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人事の日本史  新潮文庫

人事の日本史(新潮社) 遠山 美都男著
関 幸彦著
山本 博文著
税込価格: ¥580 (本体 : ¥552)
出版 : 新潮社
サイズ : 16cm / 390p
ISBN : 978-4-10-116443-4
発行年月 : 2008.4
利用対象 : 一般

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コメント・書評

日本史を人事の側面から概観する
ドン・キホーテ
May 11, 2008 9:35:57 PM
評価 ( マーク )
★★★★

  日本の歴史を通して、気鋭の歴史学者が人事の側面から眺めてみようという書である。結論は昔も今も変わらないということになるのだが、史上の出来事を人事の面から見直してみようという興味深い試みだ。通して読んでみて、人事に関連する項目を洗い出した程度に留まっているのは物足りなかった。もう少し深堀を願いたいところだ。
 全体を古代、中世、戦国、近世の4つに分けている。古代では何といっても聖徳太子の人事が話題になる。抜擢人事の第一号だという。平安時代では菅原道真である。なぜ、九州へ流されて失脚したのだろうか。何と学者であった道真は学閥による人事に敗れたとのことである。
 中世では源頼朝の人事に焦点を当てている。頼朝自身はそれほどの兵力をもっていなかったが、有力な武将が御家人として従っていたので、磐石な基盤があったことになっている。人を引き付ける魅力と人心掌握術があったのであろう。人の使い方も巧みであったようだ。その一例は、京の下級役人であった大江広元を鎌倉へ呼び、政所別当に据えて幕政に当たらせた点であるという。
 戦国時代にも人事で見るべき歴史はある。上杉謙信、織田信長ともに肩書きには無関心ではいられなかった。謙信は肩書きを求めて関東管領になり、自身の権威を高めようとしたし、一見無関心のように見える信長も朝廷から太政大臣、関白、征夷大将軍のいずれかを差し出され、それを断らず、返答をしようとした矢先に明智光秀に殺害されてしまったという。
 近世になると、人事はより分かりやすくなる。江戸時代の官僚の出世コースが紹介されているが、鬼平こと長谷川平蔵は実在の人物であったが、父親が京都奉行であったが、自分は江戸町奉行を望んでいたようだ。しかし、ときの老中に嫌われてそれはならなかった。
旗本、御家人の人事をめぐる悲喜交々が読み取れる。出世と収入のバランスがとれないところが、この時代の特徴かも知れない。
 古代、中世は本人の能力もさることながら、門閥、閨閥が相当に重要だったことが特徴かもしれない。所謂家柄である。江戸時代まではどんなに能力があっても家柄がよくなければ、出世は叶わなかった。改革が進んで試験制度が導入され始めてからは、出自は問題にならなくなってきた。
 それでは現在の公務員登用制度が万全かといえばそうではない。キャリアとノンキャリアの区分などが課題となっているし、天下りはより緊急性のあるものだ。しかし、家柄とはまた別であるが、現在の公務員は公に仕えるという意識があまりにも薄く、責任性も希薄だ。能力とともに適性や意識の有無を厳しく問うてもらいたいものである。
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