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第1感
「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

第1感(光文社) マルコム・グラッドウェル著
沢田 博訳
阿部 尚美訳
税込価格: ¥1,575 (本体 : ¥1,500)
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出版 : 光文社
サイズ : 20cm / 263p
ISBN : 4-334-96188-6
発行年月 : 2006.3
利用対象 : 一般

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内容説明

「第六感」という言葉は、理屈で理解可能な、身体的な五感の優越を前提として、理屈を超えた六つ目の感覚を想定している。しかし、五感に優越する、誰もが心の底のどこかで抱いている、第1感が存在することを検討する。

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コメント・書評

【ピン】ときた気持ちを大切に
arayotto
Aug 9, 2006 6:01:30 PM
評価 ( マーク )
★★★

アイデアや流行、行動が一気に広がる劇的瞬間「ティッピング・ポイント」について著したマルコム・グラッドウェルの新作が出ました。
「最初の2秒のなんとなくが正しい 第1感 blink」です。
タイトル通り、最初になんとなくピンと来た第一印象が案外正しいものだ、ということが書かれてあります。
そのなかにこんな話が紹介されていました。
ある美術館に持ち込まれた、完璧な保存状態のギリシャ彫像。
14ヶ月の綿密な調査によって、紀元前6世紀の本物だと確信した美術館は購入を決めます。
しかし、それを見た美術史家らは、ピンと来ました。
どこかおかしい。理由は分からないが、本物ではないという直感的な反発がありました。
再調査の結果、贋物であることが判明しました。
14ヶ月に渡る綿密な調査よりも、最初の2秒の第1感の方が正しいことが証明されたのです。
作者、マルコム・グラッドウェルは、こう述べています。
「人は無意識のうちに素晴らしい判断を下す能力を持っている。しかし無意識の判断のすべてが正しいという保証はない。時として、直感的なひらめき「第1感」を曇らせる何かが存在する」と。
この【ピン】と来る直感的なひらめきを、「適応性無意識」と呼ぶそうです。強力なコンピュータのようなもので、人が生きていくうえで必要な大量のデータを瞬時に処理してくれる力です。
さて、
この直感的なひらめきを曇らせる何か‥‥この美術館の場合、それはなんだったのでしょう。
最大の理由をこう分析しています。
この美術館は、まだ歴史が浅く、目玉になる作品が欲しかった。
そこへ舞い込んできた彫像。真贋を疑う以前に、本物であって欲しいという願望がまず先走り、直感を鈍らせてしまった、と。
ここまで読んできて、皆さんピンと来ましたか。
同じような出来事が日本の政界でもありましたね。
美術館を民主党(永田議員)に、彫像をメール文書に、さあ、置き換えてみましょう。
仲介者から届けられたメールを見た瞬間、彼はピンときたのでしょう。
これはイケル!と。
しかしこの直感を曇らせる邪魔者が存在していました。
我が民主党は昨年の選挙で敗北を喫し、立場が非常に弱くなってきている。
なにか自民党に一泡吹かせるネタはないものか。
目玉になる追究の隠し球はないものか。
そこへ舞い込んできた一枚のメール文書。信頼していた仲介者からの情報だ。
しかも情報提供者は内部の人間とのこと。これだ!こういう情報が欲しかったんだ。これをもとに追究だ!これがあれば形勢逆転できる!これで俺は歴史に名を残すことが出来る!
「無意識」というからには「無」でなければいけません。なんらかの意識がそこにあると、直感が狂ってしまいます。
メールのプリントアウトを手にした瞬間、彼の脳裏には、手柄・スクープ・追究・形勢逆転・不正・正義などの「意識」がむくむくと沸き上がってきてしまったのでしょう。
真偽を確かめるよりも、早く公にしなければ、という使命感が先走り始めます。
まずすべきはその直感の正体を探ることです。
【ピン】はあくまでもきっかけ。大切なのは、そのあとに来る検証です。
こうだったらいいなとか、こうありたいとか、こうであるはずだ、という願望や思い込みがあると、直感は曇ります。鈍ります。
脳は願望や思い込みを正当化させる方向へと物事を運ぼうとしてしまいます。
だからこそ「無意識」という「意識」が必要なんでしょうね。
冷静に考えれば、このメールは怪しいぞ、と分かるはず。
慎重に検証すれば、情報として正確なものかどうかが分かるはず。
なんとか一矢報いたい、という日頃の「意識」が第1感を狂わせてしまった、ということですね。
今私たちが学ぶべきは、「第1感」との正しいつき合い方、なのです。
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