コメント・書評 |
定形外フェアリィテイル
*K*
Jul 28, 2006 1:33:30 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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規定の型を外れているのは、その描かれた世界の未来的な様相の所為ではない。 鼠でも何でも良いが、哀れな姿に身を窶した王子が不運な少女の随伴者となり、知恵だとか、無力ながらに不思議な技をもって旅を支え、苦難に耐え、悪い魔法使いか何かを滅ぼして幸福に結ばれる。 おとぎ話というのは、そうしたものでは無かったか。 少女は幼い娼婦。 黄金の鼠は人語を解し、様々な道具に姿を変える。魔法では無く科学によって、ではあるが。 そして、悪い魔法使い…あるいは、邪な王、醜い悪魔であるべき男。 ただ善良であるだけで道が開け救いの手が差し伸べられる、おとぎ話の殻を割ってみれば、少女娼婦の名に選ばれた孵りかけの雛鳥がグロテスクにこぼれ落ちる。 現実と変わらず、一切が勝手良く片付けられることはなく、問題は常に不完全に解決する。すべてが、希望だけで上手く運ぶことなど無い。教訓にもならない、有り触れた光景の描写である。それが魔法の世界と変わらない、どこか見慣れた光景も残した未来世界であるとしても。 鼠は、詰まるところ鼠に過ぎない。 少女は、少女に過ぎない。 魔法使いは万能ではない、そうであれば、導く者や少女が希望を抱くことさえも無く、万事が彼の思いのままに済むのだから。 世界や人々や正義や理想のためではなく、少女は少女自身のために戦った。 幸福の幕の陰に、あらゆる実際が翳ることもなく、装飾を払ってみれば、あまりに身近で現実的な骨子を露に、悲しみや後悔を抱いて、それでも勝って生き残るための、おとぎ話に似た物語。 |
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