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ゴーレム100
未来の文学
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コメント・書評 |
私の中では最も長い書評かもしれません。それほどに凄いか、っていうと、ちょっと違うんですが、ま、問題作であることは間違いありません。いい映画になりますよ
みーちゃん
Oct 5, 2007 8:43:05 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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なんていうか、幻の本、とか、超問題作、っていう言葉にスッゴク弱いんですね、私。で、そういうものを出すのが国書刊行会、となると、やっぱりな、なんて思うわけですよ、ワタシ。で、単発ものかな、って思っていたんですが、未来の文学、っていう叢書のの第二期の一冊なんですね。なぜか、私はこのシリーズ、全然読んでいないんです。
で、他の巻がどうだったかは知りませんが、この本に限ればブックデザインがかなりいい。ハードカバーで角背でしょ、基本的には分厚い本には不向きなスタイルなんですが、この本はあえてそれを選択した。なんといっても、色合いがいいでしょ。赤が基調で重厚感があります。その印象は、世紀末なわけですね、私的に。
しかもですよ、開いてみれば分るんですが、この本て、中もデザインされていて、それは多分、原本をそのまま持ってきている。要するに、ジャック・ゴーガンのイラストも含めて一つの作品のわけで、装幀の下田法晴+大西裕二(s.f.d)も、製本会社のブックアートさんもやりがいはあったろうな、って思えるシロモンです。
これってベスターの意思の反映なんでしょ、きっと。その部分だけ取り出せば、絵本みたいなものでしょうが、決定的に違うのがお話の内容です。ほとんどスプラッターと言っていい連続殺人事件ですよ。映像化はほとんど無理というか、出来たとしても私は見たくないよ、っていうようなものです。
全22章の構成なんですが、これって舞台が22世紀であることと関係しているわけじゃあないんでしょうね。まそれはともかく、先ずはカバー折り返しの案内文を読みましょう。
「22世紀のある巨大都市で、突如理解不能で残虐な連続殺人事件が発生した。犯人は、ゴーレム100、8人の上品な蜜蜂レディたちが退屈まぎれに執り行った儀式で召喚した謎の悪魔である。事件の鍵を握るのは才気溢れる有能な科学者ブレイズ・シマ、事件を追うのは美貌の黒人で精神工学者グレッチェン・ナン、そして敏腕警察官インドゥニ。ゴーレム100をめぐり、3人は集合的無意識の核とそのまた向こうを抜け、めくるめく激越なる現実世界とサブリミナルな世界に突入、自らの魂と 人類の生存をかけて闘いを挑む。しかしゴーレム100は進化し続ける・・・・・・ 虎よ、虎よ!の巨匠ベスターの最強にして最狂の幻の長篇にして、ありとあらゆる言語とグラフィックを駆使して狂気の世界を構築する超問題作がついに登場!」
これに出版社の案内文をつければほとんど内容についてはいいかな、って思うので、ついでにそっちも引用。
「本書は、SF史に燦然と輝く傑作して名高い『虎よ、虎よ!』の 巨匠アルフレッド・ベスターの数少ない長篇の一つで、長らく未訳のままで邦訳が熱望されていた幻の問題作です。大量のグラフィック(楽譜からロールシャッハまで!)、そして無数の奇想・アイデアが詰め込まれた熱気溢れる異色のエンターテイメントであるとともに、30年以上前に書かれたとは思えないほどの"新しさ"をもった、ベスターSFの金字塔となっています。「未来の俗語にまみれた造語とダジャレ、言葉遊びの嵐。ほぼ全編が言語実験でありながら、謎の怪物を追いかけるアクション謎解き物語としての楽しさも失っていない。高踏的でありながら通俗。実験的でありながら娯楽作。軽薄でありながら重厚。そして強烈にして悪趣味。『虎よ、虎よ!』にあてはまったことが、相当部分までこの『ゴーレム100』にもあてはまる。」(本書解説より) -------------------------------------------------------------------------------- ずるずると刊行を延ばし読者の皆様にご迷惑をおかけしていましたアルフレッド・ベスターの幻の怪作『ゴーレム100』、ようやく出来上がりました(25日)。渡辺佐智江の超絶翻訳プラス山形浩生氏の渾身一万字解説つきの500ページ(音譜、ロールシャッハ他奇々怪々グラフィック含む)、定価2500円+税! 赤くぬらぬらしたGカバーが目印です。」
22章からなる本文「ゴーレム」と山形浩生の解説「すべての読者にとってすべてのもの――万能SFとしてのベスターと『ゴーレム』」、そして渡辺智江の訳者あとがきという構成ですが、内容紹介はこれ以上やりようがありません。SFミステリとして読めば間違いはないでしょうが、むしろ殺人現場を除けば、映画にしたほうがもっと楽しめるんじゃないか、なんて思います。
主な登場人物は11人です。
一人目がブレイズ・シマ、ジャップとして登場します。この世界は水不足が悪臭を招き、香水が必須とされる世界という設定になっていて、それゆえに香水産業というのは極めて重要なものです。で、シマは百社あまりの香水製造会社のなかで一人勝ちしているCCC(波形缶会社)に勤務しています。31歳で、出自はフランス人、日本人、アイルランド人ということなので混血なんでしょう。CCC売れ筋商品全てを生み出した天才博士です。で、彼は被疑者です。
二人目がグレッチェン・ナン、シマとコンビを組むことになる、20代後半の精神力学の大家です。なめらかな黒い肌と鋭角的な顔立ちをしたツチ族の美貌の王女で、奇跡を行うビジネスをしています。精神工学者で、彼女を呼び出すことはCCCという大会社の会長でも不可能なのですが、あっさりと登場します。
三人目、街に突然現れた残虐な連続殺人の犯人、百の手を持つものを追うのが、アディーダ・インドゥニです。名前の通り、インド人で、悪が蔓延る〈ガフ〉、すなわち〈北東回廊〉にある旧大ニューヨーク地区を含む警察管区のスーパダール(インド軍人のあいだでの高い地位を示す称号。西暦2175年ともなると世界のほとんどの警察部隊に配されていた)です。
残りの八人は八杷ひとからげ、女王蜂ことリジャイナと、リトル・メアリー・ミックスアップ、ネリー・グウィン、プリス嬢、サラ・ハートバーン、イエンタ・カリエンタ、双子のウジェダイとアジェダイがそれで、八人の蜜蜂レディと呼ばれています。ま、悪戯好きの有閑マダム連(未婚の女性もいますが)といった風情でしょうか。
で、ミステリではあるものの、中盤を過ぎるあたりから本の中でグラフィックなものの占める要素がどんどん大きくなっていきます。スターン『トリストラム・シャンディ』より過激、というか全く別ジャンルの(SFとかそういう文学的な分類ではなくて、小説、コミック、イラスト集、絵本といった区分け)のものに変貌していく様が面白い。そしてシマ・ファンにはなんともいえない結末が・・・ |
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