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配達あかずきん  ミステリ・フロンティア

配達あかずきん(東京創元社) 大崎 梢著
税込価格: ¥1,575 (本体 : ¥1,500)
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出版 : 東京創元社
サイズ : 20cm / 238p
ISBN : 4-488-01726-6
発行年月 : 2006.5
利用対象 : 一般

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内容説明

配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真…。駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の良いアルバイト店員・多絵のコンビが、さまざまな謎に取り組む。元書店員が描く本格書店ミステリ。

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コメント・書評

へい!おまち!本屋ミステリー
空蝉
Oct 1, 2007 9:08:10 PM
評価 ( マーク )
★★★★★

帯にある「書店ミステリ」ってなんだよ!?とつっこみつつ手に取ったが読んで納得。たしかにこれは書店ミステリだ(笑)舞台もカラクリもホームズ役も犯人・依頼人も、みんな本屋さんで、しかもその事件の鍵を握るのも本。一話読みきりのミステリー短編集だがどれも本を愛する人間が巻き起こす事件たちなのだ。
本といっても雑誌から小説、コミックスや写真集まで多岐に渡り、舞台になっているこの書店も大型ではなく駅ビルの一角の中堅書店、謎を解くのもバイトのお姉さんだ。しかしだからこそ身近に感じられ、何よりイメージが沸く。違和感が無い・・・そう、違和感が無いのだ、このミステリーには!
確かに出来すぎ、ありえないっていう話もある。しかしどの話も不思議と違和感無くすんなり素直に入り込めてしまう。きっとそれは、謎や事件が明確に提示されて私達がしっかり謎解きに入り込める、つまり夢中になれるからだ。
ミステリーの多くは「読者が思いもしなかった奇想天外な謎解き」が用意され、結末が意外であればあるほど賞賛される。しかしそれは時に私達の日常世界から切り離された異世界のような違和感、別世界のスクリーンを見ているかのようなしらじらしさを感じてしまうことがある。
ところが。この作品にはいわゆる「ちょっとイイ話」系のノリがあり、体験談やエッセイのような温かさや身近さがある。
例えば第一話『パンダは囁く』。書店員に本を探して助けを求めるという見慣れたワンシーン。既にそこから謎解きでもあるが(笑)病床の老人が求めているという本を意味不明のヒントをモトに探っていく、というお話。本屋において日常的な出来事が謎を呼び、その謎解きと展開においてなんとも面白く奇抜な発想を見せてくれる。
さて、私が一番好きなのは「標野にて~君が袖振る」。数年前に交通事故で死んだ高校生の息子の遺品にあった『あさきゆめみし』を買い求めそのまま行方知れずになった母を心配し、姉が書店に尋ねてくることから始まるこの事件。なぜ高校生の理数系の光源氏君がこんな少女漫画を読んだのか?母は何に気付いてどこに向かったのか?事件の真相に読んでる側は薄々気がつく、その謎解きの程度加減が絶妙だ。これをトリックが甘い、と切り捨てるのはナンセンスだろう。謎を解いても弟は生き返らないし別に殺人事件が暴かれるとかいう奇抜さがあるわけでもない、が「俺は光源氏じゃない」と真剣に突っぱねた彼の若き悩みが今ようやく理解され、その後日談にはいかな事件解決よりも得がたい人の繋がりが生まれている。

これを読んで本屋さんへ行こう。もしかしたら意外な事件が私を待っているかもしれない。
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