コメント・書評 |
事故と労務に揺れる企業の実態を描いた力作
ドン・キホーテ
Feb 10, 2008 9:54:06 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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山崎豊子が自ら巻末のあとがきで書いているとおり、現実に起こったことをモデルとして小説を書くという山崎自身としては新しい技法でまとめた長編小説である。 出版後には新聞、週刊誌を初めとして相当な議論が巻き起こったようだ。それもそのはず、モデルは実在する航空会社、登場人物も実在し、ストーリーも実際にあったように描かれているからである。 誰しもそれは分かって読んでいるので、悪役として描かれている企業や人物が反発するのは当然である。本書では主役と悪役がはっきりと描き分けられている。主役に敵対する人々はすべて悪役である。名誉を毀損されたと訴える人がいても、不思議ではないという実感だ。文庫本5冊という超長編ではあるが、大きくはアフリカ編、御巣鷹山編、会長室編の3部に分けられている。 ストーリー展開だけを追うのであれば、これほど長編にはならなかったはずであるが、実際に起こった事実に基づいているという点を強調したかったのか、その都度出された新聞記事や社内文書などを丁寧に紹介しているので、このような長編になったと思われる。 一気に5巻を読み進んでしまったが、冗長感は免れない。途中で息が切れてしまった。しかし、これだけ読み手を引き付ける力はさすがだと思う。 インターネットのブログやホームページでこの『沈まぬ太陽』に関する批判や賞賛が縷々述べられているが、それほど大きな影響を社会に与えたといえよう。どこかのライターがその逐一を事実と突合せ、批判をしていたが、これは小説なので、突き合わせても意味がないことに気がついていないようだ。事実と異なっていても当然である。類似していても、それは偶然であると言われれば、それまでなのだ。事実と一致させれば、それは小説ではなく、ドキュメントになってしまう。 冗長ではあったが、企業小説を堪能した気分になった。小説での描写の真偽はともかく、現実には合併後も財務上の苦難を抱えつつ、さらに労務上の問題、安全上の問題と、どれ一つとして明確に解決できていない現状であることは、今後もいばらの道が続きそうである。
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