コメント・書評 |
英雄に求められているものは
シノスケ
Oct 21, 2006 12:07:54 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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ヒーローや英雄と呼ばれる人々にも、当然ながらさまざまなかたちがある。十鬼島ゲンは自らの英雄性を否定することで銀河の人々を先導した。ベルガリオンは愛する妻のことを考え世界を救った。エルリックは次元を超越する魔剣ストームブリンガーと出会い、そして探求のために故郷メルニボネを旅立つ。それは自らの良心に基づく旅路だ。そして、先々で待ち受ける困難が彼の人間性を浮き彫りにしていく。 エルリックは苦悩し、自らの力に酔いしれもするし、義憤にかられ剣を取ることもある。そんなエルリックは、実は一般人と変わらない部分が多いようにも見えるのだが、それでも彼は奇形だ。それは彼が白子ということでもないし、半神に近いメルニボネ人であるということでもない。もちろん、薬を手放せないほどの虚弱体質なのだが、普通の人間の目には強大な魔術と黒い魔剣を使いこなす人ならざる人として写る。自らの求めるもののために、相反する力を借りなければ生きながらえることもままならない二律背反する状況にもあるエルリック。まさにアンビバレントな存在である。そんなストームブリンガーの混沌に頼らなければ成らない二律背反な状況が、いっそう彼の葛藤を暗澹たるものにする。活劇シーンも書き込まれた魔術シーンも実に鮮やかだ。悲劇と叙事詩的で壮大なファンタジー世界を融和させ、エルリックというヒーローの葛藤を見事に描いた名作。 |
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