コメント・書評 |
涙もろい凡人坂木・引きこもり探偵鳥井のコンビを楽しむ
かつき
Aug 21, 2006 1:35:13 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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著者と同姓同名の「坂木司」を語り手とした安楽椅子探偵ミステリー。探偵役は、引きこもりの友人鳥井真一。 坂木司は、鳥井のために生きているようなもの。比較的自由な時間の取れる外資系保険会社に就職し、毎夜、彼の元に通い話し相手になり、週に一度は近所のスーパーマーケットに誘い出します。 鳥井もまたクールな性格なのに、涙もろい坂木が泣けば、シンクロして泣き出す。情緒不安定なのですが、それでも重篤なトラウマを抱えた彼が、シンクロするということは、内面ではかなり依存度が高いといえます。 この奇妙なふたりが日常のミステリーを解決する連作短編集。 鳥井が受けた傷、彼が発する心の傷を吐露するシーン、また彼が坂木によって癒されるシーンや、坂木が彼にとって絶対の存在であることを叫ぶなど、現代の繊細な若者を癒すモチーフがてんこもりです。 描かれるミステリーもまた、人間関係に疲れた心理を深く探るようなもの。本書で癒される人も多いんだろうな、と思います。私はほとんど理解できなかったけれど。 さらに著者は覆面作家。同姓同名の登場人物を男性に描いていますが、おそらくは女性でしょうね。このふたりの関係はボーイズラブっぽい。男性作家には書けないでしょう。 また、ふたりの同級生で、今は警察官になっている滝本孝二と、その部下小宮のコンビも登場。男性ばっかりな小説。 「夏の終わりの三重奏」 坂木と鳥井は週に一度行くスーパーマーケットで、美人だけれど化粧の濃い女性と知り合う。鳥井は彼女が故意に近づいてきた、と予測する。果たしてその通りになる。 「秋の足音」 坂木は通勤途中、ハンサムな視覚障碍者塚田と知り合う。しかし彼の後をつけている第三者がいることに気づく。 「冬の贈りもの」 前回「秋の足音」で知り合った歌舞伎役者安藤に、ファンから不思議な贈りものが次々に届く。匿名ではあるが、手紙が後日、必ず届く。やめる、と言いつつ、贈りものは続く。 「春の子供」 坂木は、駅のロータリーで迷子の子供と知り合う。彼が持っていた住所のアパートに行ったが、誰もいない。子供はほとんど喋らないが、おとなしい。なんとか鳥井も受け入れてくれそうなので、昼間は彼に預けることにする。 「初夏のひよこ」 おまけのような短編。本書の登場人物のその後をさりげなく追う。 |
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