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僕たちは歩かない
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コメント・書評 |
これって完全に現代民話です。こうして古いお話はスタイルを今に改め生まれ変わり、継承されていく。語り部古川の面目躍如。映画にしたら、これまた素晴らしいものになるでしょう
みーちゃん
Feb 12, 2007 5:29:19 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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古川日出男が、あるジャンルの歴史を、それもとてつもなく奇妙な形のものを描く傾向がある作家だとは、彼の作品を出るたびに読んでは、言及している私ですが、今回はその歴史、というか伝承、昔話の形式をそっくり利用して、なんとも美しい物語を書いてしまったなあ、とまたまた感心してしまったわけです。 昔話によくあるように、この話も決して長い話ではありません。そして基本に、往きて還りし物語、というもう王道としかいいようの無いスタイルを持っています。そして、そこに異世界へのトンネルがあり、希望が、夢が、友情があり、助言者がいて、冒険があり、それを阻む障害が、脱落があり、と要素がてんこ盛りです。 にもかかわらず、それらが整理され、語りも饒舌というよりは押さえ気味であるため、古川の小説中でも一二を争う分りやすいものとなっています。要素は多くても、シンプルな内容なので、興を殺がないよう登場人物を中心に簡単に紹介しておくに留めましょう。 舞台は東京です。主人公は僕たち、どこから戻って来た調理師のタマゴたち。といっても、日本での板前修行をしている連中かといえば、もっとしっかりしていて、例えばカバヤマは調理師学校を優秀な成績で卒業して、そのご就職もしないで渡仏、向こうでパリの専門学校に入って、卒業後はそのままレストランで一年半修行して、そして東京に戻って来た男です。 それは、詳細は描かれはしませんが、京野菜の権威のキシタニだって、ランド地方で二年修行してきたテラワキだって、カネハラだってタケウチだって、マツシマだってホリミナだって似ていて、バスクやアヴィニョン、渡英経験にプロヴァンス帰りもいて、男も女もいます。 彼ら(僕たち)は、まだみんなシェフにはなれていなくて、厨房を任されているわけでもなくて、でも野心に溢れています。だから、僕たちはちょっと余った二時間で切磋琢磨する〈研究会〉を結成することになります。で、その場と言うのがカバヤマで言えば、山手線を一周するのに61分掛かるところを、二分余計に掛かった東京で見つけた厨房でした。 で、僕は結局、誰かではあっても、僕たちという集合体に吸収されながら、結局最後に戻ってくる人間の一人になるという、いかにも古川の話の主人公らしい存在であるとしかいいようがないのが新鮮で面白いです。そして、私はこの危うい世界を歩む若者たちの姿に、古川が決して狙っているわけでもないのに、思わず何度も涙を流すことになります。 どうして、そうなるのか。どこで心が震えるのか、是非読んでみてください。若いって、こういうことなんだよな、って納得するはずです。古い袋にいれた新しいお酒のおいしいこと。古川マジック、ここにあり。 画 星野勝之 ブックデザイン 片岡忠彦 1 僕たちは雪を食べる 2 僕たちは画家にごちそうする 3 僕たちは悲しい物語を知っている 4 僕たちは錆びた金属に運ばれる 5 僕たちはフードをかぶる |
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