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〈ウィジェット〉と〈ワジェット〉とボフ  奇想コレクション

〈ウィジェット〉と〈ワジェット〉とボフ(河出書房新社) シオドア・スタージョン著
若島 正編
若島 正ほか訳
税込価格: ¥1,995 (本体 : ¥1,900)
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出版 : 河出書房新社
サイズ : 20cm / 366p
ISBN : 978-4-309-62200-2
発行年月 : 2007.11
利用対象 : 一般

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内容説明

超反射〈シナプス・ベータ・サブ16〉の調査に地球にやってきた探検隊は、ある下宿に人類のサンプルを集めて観察を始めるが、彼らは皆それぞれに問題を抱えていて…。スタージョン的テーマが展開される表題作他、全6篇収録。

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コメント・書評

深い感動はありません。でも、面白い。どの話ももう一度読みたくなる、そういう本です。個人的には「必要」とタイトル作品がいいかな
みーちゃん
Mar 19, 2008 9:47:17 PM
評価 ( マーク )
★★★★

同じ出版社から以前でた奇想コレクションの一冊『輝く断片』が面白かったので、同じシリーズのこの本も読んでみようと思った次第。ただし、このタイトル、あまりにビミョー過ぎて、いかに色彩センスのいい松尾たいこのカバー画と、阿部聡の手になる全巻集めたくなる装丁でも、スタージョンの名前が無かったら手にしていなかったはず。

他の小説のタイトル、例えば『火星人と脳なし』のほうが売れる気がします。ま、スタージョン作品の不可思議さを強調するために『[ウィジェット]と[ワジェット]とボブ』というのも分らないではないんですが・・・

収められているのは六編。巻末の編者あとがきによれば、なによりスタージョンらしい独自性のある作品を選んだそうです。でも、スタージョンの他の作品を殆ど知らない私としては、独自性云々は全く関係なく、面白いかどうかだけが判定基準になります。ただし、短篇の宿命か、深い感動にいたる話は無かったかな・・・

とりあえず、全篇を訳者、初出とともに簡単に紹介しておきます。

・帰り道 A Way Home 若島正 訳 《アメージング・ストーリーズ》1953年4・5月号:家出をしたとき、ポールは幹線道路に出るまでずっとだれにも会わなかった、で始まるお話で、果たして少年の冒険は・・・

・午砲 Noon Gun 小鷹信光 訳 《プレイボーイ》1963年9月号:自分に自信をもてないジョーが付き合っているのは、二級品のネズミっ子のサラ・ネル。そんな彼の前に現れたブロンドの娘との会話が思わず弾んで・・・

・必要 Need 宮脇孝雄 訳 短篇集《Beyond》1960年:ニューヨーク州ノースナイアックの町で、なんでも屋の店主G・ノートの前に現れたゴーウィングは今日も突然、予想もしていなかった用事でノートを連れ出す。困っていた男を車に乗せてやれというのだが・・・

・解除反応 Abreaction 霜島義明 訳 《ウィアード・テールズ》1948年7月号(本邦初訳):大きなブルドーザーの運転手だったおれが今居るところはどこだ、いや、そもそもおれは誰なんだ・・・

・火星人と脳なし The Martian and Moron 霜島義明 訳 《ウィアードテールズ》1949年3月号(本邦初訳):発明狂の父親は、火星人と連絡を取り合うプロジェクトから突然、離脱した。平穏な生活に戻った僕の前に現れたのは、コーディリアという名の美女。思いがけなく彼女をパーティの会場から連れ出して・・・

・〈ウィジェット〉と〈ワジェット〉とボフ The [Widget],the [Wadget],and Boff 若島正 訳 《ファンタジー・アンド・サイエンス・フィクション》1955年11・12月号(本邦初訳):古い歴史のある町で下宿屋を営むサムとビティ。そこには自分を見出せない人が集まっている。美しさを武器に女優を目指す少女、身分違いの未亡人に恋する弁護士、銃に心惹かれる職業適性相談員、洋服にお金を注ぐ女、事件が起きた時自分がどういう姿でいるか気になってならない女、一人息子を気遣う母親・・・

編者あとがき 若島 正 

感動こそしませんが、どの話も好きです。例えば「帰り道」。S・キングだったらこれだけで100頁は書いてしまうかもしれません。地方だろうが都会だろうが、家出を決心した子供たちは、心のどこかで大人から「家に帰れ」と声をかけられるのを待っているものです。

アメリカらしさを感じるのは「帰り道」もそうですが「午砲」と「火星人と脳なし」でしょう。パーティとガール・フレンド、発明などは如何にも明るいアメリカ、映画の世界そのものです。

でも私が好きなのは「必要」と「〈ウィジェット〉と〈ワジェット〉とボフ 」です。何が起きているのかさっぱりわからないものの、話がどんどん進んでいきます。しかし、それは決してスラプスティックに展開するのではなく、静かに軟着陸する。スピルバーグあたりが映画にしたら、しっとりとしたいいものが出来そうです。

そういう意味では「解除反応」が一番弱い。話のスケールは大きいのですが、構造がシンプルなのと如何にもSFしているので、さほど心を動かされません。SF的な設定を利用していますが、どこか半村良の作品のような、この人は結局、人間を描きたいんだ、と思わせるところが好きです。人間描かずして何が小説か、ですよね。
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