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凍りのくじら
講談社ノベルス
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コメント・書評 |
ああ、こいつは私だ。
四月ねずみ
Nov 30, 2007 3:38:07 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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ドラえもんのアイテムをたくみに組み込んで進んでいくこの物語は、1人でいても、皆といても行き詰まりを感じる主人公である理帆子が、ある少年との出会いによって、少しずつみんなとの繋がりに気付いていく・・・って筋 それは、とても読んでいて、痛みを覚えるような感性で書かれていて、面白い。けれど・・・
この物語には理帆子をストーキングする男・若尾がいる。 理帆子いわく、カワイソメダル(それをつけてる動物が、誰でも可哀想でたまらなくなる)をつけてる、SF(少し・不自由)な男。 そいつの書き方が、私にとって他人事だとは思えなかった。 若尾には夢がある。その夢に向かってするべき努力が足りなくて、でもそれに気付けないで、いつまでも回りに責任転嫁をしてる。 そして、自分では前進だと言い張りながらも、後退を続けてしまっている。
たとえば、気分転換にスロットを始めてみたり。 たとえば、見知らぬ女の子にナンパまがいの会話をしてみたり。 そういうことを理帆子目線で語られた時・・・なんだか、とても痛々しい。 理帆子いわく「不自由あらため腐敗」
中盤、若尾が安定剤をガリガリ飲み下したり、理帆子の友達を怒鳴りつけたりする場面。 どうしようもなく腐敗していく様に、思わずページを閉じたくなる。
元彼女にちっとも信頼されてなかったり、上手くいかなくてどつぼにはまり込んでしまう事って、意外にありふれた事なんだと思う。 それを、優しさの欠片も無い視点で語られてしまうと、同じくどつぼの渦中にいる身としては「ちょっ・・・待って下さい。もう少しだけ時間下さい」って叫びたくなる。
物語は若尾に対して最後まで救いを与えなかった。 若尾も許しがたい最低な事を仕出かすけれど、どうしても、この「少し・腐敗」してしまった男が今後、少しでも立ち直っているといいと願ってしまう。
読み返すたび、若尾はこのあと立ち直るんだろうか? いや、無理だろうと思って、がっかりせずにはいられない。
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