コメント・書評 |
冒険だけがファンタジーじゃない
シノスケ
Jul 23, 2006 10:16:42 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★
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ヴラド・タルトシュ。ドラゲイラたちの暮す帝都アドリランカで、裏の世界の一角を牛耳る東方人である。全身に武器を隠し、妖術と呪術に通じ、ジャレグという竜に似た小さな生物を使い魔にしている暗殺者として名を馳せていた。そんな彼の元、キナ臭い依頼を持ち込んできたのはドラゲイラ族ジャレグ家の有力者デーモン。評議会からその運用資金のほとんどを盗んで逃げたメラーという男を始末して欲しいという。破格の報酬に釣られ、危険と知りつつも依頼を受けるタルトシュだが、この殺しの裏には驚くべき事実が待ち受けていた。 異世界のファンタジーというと、大河的な冒険や血沸き肉踊る様な英雄譚、もしくは世界を巻き込む波乱万丈の物語だったりする。しかし、本作はあくまで帝都アドリランカをほとんど離れず、暗殺者達の情報戦や駆け引き、ドラゲイラの一族同士の陰謀等々むしろタルトシュを中心としたハードボイルドなシティ・アクションと言ってもいいだろう。とはいえ、そこはファンタジーの世界。瞬間移動や、便利な魔法、強力な武器が登場する。このファンタジーならではのギミックを有効に活用しながら、異世界、特にドラゲイラの社会事情を盛り込みタルトシュが奮闘するさまは読んでいて飽きない。特に使い魔ロイオシュや仲間とのユーモラスなやり取りはテンポが良く、後ろ暗く影のある主人公から好感の持てる人間味のあるキャラクターに仕上げている。 世界のルールが多く、後出し感のある設定も見受けられるけれど、ハードなファンタジィ・ミステリとしてはなかなかオススメ。 |
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