の間に惹かれてしまうのです。 もちろん謎はしっかりと存在し、しっかりと解決されていきます。 ちょっとした会話の中や、何気ない行動に隠された伏線も見事。
肌に合う、合わないはあるかも知れません。 それは、「喋るカカシの存在を受け入れられるか」で判別がつくのではないでしょうか。 受け入れ、その世界に身をゆだねながら読んでいくと、素晴らしいミステリーと心の底からにじみ出るような感動に出会えるはずです。 予想を裏切る驚きと解決、期待を裏切らない展開(特にラスト)、両者のバランスがよく、読後はスッキリ。
タイトル「オーデュボンの祈り」に隠されたメッセージ。 伊坂さんの作品によく出てくる、人間の存在意義に対するアンチテーゼが、この物語の鍵になっている気がします。 |
|
|
| 現在の投票
はい:7人(100%)
いいえ:0人(0%) |
|
|
|